第21話 幸せな予感

姫の毎日は光に真実を話して秘密は

二人の「秘密」になりました。次の日から

姫と光は本当の親友になったので、二人は

学校生活を謳歌おうかしました。

授業は大変だけど休み時間や昼休み、放課後に二人はお喋りしたり遊んだり出来るので

全然苦にはなりませんでした。遂に姫の求めていた、友達との本当の友情と信頼を手に入れたのです。


それから何週間か過ぎた平日の学校生活で事件が起きたのです…

それは休み時間の出来事でした。

光は知り合いから遊園地のチケットを

もらって、一緒に行かないかと姫に言って

来ました。そこは夢のテーマパーク、

「ネズミーワンダーランド」。女の子は

遊園地大好き。行きたくない人なんて

いる訳もありません。姫は今まで友達も居なく、人混みが嫌いで行った事はありませんでした。でも、今は光と言う信頼できる友達が

出来たので行ってみたい気持ちで一杯だった。


「どう?姫行こうよ♪楽しいよ!」

「凄い楽しいそう!行こう♪」

姫もノリノリでした。でもまだチケットが

余っていた。誰を誘おうか…光は考えた。

姫の喜ぶ相手は誰か?直ぐに頭に浮かぶのは

黒崎でした。

(そうか!黒崎くん呼んだら姫と良い感じになるかも♪まさに、恋のキューピッドね!)

そう考えた光は直ぐ様行動に移る。


「黒崎くん、今度の日曜日暇かな?」

「日曜日?バイトも休みだから暇では

あるけどどうしたの?」

すると、「ネズミーワンダーランド」の

計画を話す。


「ネズミーワンダーランドかぁ。凄いね。行きたいけど余りお金に余裕無くて…」

「チケット余ってるから大丈夫よ!後1枚余ってるから友達誘ってもいいわよ♪」

そうすると、黒崎は行くことにした。

黒崎も内心楽しいそうだから行きたかったのだ。


「ありがとう。じゃあお言葉に甘えて一緒に行こうかな♪…友達かぁ。誰を誘おうかな!」

黒崎は性格も良く友達も多い。でもやっぱり

昔からの付き合い、幼なじみのアイツしか

やっぱり居なかった。あの目立ちたがりやで空気の読めない、背が高いだけのアイツしか…


「ハラケン。日曜日暇か?暇だったら遊ばないか?」

やっぱりハラケンしか居なかった。黒崎の

一番信用する親友。みんなは嫌がるけど

友達としては、一緒に行きたい思いがあったのです。


「ん?日曜日?ダメダメ。ママと一緒に

お買い物行かないと!悪いな黒崎。」

相変わらずのマザコン。これは酷い…

友達よりママを優先し過ぎるのは悪いとこである。


「そうかぁ。暇だったら良かったんだけどなぁ…仕方ないなぁ。光達とのネズミーワンダーランドだから楽しいと思ったんだけどなぁ…」

むくっ!さっきまで適当に椅子に座って

聞いていたハラケンが急に立ち上がった。


「今なんて言った?光も来るの!?」

ハラケンは光が大好き。光はハラケンを

からかったり、冷たい言動は多いけどいつも気にかけてくれる優しさをハラケンは知っている。そんな所に一目惚れしてしまったのです。


「来るよ!後は白鳥さん。」

黒崎もハラケンが光が好きなのを知っている

からの配慮でもあったのだ。色々考えた結果、苦渋くじゅうの選択をする…


「ご一緒しよう!」

本当に都合が良いやつでした。ハラケン

らしいと言えばそうである。

そして人数が揃い、四人は日曜日に

ネズミーワンダーランドに行くことに!

黒崎は直ぐに光に、ハラケンを誘ったことを伝える。


「えっ??ハラケン?他に居なかったの??ハラケンってママと日曜日はいつも買い物してなかったっけ??」

光も本当はハラケンが好きなのです。

自分では気づいてないので。意外にやっぱり

好きだから、ハラケンの事に詳しいです。


「何か来たいみたいで、お買い物は延期するって!」

不満そうな表情を浮かべる光でしたが

内心は少し嬉しいかったのです。

自分でも気付かないくらいに!

