第9話 表裏一体

大きな部屋で沢山のテーブルが並んでる。

その上にはさすがは高級ホテルのバイキング

の料理が広げられていた。

4人は完全に場違い。

でも同じお客さんなので、楽しむようにしましょう。


「 凄い…… 絶景よ。天国♪ 」


光は大喜び。ローストビーフやカニ、

ハンバーグ、ステーキ、お寿司。

デザートもケーキ、ヨーグルト、ムース

ババロア。まさにグルメの天国。


「さぁ。みんなどんどん食べて。 」


ハラケンの奢りなので楽しむ。

光は皿の上に盛りだくさんの料理を

乗せて席に着く。

みんなも皿の上に料理を乗せて席に着く。


「いただきまぁす。」


みんなで食べまくる。

学生の胃袋は計りしれない。


「もぐもぐ。このステーキ美味しい♪

最高。ありがとうハラケン。」


光は幸せそう。

ハラケンも満足そう。

払って後悔は無かった。


「 本当に美味しいね。

こんな料理が本当に2500円なのが凄い

ね。」


王子もびっくりな価格でした。

姫もバイキング初めてで、色んな物

食べまくる。


「 本当に美味しい。料理沢山あって

迷いますわ♪ 」


姫も楽しいんでいた。

姫はサラダを載せたヘルシー皿。

ムシャムシャ食べる。


「 美味しいね。カニも凄い美味しいね。

食べにくいけど笑。」


ハラケンはカニに夢中。

頑張ったバイト代で食べる料理は最高でした。


「 お寿司もお寿司屋さんみたいに美味し

い。

ここのホテルさすがは高級バイキングだよね。」

王子も満足。高校生はいつでも

お腹減ってるものだ。光は別格。

一時間が経過しても止まる気配がない。


「 もう食べ終わっちゃった!もう一皿。」

また一皿取りに。


「 光。食べ過ぎじゃない? 」

食べ過ぎな光を心配する。


「 何言ってんのよ。折角来たんだから

もっと食べなくちゃ♪ 」


まだまだ食べそうだなぁ……

皆思っていました。

バイキングじゃなければ、いくらになるのか……


二時間が経過。さすがにお腹が膨らみ

光も限界に……

ホテルマン達もビックリ!!


「 もう、ダメ。食べれない…… 」


みんなはとっくに食べれなくなっていた。

ハラケンがお会計に。


「 ありがとうございます。

合計で28000円になります。」


あれ?金額が違う。

ハラケンは焦る。


「 あのぅ…… 一人2500円ではなかったです

か?」


間違いないない。何度も公式ホームページを確認したのだから。


「 そのキャンペーンは現在終了していて

、通常の価格7000円で四人合わせて

28000円になります。」


実はここのホテルはキャンペーンを

ホームページから消していなかったのです。

消さない理由は騙されて来た人から通常

価格を取れるからである。

詐欺ではない。

よーく見るとキャンペーンの画像の右下に

現在終了しております。

と小さく書いてあるのだから。

どうするハラケン。

どんな事を言われても納得できない姫。


「 この画像では分かりにくくて誰でも

勘違いしませんか?

納得できませんわ! 」


ハラケンが怒らないから何故か姫が話していた。

支配人登場。


「 お客様。どう申されてもルールですの

で。」


その一点張りである。

子供なので話も聞いて貰えない。


「 あなたが支配人ならキャンペーンが

終わったら画像を消さなかった事が

悪いとは思いませんか?

ここの信用も下がり、楽しみにしてた人を

悲しい気持ちにさせるとは思わないのです

か?」


頑張る姫。こんなに口論したのは

初めてでした。

でも、間違ってるものを

見逃すことなんてできなかった。


「 お客様。このままでは話にならないので

親御さんを呼んでもらえますか?」


面倒なことになってきた。どうする?


その裏側でその高級ホテルを経営している社長が視察訪問していた。

大きな声が聞こえて耳を傾ける。

聞いていると女の子が一生懸命訴えている。言ってることは何も間違えてはいない。

…… あれ?

この声に聞き覚えが……

少しずつ近づいてみると。


「 あれは……白鳥お嬢様!!!??? 」


社長は何度か姫に会ったことがあったのです。何故バイキングに来てるのか?

来るなら貸しきりにして出迎えたのに……

実はここの社長が、ホテル業界で大きく

なれたのも大株主に(白鳥家)の力が

ほとんどであった。白鳥家は色んな経営を

していて、どの業界にも絶対と言っても

良いくらい白鳥の名前は絶大である。

震え上がる社長。もし自分の経営する

ホテルの支配人が、大株主のご令嬢に

こんな無礼を働いたら……

確実にここの業界から追放される。

ある会社の社員が、ご令嬢にぶつかり子供だから謝らなかった所を大株主白鳥が見ていて、そこの会社は次の日にはライバル会社に吸収合併されたと言う都市伝説がある。

早くこのご無礼を土下座して謝らなければ……

ちょっと待てよ。

少し前に伝令が来ていた。

白鳥様から色んな会社宛にだった。


( うちの娘が今高級私立から普通の県立高校

に転校しました。

その理由はお金持ちとしてではなく、普通

の家でみんなと同じく対応し てほしくて社

会勉強の一つとして転校しました。どう

か、うちの娘が皆様方に出会ったりご無礼

を働くかもしれません。どうか特別扱いせ

ず、暖かい目で見守り下さい。)


