最終話 白鳥 姫子
翌日、いつものように学校が始まりました。
生徒達はみんないつもの様に登校。 何も変わる事何かありませんでした。 本田 源次郎は校門の前で、挨拶運動をしていました。
でも、いつものような元気はありませんでした。
服装の乱れや髪型に何も触れません。どうしたのでしょうか? 実は、あの事件の後に生徒達による反発運動により、授業のボイコットをされてしまい、他の学校に飛ばされそうになっていました。
何気なくしてしまった事が、こんなにも大きくなるとは、源次郎も思ってはいませんでした。 死んだ魚のような目になりながらも、壊れたプレイヤーのように淡々と挨拶をする。
そこに一人の生徒が挨拶をしてきました。
「 先生。 おはようございます! 」
「 ん? おは…… えっ。 お前は!? 」
そうです。 挨拶してきたのは、姫子でした。
まさか登校して来るとは、思っていませんでした。
先生は直ぐに膝をついて、姫子に謝ります。
「 白鳥。 本当にごめんな…… えぐっ! お前の気持ち何にも分かんなくて、他の生徒達に反発されて気づいたんだ。 ひっぐ!! ごめんなさい……。」
男泣きしながら、何度も何度も謝りました。
姫は驚きましたが、直ぐに笑顔で答えました。
「 先生。 私は傷つきましたよ。 でも、いつかはバレてしまう事だからもう気にしてませんわ。
謝らないで下さいね。」
「 白鳥様ぁあ〜っ! 本当にごめんなさいっ!」
号泣しながら、抱きつき謝り続けました。
姫はにっこり微笑みながら、もう許していました。
校長と教頭が走って来ました。
今回の件について、謝罪しに来ました。
「 白鳥様。 今回の事をお許し下さいませ。
この本田先生の処分は、お任せ下さい。」
「 校長先生。 私は気にしてませんわ。
本田先生の処分はしないでもらえます?
先生は反省してるし、誰にでも間違えはあります。 それと、私を特別扱いしなくていいです。
みんなと同じ、生徒なんですから。」
校長と教頭は戸惑いながら、本田先生の処分は無かった事にすることにしました。 姫のお願いには逆らえませんでした。
「 分かりました。 本田先生の処分を取り消します。 どうか、これからも宜しくお願いします。」
二人は職員室に帰って行きました。
姫子は周りで見ていた生徒達に向けて、語り始めました。
「 みなさん。 もう知ってると思いますが、私はあの白鳥家の一人娘です。 凄い裕福な生活をしていると思います。 みんなをバカにしてるとか下に見てるとか、色々思うのは分かっています。
でも、一切そんな事は思っていません。 信じては貰えないとは思いますが…… でも大丈夫。
私はこれからの行動で、みんなに見せつけてやりますわ。 私がこの学校が大好きで、みんなと、もっともっと、仲良くなりたい気持ちを!
これからも宜しくお願いします。」
深くお辞儀をしました。
周りから拍手され始めました。 どう言う事でしょうか?
「 私達は全然気にしてないわよ! 」
「 俺もだぜ! 今度、一緒に遊ぼうぜ! 」
「 大きいワンちゃん今度見せてよ♪ 」
「 家に遊びに行かせてよ。」
暖かい声援に囲まれていました。
姫は少ない日々でしたが、必死に生きてきた学校生活を見ていた人は多かったのです。 なので、みんな姫の事が大好きだったのです。
今回、素性を聞いてびっくりした人は多かったのですが、直ぐに今までの行動により居なくなって欲しくない気持ちになっていたのです。 だから、クラスのみんなはボイコットしたのです。
上級生や他のクラスの生徒も同じ気持ちでした。
みんな、もっと姫子を知って仲良くなりたかったのです。
「 みんな。 本当にありがとう!! 」
涙を流しながら、笑顔で拍手に答え手をふりました。
遠くで見ていた、黒崎達も拍手していた。
「 僕達の出る意味なかったね。」
「 そんな事ないわよ。 今からウチの番なんだから! 」
光は走って行って、姫の後ろから抱きつきました。
「 もう! 心配したぞ。 もう、勝手にどっか行かないでよ? 親友なんだから! 」
「 光…… ごめんね。 うん! ずっと居るよ。」
光は嬉しくて、泣きながら抱きついていました。
姫も嬉しくてずっと抱きついていました。
二人は最高の親友だと再確認しました。
「 羨ましいなぁ。 俺も抱きついたらダメかな? 」
「 また光に、空気読めないって怒られるぞ?」
相変わらずのハラケンでした。 黒崎とハラケンは微笑みながら二人を見ていました。
そこへ、健も登校してきた。
「 ボンジョルノ〜〜! 姫が元気になってくれて、俺様も嬉しいぜ。」
