第27話 生徒指導 本田源次郎

休みをエンジョイし、また学校生活の日々へ。学生はこれが大変なのです。毎日の登下校に学業。その中でも軍を抜いて面倒なのが、生活指導である。生活指導は学校の風紀ふうきを乱す行動を許さないことである。頭髪や身だしなみに化粧をし過ぎていないか。本当に言おうと思えば切りがないくらい、規則は厳しいのだ。あまりにも派手なのはダメなのは分かります。少しくらいならと、軽い考えをしているとアイツがやってくるのです…

原田源次郎はらだげんじろうが…

源次郎の生き甲斐は、生徒への指導である。

髪の毛の長さチェックや身だしなみ、コイツにかかればチェックをパス出来る人の方が少ない。生徒を叱ることにより、優越感ゆうえつかんひたれるのが源次郎の楽しみである。体育教師で37歳の独身。好きなタイプは自分の筋肉をめてくれて、聖女のような女性。まず居ないでしょう。源次郎は独り身の寂しさを、生徒をいじめてさ晴らしをするのだ。

それが源次郎の、毎日の日課である。

いつものように朝の校門前での服装チェックが始まる。校門前に立ち挨拶する中で服装の乱れを見つける口実こうじつである。


「おはようございます!!おはようございます!!」

朝からゴリラの様な剣幕で挨拶をする。

生徒達も挨拶は口実こうじつで、生徒指導したいだけなのはお見通しであった。


「ねぇ。また源次郎挨拶運動してるわよ?

本当生徒虐めるの好きよね…」

「だから、奥さんも彼女も居ないのよ!」

普通なら耳をふさぎたくなるような

陰口かげぐちの嵐。でも男、本田源次郎には全くダメージはない。むしろそれを、怒りに変えて生徒指導をしてくる。何処にでも居る鬼教師だ。いつものように挨拶をしていると、何処から見ても乱れをそのまま表したような生徒が歩いてくる。今は貧乏イケメン健でした。

(ワイシャツはズボンに入れずに、ボタンは全然閉めない。髪は無いから良いかぁ。でもほとんどが不合格。これは絞りがいがありそうだ♪)

健が標的になってしまったようだ。健なら

仕方ないかぁ…日頃の行いが悪いせいであった。


「おい!九条くじょう何だその服装は!!乱れに乱れまくりじゃねぇか?

ちょっといや!!」

制服のえりを引っ張り、生徒指導室へ。

生徒達は哀れみの表情で健を見つめる。


「健君可哀想。前までは髪の毛とか格好良くてお金持ちだったけど、今は何も無いからなぁ…」

色々な陰口が聞こて来るが、顔はまだイケメンなのは健在!髪の毛さえ生えれば、かつての輝きが少しは戻って来るでしょう。


「先生。ちょっと痛いなぁ…俺を誰だと思ってるのかなぁ?九条くじょう家の長男。九条健くじょうたける様だぞ?こんなことして良いのかな?」

健の伝家の宝刀。すね噛りパワー。

親のパワーでいつも何とかしていたのだ。

いつもならこれでペコペコしてくるはず


九条くじょう。残念だったなぁ~。お前のお父様から連絡があってなぁ。お前にえこひいきしなくて良いんだとよ!」

健のお父さんの力は、ここまで広まっていることを再確認した。


「そんなぁ…お父様助けてぇ!!」

「ダメぇぇえっ!!」

健は源次郎にみっちり指導されてしまいました。服装はキッチリ直されて、まさにお手本

の様な身だしなみにされてしまった。

教室に入るとみんなの笑い者にされてしまった。


「健!何よその格好は!!」

「ウケるぅ~っ!」

大爆笑を巻き起こした。姫と光も笑ってしまっていた。


「あれ酷くない?笑えるわ!!」

「本当ですわ!でもどうしてあんな格好になってるの??」

姫はまだ知らなかった。源次郎の恐ろしさを…


「姫は体育教師の本田源次郎ほんだげんじろうって知らない?アイツに目をつけられると、皆あんな風にされちゃうのよ…」

光も源次郎に詳しかった。一度髪を染めて来たら、大変な目にあったのでトラウマになっていた。


「ふーん。怖い先生も居るのね!」

姫は怖いもの知らずでした。父親にも

全く怒られないので、普通の人と比べるとやっぱり世間知らずなのでしょう。

授業が始まり真面目に受けて、あっという間に休み時間に。


「姫~。姫の髪って染めてる??何か結構ブロンドに見えるけど…」

誰も突っ込まないのもびっくりだが、実は姫はカラーリングしていた。


「染めてるよ?専属の美容師にやってもらってるんですわ♪」

(あちゃ~。姫は今まで偶然アイツに見つかってなかったのかぁ…これはまずいぞぉ。)

