第14話 男たちの友情
まさか黒崎と健が同じ団地に住む事に
なってしまうとは…なんと言う偶然。
「翼はここに住んでたのか?」
びっくりしてしまう。姫子と同じ反応だ。
「父さん1人で育ててくれてるから色々と
金銭面的にも大変なんだよね…バイトも
してるしね。」
健は姫子と同じ気持ちになっていた。
自分はのほほんとお金持ちで生きてきて、
その裏では黒崎のように、苦労して努力
して頑張ってる人もいる。
これが現実だ。世界は平等ではないのだ。
「そうか。お前も大変だな…。」
健が人を気にすることなんかほとんどなかった。ましてや男になんかは…。
「もう慣れてるよ!一緒にご飯食べる?」
黒崎の家に招待された。1人で作るのも
大変だし、寂しいし、行くことにした。
中に入ると狭い。1人暮らしでも狭くて
息苦しくなりそうだった。でもキレイに
していて性格が出るもんだ。
「九条君。今からハラケンが来るから、皆で鍋食べようか!」
5月に鍋??しかも一つをみんなで
つついて食べるのか…昨日の生活が
懐かしく感じていた。
「なんでもいいぞ!ハラケンって誰だよ?」
健はあっという間に女の子は覚えられるが、男は全く眼中に無い。
「知らないよね!背が高くて、面白い僕の友達だよ。」
思い出すと1人でかくて木偶の
「なんでもいいって!にしても、鍋は
美味いのか?」
鍋を食べたことないから不安であった。
健は座って待つことに。海鮮の出し汁が
沢山取れた辛味噌海鮮鍋にすることに。
海老やホタテ、ぶりや豆腐が入る。
出し汁の宝石箱のようだ。黒崎が作って
いる所をじっくり見ている。料理と言うのは
コックや下の者がやると思って生きてきた
から、料理する所を見たいとも思った事は
なかった。だから見ているだけでも凄い
勉強になっていた。
すると、玄関の扉が開く。
「うぉーい!鍋食べに来たぞぉ~。」
(なんだ?このボケ声は?)
ハラケンの登場です。やっぱりボケた
声をしていた。
「おやおや?健くん?来てたのかい?」
ハラケンが話しかけてきた。健は男が嫌い
だった。何故なら「得」がないからだ。
女なら付き合ったりしたり、仲良くなると
気分が良いが男はむさ苦しいくて関係を
持とうとはしていなかった。嫌々挨拶をする。
「…よぉ。宜しくな。」
どうせ直ぐにあの金持ちの人生に戻れる。
今だけの我慢だ。黒崎には世話になったから
少しはお礼でもしようかと考えていた。
黒崎が料理していると、またハラケンが
話をかけてきた。
「健くんは
中々優しいハラケン。考えてみたら
男に優しくされたことはあまりなかった
健。お金で言うことを聞かせたりはして
たけど、純粋に心配されたりとかは
なかった。複雑な心境だった。
「ああ!サンキュー。」
意外にハラケンも黒崎同様に優しい
やつなんだと感じるのだった。
何だかんだ時間が経って、黒崎が鍋を
持ってきた。
「出来たよ!辛味噌だから辛いけど九条くん大丈夫??」
(はぁ?なに言ってるんだよ。辛いの得意に
決まってんだろ??)
健は辛いの大好物だった。
「おう。食えるに決まってんだろ?
この茶碗に入れてくれ!」
相変わらず態度が悪い。黒崎はそれでも
優しく対応する。
「了解だよ!はいっどうぞ。」
海鮮てんこ盛りなお鍋を今食べる。
(匂いは悪くないなぁ?あんまり金かけて
ないから、そんなには
恐る恐る頂く。熱いから冷ましながら
食べると……ん??これは??
