第6話 王子の家柄

二人で光たちと合流。光が慌てて近づいて

くる。


「 ごめんね。ちゃんと見てなくて……

ハラケンのことなら私たちで叱っといたか

ら笑。」


光と雀はニッコリ♪

方針状態のハラケン。


「 さっきはごめんなさい……

俺の方が唄うの下手なのに笑ったりし

て。」


相当絞られた様子。

軽く怯えている?


「 大丈夫ですわ。 あんなことで気にしてた

私が悪いの。 ごめんなさい。」


姫も自分の否を認め謝った。

姫は今まで謝ったことはほとんどなかったので、貴重な体験になり、また一つ大人になった。


「 次はあたしもハラケンがふざけたら、怒

るからいつでも言ってね?? 」


強気で女の子の味方。優しい雀!


「 ハラケンが反省した所で、雑貨屋とかで

ぶらぶらしようか?

白鳥さん唄うのちょっと抵抗あるから、も

う少し慣れたらにしようか。」


配慮してくれる王子。

皆も納得してくれた様だった。


仲良く街中を探索したり買い食いしたり、

姫が今まで味わったことのない学園生活。

まさに青春を謳歌していたのだ。


あっという間に夕方に、


「 そろそろ帰ろうか? 」


夕方になり、暗くなって来たので帰る事に。ハラケンはまだ方針状態。

なにをされたんだぁ??


光が帰りのことを話始める。


「 ハラケンはママのお迎えくるから良いと

して、私と雀は家近いから途中まで一緒に

帰る。姫は家はどこら辺?? 」


( ヤバい! また家のことがバレちゃいそう……)


「 迎えが来るから大丈夫ですわ。

ありがとう♪ 」


そう言って別れることに。すると、


「 一人だと心配だから僕も待ってるよ?

二人なら寂しくないし♪ 」


本当に優しい!

優しい=《イコール》黒崎くんって感じだ笑。

みんなと解散して、迎えを待つことに。


「 こっから僕の家近いから家で待とうか?

嫌じゃなければ☆ 」


いきなり!?

まだ心の準備が…… 即答で


「 はい。喜んで♪ 」


姫子は王子の家にお呼ばれして大喜び。

今なら死んでも良いくらい幸せぇ~。

どんな家なのかしら?

大きいマンション?

2階建ての一軒家?

嫌々、あんな感じかな?

妄想すればするほど膨らんでゆく。

少し歩くと着いた。


「 あれが僕の家だよ。 ボロくて狭いけど気

にしないでね。」


それは綺麗とはお世辞にも言えない、老朽化が進み築10年以上前に作られたような「団地」だった。

姫子は愕然とした。妄想ではもっと綺麗である程度広い家だと思っていたからだ。

勝手に妄想し過ぎてた姫が悪い。


「 お邪魔しまーす。 」


その家の中は掃除したりして、綺麗になっているがとても狭い。

1LDK。


「 びっくりしたよね? これ飲み物どうぞ。

家は貧乏で、お袋が借金作って出てって親

父と二人暮らし。

俺も朝は新聞配達したり、土日もバイトし

て家の足しにしてるんだ。」


とても姫子とは無縁のお話。

今までの同級生は金持ちばかりで、こんな生活をしているのは、テレビだけの世界だと錯覚していたのだ。

初めて会ったとき新聞配達していたのは

そう言う訳だったのか……


「大変なんだね…… でも凄いなぁって感心していますわ。

私なんかバイトもそれどころか、ゲームセンターとか当たり前な事とか全然出来ないから。」


動揺を隠しきれなかった。

外でセバスがスタンバイしていた。


「 お嬢様。これが世の中の現実。

大富豪も居れば貧困ひんこんな家庭も

ある。

お嬢様には別世界の話なんですよ。」


セバスはこの貧困ひんこんと大富豪の格差を見せたくなかったのは、貧困の苦しみ

痛み、その格差のせいでいつの間にかお互い

(平等)には見れなくなる。

その苦しみを姫には味わってほしくなかったのだ。

だから金持ちは金持ちと仲良くすればいい。

セバスなりの優しさで守られていた。


黒崎は手料理を振る舞っていた。

手慣れた手つきは、毎日やっていることを物語っていた。


「 知ってる? イタリアでペペロンチーノは

材料がほとんど入ってないから、貧乏人の

パスタって言われてるんだよ。

でも、料理人はみんなペペロンチーノを作

らされるんだって。

材料がほとんど入ってないぶん誤魔化せな

いんだよ?

塩加減もパスタの固さも全てが調和して初

めて料理になるんだよ。 知ってたぁ?