健は金ピカな制服で登校してきました。
「 健!? なんだその格好は?」
「 これかい? 昨日、遂に
靴も時計も金ピカになり、成金レベルも酷くなっていました。
「 大丈夫か? いきなりそんなに使って。 また勘当されないだろうな?」
「 翼。 お前との仲も今日までだ。 ラ・フランス《洋梨》なんだよ。 あっはっは!」
健のスマホが鳴りました。 父からのメールでした。
「 父上からだ。 なんだろ? なになに…… まだまだ社会勉強が足りなかったみたいだな。 全てのカードをまた止めました!? またアパートで暮らしなさい!? なんだってぇい!? 」
またまた勘当されてしまいました。 クレカを使いすぎて、あっという間に呆れられてしまいました。
健は深く落ち込みました。
「 翼君。 今日は一緒に何食べようか♪ 」
「 お前とは食べないよ笑。」
「 翼ちゃ〜〜ん!! そんな事言わないで。」
黒崎は呆れて、ハラケンと教室に行きました。
健も追いかけていきました。
教室に入りいつもの席に着くと、隣にはいつも当たり前に居た姫子の姿がありました。
「 おはよう!」
「 黒崎君。 おはよう!」
「 もう大丈夫だね。」
「 うん。 みんな私が思ってるたよりも、分かってくれて良かった。 最高なクラスメイト達ですわ。」
雀が走って近寄って来ました。
「 姫〜〜。 白鳥家の娘なんて関係ないわよ!
私達はずっと親友なんだもん。」
「 そうよね。 ごめんなさい。 ありがとう雀。」
雀も姫を心配していたのです。
教室に入ってきたクラスメイトがどんどん、姫に近寄って来て質問ぜめに。 みんな姫を待っていたのです。 姫は落ち着く暇もありません。
もう、このクラスの一員であり欠かす事の出来ない生徒の一人になっていました。 姫は幸せになっていました。 今まで味わったどんな、お金のかかったパーティーやイベントや物よりも、幸せでした。
姫はここに来た理由は違くても、純粋に笑い会える本当の友達が欲しかったのです。 遂に手に入れる事が出来たのです。 それは、どんなにお金を手にしていても、けして手に入れる事の出来ない宝物でした。
みんなに囲まれてる姫の手を取り、黒崎は教室から姫を連れ出しました。
「 どうしたの??」
「 今日はみんな興奮してうるさいから、学校から抜けだそう! 」
「 えっ!? でも、授業受けないと……。」
「 今日だけは、僕が姫を独占したいんだ。
一緒に行こう! 」
黒崎に手を引っ張られながら、二人で居れる事への喜びを感じ、嬉しく思い黒崎と外へ。
「 うん。ずる休みね笑。」
「 だね! 近くに、安い定食屋があるんだけど行かない? 見た目は悪い店だけど、味は最高だよ!」
「 美味しいなら関係ないですわ。 行こう♪ 」
教室では、出ていった二人の話題で持ちきりに。
光とハラケンと雀は、ベランダから二人を見送っていました。
「 姫。 黒崎と結ばれて良かったね。」
「 えっ!! どう言う事!?」
「 あんたは、黙ってなさい。 本当にボンクラなんだから。 ウチが居ないとダメなんだから。」
三人は静かに見えなくなるまで、見続けるのでした。
姫と黒崎を遠くで見ている白鳥夫婦とセバス。
「 お嬢様…… 私は感動しております。」
「 セバス。何を泣いとるんだ。 早く追いかけないと、黒崎が何をしでかすか分かったもんじゃない! 追いかけるぞ!! 」
「 本当にあなたは娘想いで可愛いんだから。」
三人は大きなリムジンに乗り、姫達を尾行しに追いかけるのでした。 この親バカも治る事はないのでしょう……
姫の前から欲しかった友達や大好きな黒崎と結ばれて幸せ一杯でした。
姫にはやっぱり、黒崎の姿は王子にしか見えませんでした。 黒崎と二人ならどんなときでも楽しい事が待っていると思うのでした。
このお話は一人のワガママなお姫様が、貧乏な王子を好きになるお話です。 これから、二人は色々揉め事や苦難があるでしょう。 でも、二人なら乗り越えられるに違いありません。
他の誰かを自分のように思いやれれば、みんな絶対に仲良くなれると私は思っております。
自分の事を分かって貰いたいなら、まずは自分が相手を分かる事から始めましょう。
そうすれば、絶対に自分の事も誰かが見てくれている筈です。
続きはまたの機会に話しましょう。
この物語は、これでおしまい。 おしまい♪
姫の恋する貧乏王子 ミッシェル @monk3
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