「うめぇーーい!!」
心の声が出てしまった。1000円以内で
こんなに美味いとは思わなかった。
高級な物を色々食べてきたけどこれは
本当に美味い!高級な物の方が美味いに
決まってるけど、純粋にこの鍋は素材の
だしを出した最高な一品だった。
「美味しいかい?頑張って良かったぁ!」
黒崎は笑顔で喜ぶ。
「美味いよな!黒崎の料理はママの次に美味しいから、良く一緒に食べるんだよな。」
ハラケンも美味しいそうに食べる。
健は美味しいくてどんどん食べる。
「うめぇな…本当に!」
健は
絶望してたから、この鍋は何より
温かくて美味しいかった。
「おいおい!金持ちもこの鍋は美味かったかな?」
相変わらずのハラケン。
「うれせぇな。翼は料理上手いんだな。
やるじゃん!…俺にも出来るかな?」
健は自炊しないといけないから、覚え
たいのだった。
「出来るよ、簡単だよ!これだけは金持ちも貧乏も関係ないからね笑。」
お茶目な皮肉を言うのだった。
「そうかもな!色々教えてくれよ。先生!」
いつの間にか
行くのだった。鍋パーティーは夜遅くまで
盛り上がった。健は初めての男友達が
出来て凄い嬉しいかった。
10時にハラケンはママの迎えが来て帰る。
「健!今日は楽しかったな。またやろうぜ。」
ハラケンは笑顔で帰って行った。
「本当。アイツはマザコンでお気楽だな笑。」
「まあ、そこも良いとこなんだけどね。」
二人は帰るのを見届けた。
夜遅いから自分の家で寝ることに…
「今日は地獄だったなぁ…こんな狭い家に
住むことになって、お金もないし…。」
でも何故か、今はそんなに苦しくなかった。
友達が出来たからか?
全然寝心地も悪い。でも何故なのか
いつもよりぐっすり寝られました。
健に足りなかった物は友達だったのかも
しれない。
その頃、姫子は
「本当は健がふざけてたら下剤入りの
シュークリーム食べさせて、ピーピーにさせてやろうかと思ったのに
がっかりしている姫。姫はイタズラ大好き
だったから、ちょっと残念に思うのだった。
「お嬢様。シュークリームが一個余って
いるのですか?ちょうど小腹が減って
おりましたので、
食いしん坊セバスが勝手にシュークリーム
に手を出してしまった。
「セバス!それは…あっ…」
もう遅かった。セバスは食べてしまっていた。
「ん?お嬢様どうなさいました?ん!?
おう!?…お嬢様。お花を摘みに行ってきます…。おっぷ。」
セバスは凄い速さで走って行った。
かなりの量の下剤を入れてたので
凄い効き目だったようだ…
「セバス…ごめんなさい。食いしん坊は治しなさいね!」
その日はセバスはトイレから全然出て
来ませんでした。
次の日、朝になり目を覚ます健。
「あ~良く寝た!髪型直さないと。」
鏡を見るのが日課の健。
「あっ!もう髪剃られて坊主になって
たんだった…。」
鏡を見て悲しくなる。
ぐぅ~~っ!
お腹は正直だ。悲しくてもお腹が減る…
ピンポーン!!
誰かきた。
「九条くん。朝ご飯作ったよ!一緒に
食べよう♪」
黒崎が朝ご飯を作ったようだ。
ご飯に味噌汁、豆腐に鮭。まさに、日本人
の朝ご飯。
「すげぇ。庶民的な朝ご飯だなぁ!!」
「ごめんね。味は美味しいと思うよ?」
嫌がりながらも食べてみる。
「ん?意外に美味いな。あっさりしていて
鮭もこんがり焼けてて美味い。翼は
なんでも出来るんだなぁ♪」
満足して食べまくる。意外に庶民的な
食事も悪くないと思う、健だったのだ。
食べ終わり、準備をして二人で学校へ!!
二人は歩きなが世間話をする。
「お前は貧乏で辛くない?」
「もう慣れたよ。でも幸せはお金だけじゃ
ないからね!料理だって遊びだって、お金なくても出来るしね♪」
それは納得だ。黒崎は
「そうか。…決めた!お前に色々世話になってるし一緒に居ると楽しいから、今日から友達な?」
なんとも下手な友達へのなり方だ。
不器用だったから仕方ないですね。何故なら
友達は初めてだったから…
「僕は昨日から友達だと思ってたよ?
健くん宜しくね♪」
二人は握手をし、熱い友情が生まれたのだった。
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