第3話 電撃転校生

姫子は帰宅後、夜ご飯をみんなで食べてる時に、勇気を振り絞り口を開く……


「 お父様、お母様にお話があります。」


その真面目な態度に2人は動揺を隠せな

い。


「 おい。やめろよ…… 彼氏なんて俺は認めないぞ。

何処の男だ!?

九条財閥のか? 」


早とちりが止まらない。


「 全然違います。

私は今まで甘えて育てられたと思ってるの…… 好きな服を沢山買って美味しいのをなんでも食べる。

全然歩かずにリムジンでの移動ばかり。

セバスやメイドへの横柄な態度…… 話したらきりがないの。

でも私はちゃんとした大人になりたい。

お父様、お母様に頼らず頑張ってみたいの……

今の高校はお金で入った私立。

庶民と同じ県立の高校で、お金持ちと言う肩書きを捨てて生きてみたいのです。

転校させて下さい……。」


それは王子の高校が分かり、どうにかもっともっと仲良くなるために転校を選んだのだ。

転校の理由は100%王子目当て。

この嘘に騙されるのか…… さすがに臭すぎたか?


「 ひっぐ…… ひっぐ……。ぐすっ。

素晴らしい。 姫子。

お前は世界一可愛い女の子だぁ。

私は前から姫の横柄な態度とか、お金使いの荒らさは気にしていた。

ちょっとだけ娘に甘いから甘やかしてしまう。

だが姫は私がそれを言う前に悩み、治そうと努力していた。

これが泣かない訳ないだろぉ……。」


バカ効きです。 大号泣! 効きすぎじゃない?


「 姫ちゃん…… ママもパパと同じ考えよ?

でもいきなりそんな苦行に耐えられの? 」


お母様もバカ効き。お母様はお父様より涙もろい。

お母様は綺麗で気が利く所も美しい。


「 お父様、お母様。

今までの甘えた考えを方を叩き直す為にはこれがいいの。」


その姫子の目は真剣その物。

今までの死んだ魚のような目ではない。

決意は固かったのです。


「 姫…… 負けたよ。セバス。

直ぐに転校の手続きだ。

それにしても何処の高校が良いんだ? 」


物分かりの良い父。

そんな優しいお父様が大好きな姫。


「 色々考えた結果…… (善人高校) にする。

一番自分に合うと思うの。」


王子が善人高校だから同じ高校を選んだだけでした。

納得した父は…… 。


「 セバス。今から善人高校に行くぞ。

姫子の為に明日から行けるようにするんだ。」


両親達は凄い早さで、元の高校と次の高校

に向かうのであった。


その頃善人高校では…… 校長先生が経営に困っていました。


「 はぁ…… 最近は学校にお金がかかることが多くて大変だなぁ。

先生達は頑張っていてもこんな古い校舎じゃ、新しい生徒は来ないよなあ…… 。

このままだと何処かの高校と合併がっぺいかなぁ。」


愚痴をこぼしまくる校長先生。

すると教頭先生が走って校長先生の所に。


「 校長先生…… はぁはぁ、大変です、はぁ

はぁ…… 外に新しくここに転校しに来た

い学生と保護者が来ました。」


校長は大喜び。だけどこんな遅い時間に…… 現在の時間は21時。校長先生はマナーと常識にうるさい。そこは、心を鬼にして追い返すことに。


「 ワシも舐められたもんじゃのう…… 我が

高校ならこんなに遅くてもいいと。追い返

すぞい。」


男らしい。まさに校長の鏡。

教頭は汗だくで直ぐに返答する。


「 そんな事できませんよ。…… はぁはぁ。

その転校しに来たのは……。」


ドアが開く音がする。ガラガラ。


「 こんばんは。夜遅くにすみません。この

高校にウチの娘を入れたくて転校手続き

に来ました。」


なんと失礼な家族だ。追い返すぞ。


「 あの、今日はもうこんなに遅いのでお引

き取り……。」


( あれ? 見た目が変じゃないか?)


両親二人と娘。どっからどう見ても金持ち。王様ときさき。その娘にしか見えない。震えて校長は声がでない。オーラが違うのだ。


「 本当に申し訳ないです。申し遅れまし

た。私は白鳥龍平りゅうべいです。可

愛い可愛い娘を早く入れたくて焦ってしま

いましたよ笑。わっはっはっ。」


校長の時が止まり精神世界へ。

( あれ? 白鳥龍平ってあの? 世界の金持ち

ランキングトップ3の? え?? なんでうち

の高校に?)


