第28話 源次郎の逆襲

姫と光は教室に戻り、さっきの事についてはなしていた。


「姫!姫なら大丈夫だろうけど、アイツには目をつけられない方が良いよ?面倒だから…」

「うん!でもね。言ってる事は間違えてない気もしたの。私だけが染めてると不平等に思う人は多いのかなって…私だけ特別みたいなのは、今まで沢山味わってきたからこりごりなの。自分が特別扱いされたくないときもあれば、不利なときにおちいってるときだけ特別扱いしてほしいは傲慢ごうまんでワガママと言うものですわ!だから、小さい事から直したいの!変わりたいの♪」

光は姫を甘く見ていたのかもしれない。

お嬢様でお金持ちだから、少しワガママで

意思を曲げない頑固がんこさがあるのかと思っていた。でも勘違いでした。姫は誰にでも優しく、間違っていたら直ぐに直せる。

みんなと何も変わらない一人の女の子だと、改めて実感しました。


「姫っ!本当に最高♪姫なら絶対にいつか分かるって思ってたよ♪」

なんでも一緒に理解できる事を嬉しく

感じるのでした。


「そうかなぁ?今日は家で美容師さんに黒に染めてもらおうかな♪」

姫は規則で変えなくてはいけないのが苦にならなくて、むしろみんなと一緒にしてみたくてウキウキしてました。前向きは最強なのです!


「黒髪の姫見たぁい♪絶対似合いそう!」

姫はルックスにプロポーション抜群!

見た目は母親譲りのモデル体質。

実はクラスにはこっそり、姫のファンが

存在すり。他クラスにも実はこっそり存在している。やはり、普通とは違うオーラが出ているのでしょうか?

二人で話していると、黒崎が近寄って来る。


「よっ!この前は遊園地楽しかったね♪

光様ありがとうございます。姫は今日、本田先生に絡まれてたね?大丈夫だった?」

(あれ??黒崎くんが初めて下の名前で呼んでくれている…凄い嬉しい☆幸せぇ~~~)

姫は感激していた。この前の遊園地で仲が

深まっていっていると、感じていたのです。


「全然大した事ありませんわ!髪の毛染めてるの注意されたから、直さないといけなくて笑。」

注意されたことより、気にしてくれる王子にメロメロでした。


「その色似合ってるのにね!ちょっと勿体ないけど仕方ないよね…。でも、姫は黒も似合いそうだね♪」

ドキッ!いつも黒崎の発言にだけはドキドキしてしまう…バレないようにするのに必死です。


「黒崎くんは姫には甘いなぁ!ウチのときは染めて来たときに、似合わないとか冷たかったクセに笑。」

姫にだけ優しい黒崎に少しだけヤキモチを

いてしまう。


「そんなことないよ笑。みんなに対応変わってないけどなぁ?似合ってるか似合ってないかで違うだけだよ?」

地味に傷つけてしまう天然、黒崎翼くろさきつばさでした。


その頃、職員室では本田源次郎ほんだげんじろうはヤクザの娘と勘違いして震え上がっていた。

(クソー。震えが止まらん。校長と教頭のあの話し方からして、バックには絶対に大きな奴が隠れているに違いない…)

源次郎は筋肉バカでそう簡単には負けないが、ヤクザは人数も何をしてくるかも分からない。まさに恐怖その物なのです。

凄い気になり、生徒名簿を調べてみる。

白鳥姫子しらとりひめこ

3人家族で父はサラリーマン。母は主婦。

至って普通な家族構成…


(ん??何だこれは?全然バックにヤクザなんて居ない気がするぞ…)

偽造された家族構成だからです。担任の先生にも分からないようにする為にも、偽装するしかなかったのです。本当の家族構成の用紙は校長がしっかり、金庫で保管していました。


(親戚にヤクザがいるのか?段々と化けの皮が剥がれて来たぞ!白鳥姫子!!)

