第20話 白鳥家

光へのおもてなしが始まる。

龍平りゅうべい催促さいそく

より、あっという間にスイーツが沢山来る。

全部光の為にパティシエが、心を込めて作ったスイーツの数々。パティシエの総支配人。

ダンカンがメイドに運ばせ現れる。


「私が白鳥家パティシエ総支配人のダンカンと申します。真心込めてスイーツをお作り致しました。お口に合えば幸いです。どうぞ堪能たんのう下さいませ♪」

流石は三ツ星パティシエ。貫禄かんろくがあり、その表情には余裕や風格も感じられる。光の大好きなチーズケーキ、シュークリーム、フォンダンショコラ、チョコテリーヌ。フルーツの盛り合わせや数々のスイーツ。光は圧倒されてしまう。


「うむ。良くやったぞダンカン。下がりなさい!」

龍平りゅうべいの指示で皆は動く。

ダンカンは下がって行く。


「さぁ光ちゃん!好きな物食べてね♪」

龍平はニッコリ笑いながらスイーツを

勧める。どれを食べて良いか悩んでしまう。

まずは一番好きなシュークリームにしよう!


「じゃあ、シュークリームいただきます!

うぁむっ!むぐむぐ!うみゃあーーいっ♪」

感激の余り喜びの雄叫おたけびが出て

しまった。光の感激の度合いにより雄叫びが

デカいか小さいか決まる。

(しまった…ついはしたない雄叫びが出ちゃった…おじさんに怒られそう…)

びくびくしながら様子を確認すると…


「おっほっほい♪それが聞きたかった!

その雄叫びが出なかったら、ダンカンはクビにしてたぞい!」

ムムッ??今さりげなく凄い事を言っていた

気がしたが、聞かなかった事にしよう…

こっそり見ていたダンカンはガッツポーズを

決めていた。まさに使用人達にはテストの

様な瞬間でした。


「本当におじさん美味しいです!私、コンビニのスイーツで満足してるくらいまだまだなので、このシュークリームは天使の運んできたような甘さに優しさで包まれたシュークリームです♪」

「おっほほほ!それは良かった。」

龍平りゅうべいは姫の友達だがまるで

自分の友達が出来たように嬉しいかった。

奥様の百合ゆりも同じだ。


「光ちゃん本当に美味しそうに食べるわね!このチョコテリーヌも絶品よ?」

チョコテリーヌを勧める百合ゆり

光もコンビニではテリーヌは大好き。

独特な食感にチョコの濃厚な甘さが

凝縮されているのが格別なのです。光は

言われるがままに手を伸ばす…


「幸せぇ~~!本当に美味しい♪」

光は幸せ気分♪こんなに美味しいテリーヌは

初めて。何個でも食べれそうなくらい♪

バクバクっ!んぐ!?光は口に入れすぎて

喉に詰まってしまう。恥ずかしさより苦しさが勝ち、もだえ苦しむ光。


「んぐっ!!たっ…すけてぇ…。」

「おいっ!メイリィ。直ぐに紅茶を飲ませてあげなさい!!」

龍平りゅうべいの指示が出るとメイドが

凄いスピードで処理する。光の口に紅茶を

飲ませて処置する。


「大丈夫でしょうか?光様。」

「んっふぁ!ごめんなさい。喉に詰まっちゃって…この紅茶も凄い美味しい♪」

助けられてもまだ堪能たんのうする光でした。


「光。本当に食べ過ぎないでね笑。」

姫も光と食べるといつもより断然楽しいかった。


「本当に光ちゃんと食べてると楽しいのぅ!おいっ。音楽隊!何か音楽を。」

すると、凄い人数の音楽隊が登場する。

この日の為にセバスが用意したのだ。

何かのオーケストラが始まるくらいな

人数で盛大に音を奏でる…

♪~~♪~~!


「凄い良い音楽!最高!!」

段々と光は遠慮が無くなってきていた。

光はまるでシンデレラのような気分だった。

いつもは平凡に暮らしていて、魔法で

ドレスとガラス靴を履いている間はお姫様。

光は幸せな時間を過ごした。大成功なセバスの采配さいはい。パティシエの

ダンカンも大喜び。あっという間に夕方に…


「もうこんな時間…姫。そろそろ帰ろうかな?何か凄いあっという間で。」

「そう?ご飯も食べてけばいいのに!」

でも、光のお腹は膨れ上がり破裂しそうに

なっていた。


「食べたいけどもうお腹パンパンで…」

「光ちゃん。それは残念だなぁ…私たちも一緒に食べられると思っていたのに…。

せめて、ダンカンのスイーツをお持ち帰りしてもらおう♪ご両親も喜ぶだろうから!