頭の中がパニック状態。


「 あの…… 何故うちのような高校に来て頂

けるんでしょうか? 見た目も悪く生徒の

数も少ない。偏差値も低い。良いところ全

然ありませんよ? 」


校長先生は怖くなり聞いてみると


「 ウチの娘がこの高校を大変気に入りまし

て、どうしてもここが良いと聞かなく

て。」


奥様のほうが話してきた。凄い匂い。いだことないゴージャスな香り。匂い

だけで圧倒されてしまう。


「 迷惑なのは分かってます。途中から編入

させるのは大変なのも。だからこの高校に

お金を投資します。少しですが…… セバ

ス。」


「 はい。旦那様。」


セバスが運んできたでかいトランクケースがテーブルに置かれる。ズドン!


「 現金キャッシュで10億円でございます。

少なければ車にまだあるのでお申し付け下

さいませ。」


校長と教頭はあまりの衝撃によりお漏らししてしまう。今まで見たこともないお金。断る理由はない。でも、校長は失礼な家族だからお引き取りさせるはず。頑固親父の校長が選んだ答えは……


「 本当にありがとうございます。今から最

速で手続きして明日から来れるようにしま

しょう。welcome to 善人高校へ! 」


頑固親父もお金の前では無力だった。


「 お話が早くて助かります。さすがは校長

先生。ただし条件がいくつかありま

す。」


どんな条件なのか?


「 まず、1つ目はウチは少しばかりお金持

ちなので、ウチの娘は目立ってしまいま

す。なので平等にしてもらいたいので白鳥

家の娘と言うのはここだけの秘密で。

2つ目は絶対に特別扱いはやめて下さ

い。

3つ目はウチの娘になにかあったら……

そのとき対応します。」


(3つ目だけは怖すぎる。)


校長は心の中でそう思いました。


「 分かりました。絶対に守ります。」


「 白鳥 姫子ですわ。宜しくお願い致しま

す。」


とても綺麗で優雅にご挨拶。

直ぐに土下座で挨拶する二人。


「 そんな挨拶してたら直ぐにバレてしまい

ます。絶対やらないで下さいね? 」


姫子が言い聞かせる。


「 了解致しました。」


手続きは簡単に終わりそうだ。


次の日の月曜日。休み明けはみんなダルい

様子。一年生のクラスは騒がしい。

するとチャイムが鳴り先生が来る。


「 おぉーい。席につけよ、今日から新しい

仲間が増えるぞ。」


いきなりの転校生。ガリ勉眼鏡の委員長通称メガネが違和感を感じた。


「 先生。なんで今日からいきなりなんです

か? 前から分かってたんですか? 」


「 んー…… 先生も今日聞かされてびっくり

したんだよ。みんなと同じ状況だ笑。」


校長と教頭以外誰も姫子の素性は知らない。


「 よぉーし、入って来ていいぞ。白鳥。」


ガラガラ。新品の制服を着た姫子が入ってくる。テクテクテク……


「今日から転校してきました。白鳥 姫子です。宜しくですわ。」


オーラ出まくり。


生徒達のざわめきが止まらない。さすがは姫子。綺麗! 可愛い! なんか金持ちっぽくない? 色んな話が飛び交う。


「 遠くの田舎の高校から来たので、当たり

前の事とか分からないかもしれませんが宜

しくお願い致します。」


上手い嘘である。


「 みんな~ 困ってたら直ぐに助けあげるん

だぞ? 」


はぁーーい。 みんなの返事が聞こえる。席を指差す先生。


「 一番奥の黒崎の隣にしよう。」


その席は唯一のひいきしてもらった席。


「 黒崎。色々助けてあげろよ?」


「 あれ? 一昨日会わなかった? 偶然だ

ね。僕だよ。ホットドッグ一緒に食べ

た。」


そう姫子の隣は王子である。


「 本当に偶然ですわ。…… 前はありがとう

です。宜しくですわ。」


緊張が隠せない。緊張してるのがバレないか心配だ。


「 宜しくね。偶然って凄いよね。僕の名前

黒崎翼くろさきつばさ。宜しく

ね。」


「 白鳥姫子です。宜しくですわ……。」


二人は握手する。


「 二人は知り合いか? ならなんでも黒崎に

聞けよ。凄い優しいから。」


姫子はドキドキが止まらない。こんな刺激

を待っていたのかもしれない。

これからが気になる二人なのだ。

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