はいっ! お待たせ♪ 」


あっという間にペペロンチーノが出てきた。

良い匂い……見た目も凄いお店の様な綺麗に盛り付けされた、パスタでした。


「 そんなお話があったんだぁ……

いただきます。 」


そのパスタは簡単に作られていたが、

味付けも歯ごたえも全てのハーモニーが

調和して(料理)になっていた。

まさに、完全調和。


「 美味し……いっ!

おいっ……しいですわ……ぐすっ。」


姫は涙をこらえながら食べた。

何故なら今まで安物や貧乏人を差別してきた。

でも、貧乏や安物が悪いのか?

それは違っていた。お金をかけていれば美味しい物や、綺麗な物、沢山良いものはあるだろう……

でも、この(パスタ)には王子の優しさや

手間隙かけて作った思いが沢山込もっていた。

食べながら今までの自分の行動、言動、

全てが恥ずかしいくなってしまった。

このパスタには美味しい物や楽しいこと

全ては(平等)であることを語っているように感じた。

今まで食べたどんなパスタよりも暖かく、

心が込もっていて本当に美味しいかった。


ピンポーン!迎えがきた。


「 お客さん、お迎えにあがりました。

お乗り下さい。」


それはタクシーだった。

セバスは姫を配慮して、大富豪に見えないように工夫した行動だった。


「 ご両親忙しいのかな?

タクシーで迎えよこしてくれたんだね。

今日は楽しかったよ♪ 」


また遊ぼうと黒崎は笑顔で語った。

姫はその笑顔に救われた気がした。


「うん。 今日は本当に楽しかったですわ。また明日学校で。ペペロンチーノ、ご馳走さまでした♪ 」


タクシーに乗り黒崎の家を後にした。


家に着いて直ぐに部屋へ。

自分の部屋はあまりにも広く感じた。

当たり前なものは当たり前ではなかった。

少しだけ皆との生活の違いに、気付いたのでした。


姫はお風呂に入り、髪を乾かし

ベッドの上で本を読んだ。

姫の大好き(シンデレラ)。


「 シンデレラは貧しいかったとき王子を好

きになったのは顔なのかな?

それともお金持ちだから? 」


色々考えた。

王子様が何故シンデレラを選んだのか…… 沢山考えた。

今までこんなに考えたことはない。


……よしっわかったぁ!!

凄い大きな声を上げた。

直ぐさまセバスが走ってくる。


「 お嬢様。どうなさいました? 」


姫の様子が心配で心配で仕方なかった。

セバスも全然眠れませんでした。


「 セバス。私は貧困ひんこんと大富

豪…… 絶対交わらないと思ってました。

でも分かりました、今日1日の出来事と、

この(シンデレラ)を見て。

王子様が絵本で言っていたのは、ガラスの

靴に合う人を田舎とか色んな場所で一生懸

命探したのは、踊っていたとき身分を隠し

ていたけど、シンデレラと王子様は同じ人

間で楽しかった。お金があるかどうかじゃ

ない……

一緒に居て楽しかったから、シンデレラを

探したのよ。

だから、シンデレラを見つけたときも身分

なんて関係ないから、結婚を申し込んだの

よ♪

ただ、一緒に居て心地良かったのよ♪ 」


夜中遂に姫はたどり着いた。

差別とかこの世界に沢山ある。

でも、自分は二度と差別はしない。

みんな同じ人間。

平等でなくてはいけないのだと。

姫は難しく考えるのをやめた。

なぜなら同じ人間なんだから。

世界はこんなにも簡単だと言うのに……

姫は強い思いで誓うのであった。


号泣するセバス。

もうセバスの知ってる傲慢ごうまんで差別的な姫はそこには居なかった……


ここにいるのは誰にでも優しくありたい、

誰にでも平等。

他の人と何一つ変わらない白鳥 姫子だった。

セバスの考えていた先に行っていた。


「 お嬢様…… ぐすっ。えっぐ。……流石は

白鳥家の一人娘。 ぐすっ。一生付いてい

きます!! 」


セバスは心から誓う。

今後色々な辛い試練が姫子を襲うだろう……

へこたれることもあるだろう。

でも大丈夫。

何故ならここには私がいるんだから。

絶対に姫子を助けるんだと誓った。


「 よぉし。 明日も学校楽しみだなぁ♪

朝は一人でお弁当でも作ろうかなぁ? 」



「 お嬢様…… 今(一人で)と申しました

か?? 」


震え上がるセバス。


「当たり前よ。 女のたしなみですもの♪ 」


明日は朝から波乱万丈になりそうな気がするセバスチャンであった。




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