さっき恥をかかされてしまったことが、納得が行っていなかった。ストレス解消の為にやっているのに、逆にストレスを溜めてしまった事にイライラしていた。


(これは、試してみる必要があるな…)

体育の時間があるので、試してみることにした。基本は体育は女子は女性の先生が教えて、男子は男性の先生が教える。良くある姿ですが、源次郎はどうにか姫子を虐めたかったのです。女性の体育教師。南丘和恵みなみおかかずえ新人の女教師。担任でもある先生。新人の先生なので職員室でもみんなにペコペコ。たまに生徒にもペコペコ。

鬼教師の源次郎が和恵先生に近づいて来る。


「和恵先生!ちょっと良いですか?」

凄い威圧感で話しかけて来る。


「えっ?、なっ何でしょうか!?」

相変わらずのびくびくしてしまう。鬼教師

なので怖いから分かります。


「最近の先生の体育の授業にクレームがありまして、不満を申す生徒が出て来ていましてね…」

当然ですけど大嘘です。


「えっ!?そうなんでしょうか?それは…ダメですね…。すみません。どうすれば良いでしょうか?」

(このセリフを待っていた!!)

このセリフを言ってしまうと、後は本田源次郎ほんだげんじろうの思うがままなのだから。まさに支配者になれるのです。


「仕方ないですねぇ。本当はあまりやりたくないのですが、男女を少しの間だけ俺が面倒みますか?どうですか?」

選択肢があるようで一択の質問。

断れる筈も無く当然だが…


「すみませんが宜しくお願いします!

私には荷が重かったのでしょうか…」

「いえいえ!先生のせいではございませんよ。これから学べば良いのです。全然気にすることなんかございません。一緒に頑張りましょう♪」

念のために生徒からの支持は和恵先生は人気で、謙虚けんきょだったり上からじゃないのが人気の秘訣でした。逆に、源次郎は最低な支持率。不満の連発。講義やデモが起きてもおかしくありません。なので和恵先生より源次郎が本当は休むべきなのです。

そして舞台は整ってしまった。姫子を

ギャフンと言わせる舞台が…


四時間目の授業は体育。準備をして姫達は校庭へ!いつもは女子の集合場所は男子とは違う筈…何かあったのか?

すると、鬼が近づいて来る。

本田源次郎ほんだげんじろうだった。


「えっ!?源次郎が何で?しかも何で男子と一緒なの?どうなってんの??」

光も慌てる。周りも慌ててざわつきが隠せない。


「静まれぇえい!女子共。和恵先生はお前らみたいに言うことを聞かない生徒に、疲れてしまいお休みです。当分の間は、俺が2つを掛け持つことにした。わかったなぁ!?」

女子の悲鳴が響き渡る。


「えーっ!!最悪!」

「和恵先生を返せ!」

「私達はちゃんと言うことを聞いてたのに…」

「帰れぇ!!」

ブーイングの嵐!普通の人間なら傷つくが、鋼のメンタル本田源次郎ほんだげんじろうには全くダメージは与えられない…

むしろ、快感に感じてしまうぐらいひねくれてしまっていた。


「もう決定事項だ!それと和恵先生に大丈夫ですか?とか言うなよ?そう言う事を言うと逆に、帰ってくるのが遅くなるからな?絶対そっとして置くんだぞ?」

絶妙な嘘をつく源次郎。これなら当分はみんなを騙せそうだ。


「最悪…姫どうしようか?」

「ん??男の先生の授業は初めてだから刺激的ですわ♪」

何も知らないから呑気のんきな姫でした。これからが源次郎の怖さが出るのです。


「今日はランニングだ。男子は五キロ。女子は三キロだ。良いなぁ?? 」

現在は6月の中旬。暑さも夏になり、走るとあっという間に汗だくになる。その辛さは計りしれない……


「えーっ。ヤバい……えっ? 姫走るのは得意? 」

「基本運動神経は良い方ですわ♪暑いのは苦手だけど……。」

源次郎のシバきは、運動神経良くても関係ないくらいキツいのだ。


「じゃあ、ここの校庭を沢山回れ!何周もだ!わかったなぁ!? 」

(目にもの見せてやる……。見てろよ? )

光も何か考えがあるようだ。ここから

見えないお互いの攻防戦が始まる……

源次郎が勝つのか? それとも生徒達がどうにか打ち勝つのか? 見物みものである。

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