ダンカン!!直ぐにお持ち帰りの準備を!」


「YES!BOSS!!」

ここの使用人は任務を与えられると

いつもこの返事になる。直ぐに支度に取り掛かるダンカン達。


「姫。おじさん、おばさん今日はありがとうございます。ウチはこんなにお金持ちじゃないから、ここに相応しくないくらい場違いだったと思うけど本当に、本当に!!幸せな1日になりました。ありがとうございます!」

すると、姫はそんな光を見て


「そんなことないですわ。皆光と食べれて楽しいかったから♪わたくしも凄い楽しいかったよ?」

姫も初めての友達が来てくれてとても

幸せな時間を過ごしたのです。

すると両親二人は??


「えっぐ…ひっく。なんて…何て良いなんだろうか!!私はこんなにも嬉しく愛しいと思った事はないよ!光ちゃん。

いつでも遊びにおいで?おじさんは何時いつでも待ってるから♪」

「パパと同じ意見よ!もう一人の娘が出来たみたいで凄い幸せだったわよ☆また来てね♪」

両親二人は光の健気けなげさを見て

感動してしまっていました。


「ありがとうおじさん、おばさん!また来ます♪」

光もあっという間に仲良くなり友達のように

なっていた。


「ここをもう1つの(家)だと思って来ておくれよ?冗談では無くね。何か困ったときはこの番号にかけておくれよ?何時いつでも駆けつけるからね♪」

龍平りゅうべいは光の事が大好きに

なり、謎の番号を渡す…


「ありがとうおじさん♪もしもの時かけるね♪」

光はその番号を受け取り帰る事に。


「お父様、お母様!リムジンで光送って来ますわ♪」

姫はセバスと一緒に送ることに。

セバスがリムジンを表に準備し、ダンカンは

リムジンに大量のスイーツを準備し整えた。


「光お嬢様。お車の準備が整いました。送迎致します。」

光と姫子はリムジンに乗り光の家に向かう。

窓を開けて手を振る光。


「今日はありがとう。おじさん!おばさん!また来るね♪」

その車が見えなくなるまで手を振り続ける

白鳥夫婦。全使用人たちは車が見えなく

なるまで頭を下げていました。

車の中で二人はお話をする。


「姫。アンタは凄すぎだわ!桁違いよ!

本当にビックリし過ぎて死にそうだったわよ笑。」

「ごめんなさい。両親二人も凄い楽しみにしてておもてなししたかったみたいで…」

楽しいそうに話す二人。二人は秘密が無くなり、また絆は深まった気持ちになりました。

その会話をずっと聞いてほのぼのする

セバス。


(お嬢様。本当に楽しいそうで何よりです。

このセバスの全てをぶつけた甲斐かいがありました。)

セバスも感無量かんむりょうでした。

そして光の家に到着。


「姫。今日は楽しかったよ!また学校でね。」

「それは私もよ。じゃあまた明日ね!」

リムジンは光の家から去って行きました。

両手に大量のスイーツを持ち家に入る光。


「ただいまぁ!」

直ぐ様、両親二人が走ってくる。


「光!!何か失礼な事してないでしょうね??」

「ん~、大丈夫!!凄い仲良くなったし。

これお土産みやげお父さんとお母さんに♪」

そして、光はお風呂に入りに行きました。

少し疲れたみたいです。両親二人はお土産の

箱を開ける。中には見たことないような

スイーツの宝石箱のような光景が…


「お父さん。光のお友達はとんでもないお金持ちみたいね…。」

震え上がる光ママ。


「本当だね。こんなスイーツ見たこと

ないねぇ…ん?作った人の紹介するメッセージカードまで入ってる。ダンカン??

あの、世界が認めた名パティシエじゃないか!?」

光パパは物販のお仕事をしているので、ダンカンの顔だけは見たことがあったのです。

二人は黙りながら静かにシュークリームを

パクりとかぶりつく…


「お母さん。どうだい??」

「コンビニは当分は行かないかな…」

二人は静かに美味しそうに食べました。

今日は誰にとっても大変な1日になりました。

明日はどんな1日になるのでしょうか??

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