第4話 秘密の学園生活
今日からほとんど毎日王子会える。
薔薇色な日常。授業が始まっても余計な
事ばかり考える。先生はそれに気づく。
「 じゃあ、この英文を訳してもらおうか
な? 白鳥さんできる? 」
いきなり指名されてしまう。当たり前でした。先生はサボりを見つけるのが得意。まさに、ハンターなのだ。
「……はい。 ボブくんは買い物に行くとき
次郎くんを誘って行くことにした。」
瞬時に答えた。当然だ。優秀な家庭教師に教えられ、語学力や勉強関係なんでもできる。ここの高校の偏差値じゃ話しにならなかった。
すげぇ…… ざわめきが起こる。
( ヤバい、目立ち過ぎた。私は平凡な女の子
なので、出来るだけ目立つのはやめましょ
う。)
姫は目立つ行動を控える事に。
「 正解です…… 座って大丈夫です。」
先生はやるせなくなっていた。答えられないのが当たり前なので、出来てしまうと……
「 凄いねぇ。僕は全然英語出来ないから羨
ましいなぁ。今度教えてよ。」
凄い誉めてくれる王子。幸せ…… 純粋な眼差し。裏表ない笑顔。写メ撮りたいくらい……
「 全然凄くないですわ。 ただ家で少し習っ
てて出来ただけですわ。」
照れながら言うと
「 家庭教師かな? 塾とかも行ってない僕に
したら家庭教師なんて夢のまた夢だよ♪」
( そうなのかなぁ? みんなついてる物かと
思ってた……)
出来るだけ控えよう。バレたくないから。
何故姫は素性を隠すのか?
それは、家柄とかお金ではなく純粋に
王子と仲良くなりたいからである。
「 凄くないですわ。 家庭教師は親戚のおじ
さんだからタダだからやってもらって
の。」
変な言い訳だったが、
「 そうなんだね。 優しいおじさんだね♪ 」
黒崎は疑うことはほとんどしない。
気分があまり良くないからだった。
姫はそんな黒崎をどんどん好きになって
いった。
授業が終わり休み時間に。
姫の周りはクラスメイトが沢山来る。
元気な女の子が話をかけてくる。
「 白鳥さんってお金持ちなの? 話し方とか
見た目が凄い綺麗だから気になって。私は
( あれ? そんなに違うかな? 気を付けよ。)
少し気を付けるのでした。
「 全然お金持ちじゃないの。 むしろ全然な
いくらい笑。今野さん宜しくね。 」
笑いが起こる。クラスの人気者のような感じになる。
今考えてみたら、今までの周りのクラスメイトは白鳥家だと知っていたから仲良くしてくれたんだ。
今はみんなと同じゼロからのスタート。姫は王子の為にここに来たけどいつの間にか、理由はそれだけじゃない気がした。本当の自分を見てもらいたい……
同じ立場で笑いたい…… そんな気持ちになっていた。
授業が終わりあっという間にお昼の
時間になる。お弁当の時間だ。
「 白鳥さん、 一緒に食べよう♪ 」
一番最初に話しかけてくれた今野さん。
優しいなあ。
「 うん。食べましょう♪ 」
二人は机をくっ付けお弁当を出す。
「 今日のお弁当は豪勢にしたの。 じゃあー
ん。 ちらし寿司。良いでしょう。 」
凄い綺麗。コックさんはこんなの作って
くれないからわからない。
「 凄ぉい……。 綺麗なのね。凄いコックさ
んが居るのね。」
姫は感心する。
「 あはは。なにそれ。 面白い笑。 自分で作
ったのよ。 女の子のたしなみよ? 」
( えーーっ? )
お弁当を自分で? なんて凄い事を。本当に
びっくりしてしまう。ご飯とかはコックか
レストランのシェフだと思ってたからだ。
「 冗談大好きなの笑。 本当に凄いなあ。私
にも出来るかしら? 」
気になって聞くと
「 誰でも出来るから。 今度教えてあげる。
今野さんじゃなくて、光って呼んで。 私
も姫子って呼んでいい?? 」
「 光って呼ぶわ。呼んで呼んで。 宜しくで
す♪ 」
( 凄い楽しい。これがドラマで見た
学園生活なのね…… 青春を謳歌しよう。)
染々と感じるのでした。
「 姫子って呼ぶね。 姫子のお弁当見せてよ
~。 」
そうだった。自分もお弁当食べなきゃ。あれ?カバンに入ってない。
セバス忘れたなぁ……
「 あ……忘れちゃったみた…」
そのときドアが開く。ガラガラー。
( セバス!? )
「 お嬢様。昼食の準備が整いました。シェ
フ。持って来なさい。」
廊下を歩いて教室の中に入って来るシェフ。