光も了承し、みんなにチケットを渡した。

姫には当日まで黒崎の来ることを伝えません。サプライズにしたかったのです。

おや?その光景を遠くで見つめる人影が…

姫子大好きストーカー健である。


「ネズミーワンダーランド??最高じゃねーか!俺は誘われないのかよ!!くそぉ。どうにか俺も行きたい…何か無いか。」

資金に余裕も無く、生きる事で精一杯な

毎日なのでどうすれば良いか…。

今日は木曜日、3日後までに資金確保は

流石に苦しかった。バイトをする予定でしたが、働いてもバイト代が来るのは1ヶ月先…

悩みに悩み、頭を触る…でも、かつての栄光な自慢の髪の毛はもう無い…。

坊主の頭は寒かった。どうすればいいか。

考えても答えは見つからなかった。

仕方ないので日課になってきている

スーパーへのお買い物へ。チラシを毎日

見るようにして、安い物を探しに行くようになっていた。


「ん~っと、卵が安いなぁ。鶏肉も。

買い置きするのに限る。あれ?結構この

貧乏生活に慣れてきてる。最悪だぁ…」

でも日々の生活は充実感に満ち溢れていた。

最近は鶏肉とかヘルシーな物を食べるように

していた。野菜ジュースとか買ったり、

一人暮らしも満更悪くなくなっていた。

レジでお会計をすると、


「ありがとうございます!500円のお買い物でガラガラが一回出来るチケットをお渡ししています。良ければどうぞ♪」

初めてのガラガラを出来る事に。

出た玉により商品が貰える。金持ちには

無縁だが、庶民には最高なイベントだ!


「ふーん。面白いなぁ。三等のお米10キロも助かるなぁ!二等は黒毛和牛のステーキ。忘れてしまった美味しさ…食いてぇ!

よしっ!回すぞ♪」

チャンスは二回。どうなるか??


「二回お回し下さい。」

(よぉーし!俺の強運を見せてやる♪)

ぐるっぐる!力強く回すと玉が出てくる。

色は…青。


「青は六等の食器用洗剤の詰め合わせです!おめでとうございます♪」

(中々悪くない。あって困るもんじゃないし。意外に助かる!後は一回…いけぇ!!)

ぐるっぐる!回すと玉が出てくる。

…色は一体!?

金色でした。金色…!?何等賞なのでしょうか?


「おめでとうございます!!特賞のネズミーワンダーランド1日パスポートです!おめでとうございます♪」

鐘が鳴り響く。周りからも拍手喝采!!」

現実味が無い健。


「特賞?…ネズミーワンダーランドのパスポートかぁ。残念。二等の黒毛和牛の方が…ん?ネズミーワンダーランド??姫達の行くテーマパークじゃないのか?」

やっと自分の起きた出来事を理解する。


「やったぞぉ!!流石は俺だぁぁ!!

強運の持ち主だぞぉーー!やったぞ♪

姫待っててくれぇえーーい♪」

強運により、健もネズミーワンダーランドの

チケットを手に入れた。健は初めてのガラガラに大満足でした。まさかの、健参戦です♪

家に走って帰って行く健。


夜になり、黒崎はバイトから帰って来る。

隣の部屋から健が出てくる。


「よぉ!翼。お疲れ様!良かったら炭酸キンキンに冷やしてるから飲まないか?」

「悪いね。じゃあ貰おうかな!」

黒崎の部屋へ入る。何が目的なんだ??


「飲め、飲め!美味いぞ♪

どうだ?日曜日に少し出掛けないか?」

どう言うつもりなのだろうか?健は黒崎がテーマパークに行くことを知っている筈なのに

どうして聞くのだろうか?


「悪い。先約があって、ネズミーワンダーランドに行く予定なんだ。ごめんな!」

当然の返答である。


「残念だなぁ。何時に家を出るんだ?」

「ん~10時にテーマパークで待ち合わせだから9時には出ていくかな?」


「そうかぁ。楽しんで来いよ♪」

そうなのです。さりげなく黒崎から何時に

行くかと待ち合わせ場所を聞き出したかったのです。

偶然を装う為にも色々なデータが必要なのです。流石は策士であり、ストーカーである。

ここだけは能力の高い男でした。二人で

乾杯して、黒崎は家へ帰る。


「これで俺も姫と一緒にネズミーワンダーランドに行けるぞ!待ってろよ♪姫ぇぇ!!」

何か大波乱が起きそうな予感がするのでした。



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