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「カニンガム112」は僕よりもフォロワーが多く、その関係で、僕のフォロワーもそれなりに増えてきた。僕の投稿に「いいね!」をつけてくれた人には、僕もお礼の意味で「いいね!」をつけ返していた。そうすると、また相手も「いいね!」をつけてくれる。なので「いいね!」の数もうなぎのぼりだ。


 フォロワーと共に「飛行隊」のメンバーもどんどん増えて、今はもう200以上になっている。みな見ず知らずの人たちだけど、僕は嬉しかった。フェイスグラムを始めたばかりの頃のように、投稿してもいくら待っても何も反応がない、なんてことはなくなった。今はもう投稿してから1分も経たないうちに「いいね!」が付くようになった。


 しかし。


 だんだん僕は、おかしいな、と思うようになってきた。


「いいね!」が付くの、いくらなんでも早すぎないか?


 しかも、投稿したのがどんな時間でも、すぐに「いいね!」が付くのだ。


 ……。


 もしかして。


 自動で「いいね!」を付けてくるプログラム、通称「ボット」というのがある、って聞いたことがある。それを使っているのか?


 なぜ?


 簡単なことだ。自分に「いいね!」が欲しいから、に決まってる。「いいね!」を付ければ大抵はその付けた相手も「いいね!」を返してくれる。ただそのためだけに、僕は利用されたのか?


 たまらず僕は、いつもすぐに「いいね!」を付けてくれる、あるユーザーさんにダイレクトメッセージを送ってみた。


 "間違っていたらすみません。ですが、もしかして、ボット使ってますか?"


 そして、3時間後。


 その人は僕のフォロワーリストから、消えていた。さらにメッセージを送ろうとしたが、僕のアカウントはブロックされていた。


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 ショックだった。僕は後悔した。こんなことなら、あんなダイレクトメッセージを送らなければよかった……


 いや、だけど、よく考えてみれば、僕は利用されてたんだ。あのダイレクトメッセージを送っていなければ、そのまま僕はずっと利用され続けていた。だから、これでよかったんだ。


 とりあえず、僕はいろいろ調べてみて、ボットを使っているアカウントには一つ特徴があることを知った。投稿に表示されている「ユーザーエージェント」(投稿に使われたソフトウェア)が普通のブラウザやアプリではないのだ。僕は一人一人フォロワーの投稿のユーザーエージェントを調べ、ボットであると確認された場合はフォローを外していった。そうすると、何もしなくても向こうもフォローを外してくる。


 あっという間にフォロワーが激減した。世の中、こんなにもボットを使っている人が多かったとは……いや、僕がいいカモだっただけなのかもしれない。


 ふと僕は、もはや大親友と言ってもいい「カニンガム112」はどうだろう、と思ってしまった。いや、彼だけは間違いなくそんなことはしていないだろう。そう信じていた。


 しかし。


 調べてみて、僕は目を疑った。


 嘘だろ……


 彼も、ボットを使っていたなんて……


 ……。


 結局、僕も彼に利用されていただけなのか?  彼が付けた「いいね!」も、全部彼じゃなくて、ボットの仕業だったのか?


 ちくしょう! 騙したな!


 これまでの彼との楽しかった思い出が、一気に忌まわしいものに思えてきた。


 もう嫌だ。何も信じられない。


 僕は彼のフォローを外し、ブロックした。彼のLineアカウントも同じようにブロックする。それっきり、僕はフェイスグラムにも「編これ」にもログインしなかった。


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