第35話 全てがバレた日

朝になり、皆いつもの様に学校へ。

学生もお給料が貰えないが、時間通りに行動する。 会社に行ってる様なものだ。

姫には最近では当たり前だった、元気はありませんでした。 フラれた事のある人なら、この辛さは承知している筈。

当然、車の中で元気のない様子に気づくセバスチャン。 誰よりも心配してしまう。

可愛い娘の様な存在。


「 お嬢様。 時間も少し早く出て来たので、寄り道でもしますか? 」


そう言って、リムジンは学校の方向では無い所に向かう。 セバスは理由は何も聞かないが、どうにか力になりたかったのだ。

何分か経ち、目的地に到着。


「 セバス。 ここって……。」


「 はい。 ホットドッグ屋さんですよ。

私は、前の一件からここのファンになりまして。 良ければ一緒に、食べに行きませんか?」


そこは、迷子になり黒崎に奢ってもらったホットドッグ屋さんでした。 何気に姫はお気に入りになっていて、週3くらいで通っていました。


「 ホットドッグかぁ…… 行こうかな。」


元気は無くとも、お腹は減る。

店に行き、注文する。


「 お嬢様。 いらっしゃいませ♪

今日はどうなさいますか?? 」


もう慣れた対応。 沢山ツケもあるので、お会計はしなくても済む。 何故か、店長のユニフォームは新しくなっていて、店も綺麗になってる様に見える。 靴も新しくなり、腕時計なんて前は着けてなかったのに……

これは、どうでも良いので考えない事に。


「 ゴリさん。 ホットドッグ頂戴。

丁寧にお願いね? 」


「 かしこまりました♪ 」


慣れた手つきで、ホットドッグを作る。

いつの間にか、衛生面を気にしてビニール手袋をはめていました。 成長しているのです。 適応力の高さが、この業界の生きていける理由なのかもですね。

あっという間に完成して、姫の手に届く。


「 ありがとう。 いただきまぁす。」


いつもより元気は無くとも食べ始める。

店長さんも、それに直ぐに気付いてしまう。


「 お嬢様。どうしたんですかい?

私に出来る事なら、何でもお申し付け下さいませ! 」


「 もぐもぐ…… ん? 無い。」


店長は落ち込みながら、また仕事に戻る。

セバスと二人で食べるのは、久しぶりであった。


「 お嬢様。 本当に美味しいですね。

ウチの屋敷の辰巳に、もっと美味しいの作らせますかね笑 」


冗談混じりに、話を掛けてくる。

姫は適当に相槌あいづちする。


「 お嬢様。 私は最近凄い勉強になることが沢山ありました。 大富豪はこんな小市民の、安物ジャンクフード何て口に合わないとずっと思っておりました。 でも、黒崎坊っちゃんとお会いしてから、全てが変わりましたね。 私はお嬢様に足りなかった、人を思いやる心が産まれたそんな気持ちです。」


「 ん? そうかな? 少しは横暴な金持ちじゃ無くなったかなぁ? 」


姫はセバスに言われて、自分は成長していたか心配になっていました。

今までで行ってきた、理不尽や差別的な言動や行動、全てを変えて頑張ってきたのです。


「 お嬢様。 あなたは成長なさいました。

今では誰よりも優しく、人を思いやれる気品に満ち溢れる人になられました。

もっと自信をお持ち下さいませ。

私はもっともっと、お嬢様を好きになりましたよ笑。 」


「 ありがとう。 いつかは皆に、自分が大富豪だって言いたいなぁ……。

それで、本当の意味で仲良くなりたいな。

難しいだろうけどね。」


二人は染々とホットドッグを食べました。

食べ終わり学校へ向かうのでした。


学校に着くと、校門の前でいつもの様に源次郎が身だしなみチェックを実施している。

遠くで車から降り、校門に向かうのでした。


「 おはよう。 白鳥。

お前、香水着けてないかぁ?

