第34話 それぞれの勘違い

光は健の元へ来ていた。 それはどんな理由なのだろうか?


「 あんたさぁ。 黒崎くんの好きな人知ってる? 知ってるなら教えてくれない? 」


光は隣人で親友の健なら、何か知っている気がしたので、先ずは行動あるのみ。

光らしい行動力である。


「 黒崎の? 全く興味無いなぁ……

どうにか調べてやりたいけど面倒だからなぁ。」


面倒くさいのが嫌いな健は、全く興味を示しません。 それも仕方ない事。 今まででは、自分の為にしか動いた事はない。

友達何て出来た事が無かったのです。

だから、人の為に何かするって事が良く分かりませんでした。


「 面倒ねぇ…… ウチら友達でしょ?

だったら上手く聞き出してよ。」


健には思いがけない言葉でした。

友達になった覚えも無かったし、

なりかたも分からなかったからです。


「 友達…… 仕方ねぇなぁ。 じゃあ、一肌

脱いでやろうかなぁ。」


「友達」と言う者には無縁だったので興味なかったのですが今、目の前に「友達」と言われたとき、満更悪くない気持ちになっていました。


「 サンキュー。 じゃあ、そろそろ帰るけど、黒崎くんから色々聞き出してね。

どんな人かとか、何処の学校とか、何処で知り合ったのかとかね。」


「 了解だっぜ! 」


光は時間も遅い為、直ぐに家に帰る事に。

健は手をフリ家に入りました。健はまだ何もしていませんが、いい気分になっていた。


少し時間が過ぎ、バイトが終わり黒崎が帰宅してきました。 少しお疲れ気味。健は帰宅してきた音が聞こえると、直ぐに行動に移す。直ぐに隣の家に向かい、ノックする。

( トントントン! )


「 はぁい。 何だ健か。どうしたの? 」


「 スーパーでポテチの安売りしてたから、二人で食べ尽くそうぜ。」


中々、自然な形で家に入れました。 流石さすがは見た目と、口の上手さで女を落として来ただけの事はある。

二人でDVDを見ながら、ポテチを頬張る。

( パリパリ! )


つばさは、最近良いこと何かあったかぁ? 」


さりげなく聞き出す作戦に。


「 ん? どうだろうなぁ…… いつも通りっちゃあ、いつも通りかな? 」


「 何かあるだろ? 例えば可愛い子が、バイト先に来たとかさぁ! 」


積極的に攻め、黒崎にどうにか話させようとする。


「 あっ! バイト先にさぁ、凄い優しく可愛いお客さんは来たかな♪ 」


健の思い通りの答えを出してきた。


「 そうなのか? どんな子なの? 」


「 ん~、見たことはないけど、良く居る横柄な態度な客の真逆で、どんな事にも感謝出来る凄い良い子なんだよ。 」


黒崎は目を光らせながら、語り始めました。 光の言う通り、凄い気になっている様子でした。尽かさず追加の質問をする。


「 バイト先に来たって、あの寿司屋の? 」


「 そうだよ。バイト先のおばあちゃんしか、見たことないんだけどね。」


少しは、黒崎の情報が手に入りました。

そしてバレないように、何気なくポテチを食べて帰ることにしました。

健には良い手を思い付いていました。

それは、黒崎のバイト先に行き聞き込みをして、黒崎の好きな人の事を知ろうとしていました。 何の得にもなりませんが、何故なのか力になりたくなっていました。


後日、学校が休みの為、黒崎は朝早くからお寿司屋さんのバイトに行っていました。

それを、後から健が付いて行ってるとも知らずに。


つばさ。 お前の全てを、調べさせてもらうぜ。」


健の追跡調査が始まりました。

少し家から自転車で、30分ぐらいの距離にお寿司屋さんがありました。 大型チェーン店なので、凄い大きく健も圧倒されていました。


「 すげぇ。 つばさは、こんな所で働いてるだなぁ…… 俺のバイト先のスーパーとは、大違いのデカさだな。」


健は最近、スーパーでバイトして資金集めをしている。 その為、一緒に働いてるおばちゃん達にイビられまくっているので、少しストレスが溜まっていました。

お寿司屋さんに入店し、席に着いて食事にすることにした。 聞き込みや、情報集めにも自然に振る舞うのに限ります。


( にしても、もぐもぐ…… 安いメシばかり食べてたからか、久しぶりの寿司はうめえなぁ。 安いのでも、体に染み渡るぜ。 )