「 お嬢様。誠心誠意込めて作らせて頂きま
したお弁当でございます。近くのお店で作
り直ぐにお持ちしました。取れたての山菜
と朝、市場から届いたマグロ。取れたての
美味しさてんこ盛りのお弁当でございま
す。キャビアも添えてアワビも今日のは絶
品です。どうぞ御賞味下さい。」
姫子は青冷める……
普通にしろってあれほど言ったのに……
セバスを睨み付けると、セバスはウインク
している。
「 どうですか?お嬢様。」
と言わんばかりに見つめてくる……
姫は凄い殺気で睨むと、さすがに察したセバス。
「 まずい。頑張ったつもりが迷惑をかけた
か? シェフ!帰りますよ。」
凄いスピードで帰る二人。当然だが人が凄い集まってきた。
「 凄い…… 姫子これどうなってるの?? 」
みんなもドン引きする凄さ。海の幸てんこ盛りで取れたてのブドウジュースまで。
とっさに言い訳をした。
「 もう。 橋本おじさんと田中おじさん。転
校初日だからあんなに頑張って。 困っち
ゃうわ。」
凄い下手な言い訳だ。姫の嘘は小学生並。
「おじさんなの? お嬢様って言ってよ?」
「 姫子だから姫を文字ってお嬢様ってたま
に言うのよ。 わざとあんな敬語にして、
お金持ちみたいにして。シェフの田中おじ
さんも私を気にしてわざわざ来てくれたみ
たい笑。」
乗りきってくれぇっ。
「 なぁんだ。びっくりしたあ。 優しいおじ
さんたちだね。 姫子は愛されてるぅ。」
みんなも納得していた。 奇跡が起きた。
( 神よ…… これからはもっと良い子になりま
す! )
そう誓う姫子。
「 頑張るのだよ。」
( ん? なんとなく変な声が? そんなはずな
いわよね♪ )
「みんなで食べましょう♪おじさんの料理美味しいのよ。」
みんなはお弁当を味見しに来る。俺も、私も。どんどんなくなってゆく。みんな凄い美味しく幸せな気分。
当然だ。3つ星シェフなのだから笑。
「 光も食べて? 」
そう言うと
「 いいの? いただきます。 凄い…… ぷり
ぷり。テレビでみる食レポは嘘ね。美味し
いの食べたら、コメントなんて上手くでき
ないわよ。」
光も大喜び。
「 光のも食べて良い? 食べてみたいの。」
「 え? 私のなんか…… おじさんのお弁当と
比べたら。食べない方がいいよ? 」
自慢の弁当が恥ずかしく感じてしまった。
「 全然関係ないですわ。こんな弁当はお金
をかけただけでなんの価値もないわ。それ
に比べてあなたのお弁当は手作りで、愛情
たっぷり。これが食べたいの♪ いただきま
ぁす!
もぐもぐっ。凄い美味しい…… もっと頂
戴。あむあむ。本当に美味しい。 シェフみ
たい。」
お世辞ではなく本当に美味しいかった。
これを朝、学校来る前に作るなんて凄いと
思った。
「 ありがとう♪ 姫って変わってるけど凄い
優しい。どんどん好きになっちゃう。 」
「 今度作り方教えてくれる?? 」
「 うん。 いつでも教えるよ。」
仲良しになった。
そこに生活指導の体育教師、
本源。曲がったことや
す者を許さない。
「 誰だぁ~~。 学校にシェフを呼んだのは
わぁぁぁ。」
凄い剣幕で教室へ向かってくる。生徒が
( 生徒を取り締まる。それが俺の生き甲斐…
待ってろよぉぉ。)
凄い速い。
その時……
「 待ちなさい。本田先生。何処に行くので
す? 」
校長と教頭コンビだった。
「 校長先生。大変なんです。転校生がお昼
にシェフにお弁当を作らせて持って来たみ
たいで……。」
「 なにか問題が? 規則には原則になってな
いはずですよ? 転校してきた初日は誰だ
って寂しくて、やってしまうんですよ。
指導することは許しませんよ!? 」
( えぇー?? )
転校初日に寂しくて?ツッコミ所満載。
校長達は白鳥の秘密を唯一知ってる二人。
生徒指導なんかしたら、白鳥父になんて
言われるか…… 完全なひいきである。
「 分かりました。多目にみます。校長先生
達がそこまで言うなら……」
お昼を食べて授業が終わった。
「 姫ーっ。 この後カラオケ行こう? 何人か
連れて。黒崎くんも来るって♪ 」
これはいきなりの展開。
もっとお近づきになれるぅ。
「 行きますわ。 是非♪ 」
楽しみな姫子であった。
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