第17話 優しい嘘
光は姫の家に遊びに来たいのだ。
何て言えば誤魔化せるのか…
「全然嫌じゃないけど、本当に部屋とか
汚いし。」
「全然気にしないから!良いでしょ??」
こんなに優しい親友ならお金持ちだからって
なんにも変わらないかなぁ?
もし言って変わったらどうしよう…
姫の頭の中に不安が
「分かったわ。今度呼びますわ!」
「ありがとう♪姫ならそう言うと思った♪」
約束をしてしまった。信じるしかない。
光なら大丈夫…そう思うようにした。
その後二人はそのまま別れ帰りました。
家に帰り悩む。光が来たらどうおもうか?
今までのクラスメイトのように特別扱い
になってしまうのか?色々悩んでしまう…
「はぁ、どうすればいいかしら…セバス。どうすればいいかしら?」
重い表情をするセバス。
「お嬢様。お友達はどう思うかは分かりません。でも、絶対にお嬢様がちゃんと話せば想いが伝わる筈です。」
セバスはそう信じたかったのです。
「そうねぇ。上手く行けば良いけど…」
悩む姫。どうにか上手く行く方法はないのか?
その頃、光はまだ外に居たのだ。実は
鞄の中に、姫の生徒手帳が紛れ込んでいたのだ。生徒手帳には住所が書いてあるから届けようと家を探していた。
「あれ??ここら辺かなぁ?ここら辺って高級住宅街しかないのに。もしかして、ちょっとはお金持ちだったりして笑。」
あながち外れていなかった。
探しているとあることに気付く。
「ここら辺ってもしかしてあの大金持ちの白鳥家がある所じゃない??」
そうなのです。あまりの大金持ちの為、一般人もテレビとかで見たこととかもあったのだ。少しずつ真実にたどり着きそうになる。
そして遂に白鳥家の前に着く。
「えっ??住所ここになってるんだけど…もしかして姫はあの白鳥家だったの??」
動揺が隠せない。それもその筈、今までただの友達がまさかあの「白鳥家」なんですから。思い当たる所はいくつかあった。
動揺してしまい走って帰って行ってしまう。
「はぁ、はぁ、何で帰って来たのかしら…バカみたい。」
光は後悔していた。別に姫を嫌いになるわけが無い。でも、あんな大金持ちが何故自分なんかとあんなに仲良く普通に接してくれるのか?
もしかしたら、内心はバカにしているのでは?色々な予想をしてしまう…
ん??待てよ?健は金持ちでいきなり
転校してきた。これは偶然なのか?
絶対に違う…健と姫との共通点は多かった。
健に真実を問いただそう!
すぐに健の団地に向かうのだった。
その頃、健はと言うと…
「あちゃ~全然目玉焼き出来ないぞ!
この翼ノート嘘ばっかりだな。真っ黒に
直ぐになっちまうよ…早く帰って来ないかなぁ…」
愚痴を
いた。
〈ドンドンドン!〉
(この鈍いノック音は来客だ!
翼が帰って来てくれたのかぁ??
助かったぁ~)
そう思いながら玄関にGO!!
鍵を開けると光が乗り込んできた。
「アンタ、聞きたいことあんだけどいい?
隠しても無駄よ!!」
「何だよ急に。ビックリするだろ!
何時だと思ってるんだよ。」
本当にビックリしていた。
光の猛攻は止まらない…
「姫子の家の事情とか、前の学校の事とか全部知ってるだろ??教えなさいよ!」
焦りまくる光。
「そうかぁ…知りたいのかい?なら、材料はあるからハンバーグを食べさせてくれ!
交換条件だ。」
姫には内緒にする約束だったけど
お腹が減りすぎて交換条件を出した。
本当にみっともない奴でした。
光は慣れた手つきで料理し始めた。
「凄いなぁ!貧乏人は誰でも料理できるのかな?勉強になる。」
言葉選びが相変わらず最低。褒めているのですが、人の気持ちが良くわからないのです。
自己中心的な考えが多い健なのです。
「うるさいわね。アンタなんてどうでも良いから、姫の話早く聞かせてもらうわよ?」
30分くらいで簡単にハンバーグと付け合わせ、ご飯を炊いて完璧な夜ご飯の出来上がり♪
「凄いなぁ!それじゃあ頂いてやろう♪
あーむ。モグモグ。お前毎日作りに来いよ!良いシェフになれるぞ!」
美味くて沢山食べる。
「アンタ!そんな事より姫の話は??」
「ん?そうだったなぁ。まあ俺と姫はちょっとした幼なじみみたいなもんよ!」
家柄的にも同じ金持ちなので接点があり
会うことが多かった。そして、金持ち私立
高校から転校したからついてきた事。
全て話した。白鳥家の凄さも。
「…そうだったんだ。そんなに身分が違うんだね。」
ショックが隠せなかった。悪いことでは
ないのは分かっていた。でも、何故か少しだけ恥ずかしい気持ちが芽生えてしまった。
もしかしたら、今まで自分の事をバカに
していたのでは??色々考えさせられてしまった。それをハンバーグを食べながら見ている健。
「モグモグ。そんな考えることあるかなぁ?アイツが黙ってたのは家柄とか関係無く、仲良くなりたかったんじゃない?俺も金持ち
だから特別扱いされるけど、俺はそれが嬉しいけど姫は違うのかもな。前の学校では
食べなかった適当に返答している健。
でも、健に言われて光は気づいた事があった。いつも二人で居るときのあの笑顔に嘘なんて無いと!!
勝手に壁を作っていたのは自分だと思った。
姫は親友だもん。絶対に家柄で差別なんて
しないんだ。絶対に…心にその想いが膨らんで行く。この前のホテルバイキングもあんなに怒ったのは、自分の為以外には考えられなかった。
「サンキュー。マスタードマン!何か
色々吹っ切れたわ!じゃあね♪」
「誰がマスタードマンだ!!ん?もういいのか?」
健は消化不良でした。
家に帰り、両親に姫の話をすると
「やっぱりそうだったか。話し方、雰囲気とか、この前のお土産も見て何となく気づいていたよ。」
光はビックリする。
「じゃあ、何でウチに直ぐ教えてくれなかったの??」
「あの
父は姫子の事が何となく気づいていた。
大人を騙すのは難しいようだ。
「私とお父さんで決めたの。あんなに良い
だから、光には黙って居ようと思ったの☆」
光はその話を聞いてその通りだと思った。
一瞬黙って考え口を開く。
「姫の奴!!ウチが特別扱いすると思ったら大間違いよ。むしろ、イジメてやるんだから笑。」
涙目になりながら強がる光。
階段を上がり、部屋に行ってしまった。
「母さん。光には本当に良い友達ができたね!」
「本当にね。お父さん♪」
微笑ましく光を見守るのだった。
次の日、学校に行こうとする姫子。
「はぁ…結局なんて光に言い訳すれば良いか、全然分かりませんでしたわ。」
夜中ずっと考えていたようだ。
学校生活のあるあるは、凄い考えていても
学校に行くと意外にそんなに考えることなかったような事が良くある。考えるより行動すれば、良い方向に行くかもしれない。
踏み出す一歩が大切なのだ。
セバスがリムジンを用意して待っている。
「お嬢様。お待ちしておりました。行きましょうか??」
「うん…出して
元気のない姫子。もしかしたら、嫌われるかも。距離が生まれたらどうしよ?色々
考えてしまう…すると、門を出ると車の前に
立っている人影が見える。
近づくとその正体は光だった!!
「え??光?」
「どうなさいますか?お嬢様?」
光の取った行動とは一体!??
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