情報集めとは思えないくらい、目的を忘れて食べまくる。 店員さんも、びっくりするくらいの食べっぷり。 20皿は軽く越えている。


( もぐもぐ…… んぷっ。 止まらん。 今までで勘違いしてたのかもしれん。

安物でも、食べ物はどれも同等に美味しいのかも知れないなぁ……。 少しは、考え直さなければ。 にしても、食べ過ぎてしまった。 バイト代あるから、大丈夫だから安心だけどな。)


店員さんのおばちゃんが、話をかけて来ました。


「 凄い食べるね、兄ちゃん。 髪型は変だけど、顔はイケメンで格好いいわね。」


健は、バイト先の影響によりおばちゃんに

嫌悪感があり、イライラしてしまいました。

そこは、歯を食い縛り一呼吸して、色々聞き出す事にする。


「 おばちゃん。 一言予言だよ。 ここで働いてる、黒崎の友達なんだよね。 ここに最近、黒崎が惚れちゃう様なお客さん来たか知ってるかな? 二人をくっ付けたくてね。 」


嘘と真実を織り混ぜる。 これが、言葉巧みに女を落としてきた男の技である。


「 んー、二回くらい来たことあるわよ。

凄い可愛いのよ。 しかも、食べ終わったら作ってくれた人に一言、手紙書いてたのよ。 最近の子にしては、変わってるわよね。」


少し情報を手に入れた。 でも、まだまだ足りません。 特徴を聞いても、当てはまる人は沢山いるので……


「 そうですかぁ。 学校とかも分かんないですよね…… そうだ。 隣に居た女の子の、特徴は分かります? 」


「 その子の特徴なら、良く分かるわよ。

大食いで、お喋り。 自分の事をウチって言ってたかしら? 後はね、ハラケンとか言う子の話が凄い多い子だったわね。 あれは、ハラケンの事好きなのよね笑 」


んん?? 健には思い当たる人物が居た。

そうです。 光ただ一人。 もし、光だとすればかなり絞り込める。


「 おばちゃん。 もしかして、その子の隣の子は凄い綺麗な服着た、お嬢様みたいな感じじゃなかった?? 」


「 そうそう。 知ってるの? 」


ビンゴ! 健は探していた人物が分かってしまった。 黒崎の好きな人は、姫だと分かってしまったのです。 事件を解決したと同時に、ショックを隠し切れませんでした。

仕方ありません。 同じ人を好きなのだと分かったので、くっ付けるのも複雑になってしまいました。

話を終わらせ、静かにお店を出て行きました。 この事は、少し秘密にすることに。


健は光から、気になる事を聞くことに。

直ぐに光に電話を掛ける。


「 もしもし? 健。情報は掴めた? 」


「 もう少し掛かりそうだ…… 手伝うから聞きたい事あんだけど、もしかして光が黒崎の事知ろうとするのって、姫の為なの?? 」


「 うん…… そうなの。 でも、誰にも言うなよ! 姫は恥ずかしがりやなんだから! 」


全てのピースが、合った気持ちになりました。 最近の光の行動。 姫のショックしていた事。 全て合致した。 健は適当に会話して電話を切りました。

健は、姫の事が好きな為、これからどうして良いかわかんなくなっていました。


( マジかぁ…… この事を言わなければ、だれにもバレないし、二人はくっ付かない。

しかも、友情は保たれる。 黙っとこ♪ )


仕方ないとは思いますが、健の情けない一面が出てしまいました。秘密にすることに。


その頃、生活指導の源次郎が密かに動いていたのです。 姫の家を突き止めていたのです。


「 アイツの正体は、ここの超お嬢様だったのかよ! 何て事なんだ……。

これは、上手い事使えそうだぞ。」


源次郎は、恥を欠かせた姫にどうにか復讐したく、情報を集めていたのです。

何か嫌な雲行きになって来ました……。

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