凄い匂いがプンプン匂ってくるぞ。」


「 着けてないですわ。 シャンプーとかコンディショナーとかの匂いだと思います。」


本当に着けて無いので、ちゃんと説明する。 当然な対応です。


「 全く言い訳ばっかりしおって。

やっぱり違うなぁ…… お嬢様は! 」


朝の校門前で引き留められ、大きな声で話されていた。 なので、凄い目立ち皆の視界の的になっていた。


「 お嬢様? 全然、関係ありませんわ。

何を行ってるんですか?? 」


必死に反論する。 もしかしたら、源次郎は真実に気付いてしまっているのかも……

嫌な予感が、頭を過る。


「 ほうほう。 白鳥家のお嬢様が、言い訳をしてもダメですよ! こんな、貧乏高校に

居ること事態が意味不明なんだからな。

あの、大富豪の白鳥龍平の娘何だからな。」


遂にバレてしまった。 生徒達は、直ぐに気になり周りで話始める。


( えっ? あの白鳥家の? )

( マジ? サインもらおうぜ! )

( 付き合ったら、玉の輿じゃない? )

( 何か奢ってもらおうぜ! )


一瞬で、皆に知れ渡りました。

電話やTwitterに上げる者も居ました。

その周りの声や行動に我慢出来ず、姫は走って学校から帰って行きました。


( んふふふ。 金持ちが舐めた態度取るからこうなるんだよ。 ざまぁみろ! )


民度の低さが理解出来る源次郎の行動でした。 せめてもの仕返しでした。これで、学校に来れなくなるのを分かっての事。


黒崎とハラケンが学校に向かっていると、学校とは逆走する姫が走って来ました。


「 あっ。姫おはよ…… う? 」


黒崎の声は届かず、凄いスピードで走って行きました。 いつもと様子が違うので、心配になる黒崎。


「 翼。 今の白鳥さんだよね?

どうしたんだろう? お腹痛いのかな? 」


「 …… 分からない。 今はそっとして置こうか。学校に来たら聞けば良いんだから。」


二人は現在進行形な出来事を、まだ知るよしもありませんでした。

その頃光は、既に教室に居て周りの友達とお喋りしていた。 すると、Twitterの通知により今の出来事を直ぐに理解する。


( ヤバい。 バレちゃったのか。

姫が大変だ。どうしよう……。)


事の重大差に、どう行動すれば良いか分からないでいた。 黒崎とハラケンが登校してきた。 周りのいつもとの様子の違いに、気付き始めていました。


「 光。 おはよう。

姫に何かあったのかな?」


黒崎も気になり、光に問いただす。


「 おはよう……。 実は……。」


光は姫の事を全て話しました。

自分が知っていた事や、凄いお金持ちな事。

皆と普通に過ごしたいから、隠していた事を全て話しました。


黒崎に劇震が走る。

今まででの違和感、言動や行動。 気になっていた事が、全て理解できた。

そして、昨日の龍平の話はしたときはお父さん話で他人事では無かったこと。

沢山傷つけていた事に気づくのでした。


「 そうだったのかぁ。 …… 難しいね。」


そう言い、席に着いてしまいました。

黒崎にも息なりの事に、どうして良いのか分からなくなっていました。


「 翼どうしたんだろ? にしても凄い話だよね。 俺もびっくりしちゃった! 」


ハラケンは事の重大差に、全く気付いておりませんでした。


「 本当にアンポンタン……。」


と一言言って、光も席に着きました。

ハラケンは一人残されて、何が起きたのか理解出来ませんでした。


その頃、姫は走って学校から遠くへ行っていました。 何処でも良い遠くへ……

当然行く所も分からず、公園のベンチに座り込み泣いていました。 バレたショックと周りの反応。 少しは考えていたが、想像以上の物でした。

すると、そこに必死に息を乱しながら姫の所に来た人が。 そうです。 姫のストーカーの健でした。


「 ひ~~め♪ どうした?

そんなに泣いて。 綺麗なお顔が台無しになるぞ! ほら。 ハンカチ使えよ? 」


「 グスっ…… いらない。 ほっといてよ。」


ショックで健所では無かった。


「 だから、あれほど言ったんだよ。

俺達大富豪には、あの学校は合わないって。 一緒にまた、前の高校に戻ろう?

傷つく事何か、もうならないからさ! 」


健からの重大宣言。 姫はどうするのか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る