と言う伝令だった。

もしこの場で走って行って、土下座なんてしたら即バレてしまう。

もしバレたら…… 考えたくもない。

バレないのようにするには、知らないフリを

しながらここの支配人を叩き直すしかない。

早く行かなければ。


その頃、支配人が段々タメ口が酷くなり

態度が豹変していた。


「 お嬢ちゃん。あんまり大人を嘗めない方

がいいよ?どっちが正しいのかな?

お金を払えない貧乏人はバイキングなんか

来るんじゃないよ! 」


走る社長。間に合えぇーーい!

会社の未来の為に……


「 わたくしは貧乏なんて関係ありません。

値段を調べ良いバイキングだと思い、

みんな楽しみに来たのです。

差別なんてわたくしが許しません!! 」


姫も差別され怒っていました。

これが、自分がちょっと前までやっていたと

思うと腹がたった。

一番怒ってしまったのは「友達」を

バカにしたことや、ハラケンの想い、

楽しみにしてた光の気持ちを踏みにじる

行為に激怒したのだ。

みんなは唖然とした。それはいつも優しい

姫があんなにも怒り、大人の人に負けないで

口論する姿に感動していた。

社長が到着。息の乱れを整えて、走ってきた事がバレないようにゆっくり歩き近づく。

何事もなかったように……


「 おっほっほ。そのお嬢さんの言う通りじ

ゃ。」


初対面のように、偶然通り掛かった社長の

ように振る舞う。


「社、…… 社長!! どうなさいました!?

今日はご訪問でしたか?」


焦りまくりの支配人。


「 お金儲けの為に、ホームページの画像を

消していなかったお前さんが悪いとは思わ

ないか?」


まさにその通りだ。

言い返す事も出来ない。


「 期限が書いてあろうとも、キャンペーン

が終わったら普通は画像を直ぐに消すのが

経営者からお客様への配慮じゃ。

そう思わんか? 田代よ! 」


田代支配人は何も言い返せない。

経営の為とは言っても、信頼を失う行動でした。


「 お嬢さん。今日はワシに免じて許しては

くれぬか?みんなの信用も回復したいの

で、今日のお会計は無料にする。

それで許してはくれぬか? 」


格好いい貫禄のある社長のフリをしても

足の震えが止まらない。汗も滝のように

吹き出してくる。


「 分かってもらえれば全然気にしません

わ。私たちはこのホテルの料理もサービス

も見た目も全部が好きだったから、一つの

理由で嫌いになりたくないです。

支配人さん。間違えは誰にでもあります。

ここに居る光は楽しみに来たのでショック

だったと思います。わたくしにはいいの

で、光にだけでも良いので謝ってもらえま

せんか?」


断る権利なんてありませんでした。


「 光様。この度は申し訳ありませんでし

た。

改心致しますのでどうかお許しを…… 」


泣きながら謝る支配人田代。

欲が出てしまうのも人間の証拠ですね。


「 ウチは全然かまいません。本当に

美味しいかったですから。

また来ても良いですか??

迷惑でなければ…… 」


「 滅相もございません。どうか、どうか又

お越し下さいませ……。」


男泣きしながら頭を下げる。


「 良かったです。じゃあ仲直りの握手。」


光らしいスッキリした性格である、


「はい、喜んで!! 」


深く深く、手を握るのだった。


「 本当に申し訳ありません。支配人には

私からちゃんと言い聞かせて置きます。

又、ご来店して頂きたいので、ご招待券

をお持ち帰り下さい。これからも宜しく

お願いします! 」


社長が頭を下げる。

支配人も直ぐに頭を下げた。


「 本当にありがとうございます。絶対に

支配人さん辞めさせないで下さいね。

誰にでも間違えはあります。

それをやり直すチャンスを与えて下さい。

また来ますわ♪ 」


そう言って、みんなはホテルを後にした。


二人共ため息をつく。


「 田代。お前さんは利益の為になんて事

を!! 信用がた落ちじゃ!! 」


怒り狂う社長。


「 申し訳ありません。

責任を持ちまして私は…。」


あまりの出来事に辞めたがる田代。


「 さっきのお嬢様の話を忘れたのか?

お前にも信用を取り戻すチャンスをやる。

生まれ変わる気持ちで改心するんじゃ

ぞ!! 」


そう言って帰って行く社長。

深く噛みしめ、涙を流す田代。


「 はい…… 社長! 」


「 あのお嬢様に助けられたな…… 」


社長は一言そう言うと、帰って行った。


遠くから監視していた、白鳥夫婦とセバス。


「 ……危なく出ていく所だった。」


さすがは白鳥家の御当主でした。

怖い、怖い…


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