光は自分の時の様になってもらいたくなくて、必死に守ろうと心中で思うのでした。

二人でトイレに行こうと歩いていると

偶然にも本田源次郎ほんだげんじろうが現れてしまった。

(まずい!姫の存在がバレてしまう…)

近づいて来る事に慌てる光。

源次郎が気付いてしまう。


(ん?あの髪は染めてるなぁ??転校生だろうが関係ない!)

「おい!転校生。ちょっと待て!」

流石にバレてしまいました。どう乗り切れば良いのか?


「何ですか?体育先生!」

「体育先生ではない!本田先生と呼べ。

あまり俺をめない方がいいぞ?

ここでは俺が王様だ。髪染めてるなぁ?

風紀が乱れる。」

源次郎の言い分も分からなくない。

一人が良いのなら他の人も、やりたくなってしまうから。それから制服にも、何かしてないか調べる。


「何か変だぞ?この制服…触り心地が全然違う?おかしいなぁ…なんだこれ?」

流石は生徒指導で制服を、沢山見ているだけはあるようだ。姫子の制服はオーダーメイドで作った特製の物。全て高級な素材で作られており、ボタンとかも桁違いの値段がする。


「体育先生。髪は染めてます。でも迷惑はかけてませんわ♪後、制服はおじさんに作って貰ったからちょっと触り心地が違うのかも!」

どうにか誤魔化す姫子。


「迷惑かかってんだよ!一般の人がお前を見たらどう思う??ダメに決まってんだろ!

制服もみんな、仕立て屋さんのミヤギヤに頼んでるんだよ!一人だけ特別は許さん!」

源次郎の生徒指導には間違いは

ほとんど無いのだ。すると、校長と教頭が走って来る。


「本田先生。そこまでにしなさい。白鳥さんは転校してきたばかりなのだから、何でも規則、規則言うのは良くない。」

「校長先生の言う通りです。白鳥さんは

真面目なのだから、徐々に直せばそれで良いのです。」

二人だけは知っている。姫子が大金持ちの

ご令嬢だと言うことを。父、龍平に特別扱いはしないでくれ。と言われているが、そうはいかないようだ。ここの学校に大量のお金を投資してくれた、言わばスポンサーなのだから。だから絶対に逆らえないのです…


「校長に教頭…特別扱いし過ぎでは?

前の昼食の時もそうだし。ん?もしかして…」

源次郎は嫌な予感を感じた。


(もしかして…特別扱いするのはこの娘はもしかしたら、ヤクザ頭領の娘かなにかなのか?それなら納得する…)

源次郎の予感は中々の物です。あながち間違えてはいない。違うのは大金持ちの一人娘だと言うこと。源次郎はヤクザには弱い。もしこの事がバレてしまったら…

青ざめて行く…

(ヤバい…どうにかり気無く謝らなければ、俺が殺される…)

そう考えると、姫に話始める。


「転校生は…仕方ないよな!髪はいつか染めてくれよな。服装も悪くないし、生地きじがあまりにも良いから気になってな!」

手のひら返しながら話す。

都合の良い奴です笑。


「色々すみませんでした。こっちも悪い所直しますね!」

姫と光は今日へ戻った。

ひと安心だと安心した源次郎。


「本田先生。あのの両親怒らせたら私達は終わりだからな?」

「そうですね。校長先生。内容までは言えないけど、絶対に怒らせないように!」


(なんだって!?俺は…いったいどうなるんだ!?助けてくれ…。)

衝撃の事実を聞かされてしまう…


どうなるのでしょうか??


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