第21話 高貴なる者
----------修行時代 said hourouzin
無茶苦茶な教えをしていた神だったが唯一弱点があった。
それは俺が地獄に叩き落とされ何回も殺され燃やされ粉砕!玉砕!され精神的プライドも肉体といった想像絶する苦痛に耐えながらもながらも鬼や亡者、悪魔やそこに住まう住民果ては地獄の妖精、動物、魔物と
戦って!闘って!たたかい抜き!
【ヘル・ザ・ヘル】の称号を手にしついに地獄の者の天敵にまでのし上がり
やっとのことで地獄修行1周をやりとげ神の下に戻った時のこと。
地獄の偉い神とかいう奴に神と俺は説教された。名前は憶えていないえんなんとか言っていた。どうも俺が地獄での行いが悪かったらしく
地獄の治安悪化、闇の住民への苦情、特に帰り際によった針山地獄の針全てに岩を突き刺し団子さん兄弟と落書きしたのがいけなかったらしい。
なんでも俺の落書きを悪魔のガキが変な感性を働かせて「弟思井の長男」、「兄産飯井の三男」、「自分が一番次男!次男!」とかいう名を命名。それにより無駄な派閥が生まれくだらない事で地獄ですっげえくだらない争いがおこったらしい(地獄の住民は馬鹿じゃないのか)
まぁあと地獄の物品をぶっ壊しまくった結果。色々あってまとめて怒られた。
正座されられながらありがたいお言葉で怒られている神と俺。
かれこれ4日ぶっ続けのお説教だ。話が長すぎるので精神が違う意味で滅入ってしまう。すると神が俺に対して耳打ちをした。
「よいか!面倒な話!説教!どうしても逃れられないときは全てを無にするのだ」
「無ですか!」
「そうじゃ!無じゃ!」
そういい神は正座の体制のまま顔を軽く下げ目を白目にする。
すごい!まるで自然と溶け込んいるようだ!しかもあちらから目が見えないうまくごまかせている
「よいか!これが面倒な話の時に使う技!」
-----------無念無想よ!
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「はっ!」
走馬灯から放浪人はやわらかベットで目を覚ます。天井や壁ライトまで全てが白い清潔感抜群の部屋。
「ここは天国か…」
「いえ城の医務室ですけど…」
女性の声。放浪人が声の方を向くと白衣を着たエルフの女性が立っていた。
金髪でセミロング、おっとりとした女性。胸が特に包容力高そうである。
「気が付いてよかったです。随分うなされてましたよ」
「……俺はあのあとどうなったんだ」
「ええと。どうやら馬車で気絶していたらしくて城に着くなり城の兵士達にここまで搬送されました」
思い出そうとする放浪人だったが残念ながら馬車に乗っていた時の記憶しかない
永遠と繰り広げられる自慢話を聞いてたらドッとこれまでの疲れが出て…そのあと、という感じだオー○ンド・○○○○に似た男の映像は綺麗に脳から抹消されている。
放浪人は手で頭を抑えているとそっとその手を白衣のエルフは両手でとった。
「まだ治療中ですから無理に体を動かしてはダメです」
美人の笑顔に流石に放浪人も動揺する。
「あっああ……すまない。えーと」
「私は、あなたの治療を担当させてもらうレティと申します。あなたは放浪人さん…ですよね。クエセレン姫からお話はお伺いしておりますよ。どうぞよろしくお願いします」
ニコリと笑みを浮かべたレティは放浪人の手をベットに置くと立ち上がった。
「それでは私は姫様に貴方が目覚めたことを伝えてきますね」
ペコリと頭を下げると医務室から出ていった。ポツンと残される放浪人
「おいログ。俺はどれくらい寝ていた…」
ログに問うも応答がない放浪人は腕を上げるとそこにはログはなく腕には新しい包帯がまかれていた。
治療のために外したのか、と放浪人はベットから立ち上がり迷うことなく
医務室のドアを開け勝手に廊下に出ていった。
自分勝手の放浪人!安静にしろっていってんだろ!
廊下に出ると高い天井、先が見えない廊下、赤い絨毯!真っ白な壁!ザ金持ちの城!
「あの地獄でこんな城を見た気がするがいずれにしても落ち着かんな」
放浪人は廊下を進む。窓を見ると草木が生い茂る大きな庭
大きな噴水に溜まった透き通るほど美しい水は頭上の太陽を反射してキラキラと照り付けている。
見栄えのいい景色。
綺麗な風景に心を奪われることなくただ無関心に眺め廊下をただ適当に歩いている。
がとうぜん行く当てもなく迷ったらしい。
歩くも歩くも同じ廊下といくつものドア。二手に分かれた廊下!外に出る出口も見つからない。
その内イライラし始めた放浪人、そして「ええい!ここだ行っちまえ!」っと適当なドアを開いてただ歩いていくと大きな居間にたどり着いた。
何人もの人間が座って食事ができる長テーブルとイス
火が灯っていない暖炉、そしてその上には静かに座る豪華な装飾を身に着けた男と女のエルフ肖像画が飾られていた。
「随分と偉そうなエルフだな。ここの城の主か?」
ポケットに手を突っ込み柄が悪そうな感じで絵を見ていた時だった
「貴様!ここで何している!」
突然声が響く。しかし放浪人は振り返ることなく
「絵を見ているだけだが」
と答えた。まるで挑発!ド失礼!そして明らかに怪しい奴!
「嘘をいうな侵入者!どうやって王国に忍び込んだかわからないがここで成敗してくれる」
当然のことながら声の主は怒り。剣を鞘から抜く音を鳴らすと放浪人はため息をつきながらゆっくりと振り向いた。
「おいおい落ち着けよ。俺はこの城の姫様のきゃ…」
振り向いた一瞬細い物が放浪人の顔をめがけ迫ってくる。慌てて首を傾けかわすと放浪人の顔をかすめた。
さっき声をかけてきたエルフの男がレイピアで襲ってきていた。
「よくかわしたものですね」
「お前こそいい度胸だな。俺に喧嘩を売るなんて!」
放浪人は男に仕返しとばかりに蹴りかかるもひらりと優雅にかわし距離を取りレイピアを構える。
エルフの男は金髪でオールバック。引き締まった顔に整った顔立ちをしているまさに美形。
放浪人はその顔に見覚えがあった。
「?おまえどこかで会ったことないか」
放浪人の問いにエルフの男は眉間に皺を寄せた。
「何をいっている。貴様のような無礼な男しるわけが…」
「そうかい!」とエルフの男が返答する間に距離を詰め、すかさず拳で殴りかかった。
男は咄嗟にレイピアの柄の部分でガードし勢いを流すように後ろに飛ぶ
「…ちっ少しはやるようだな」
柄の部分に拳をぶつけまた手首を痛めたのか放浪人は誤魔化すように手をぶらぶらと振った。
卑怯な攻撃に挑発的な態度が気に障ったのかエルフの男はワナワナと怒りで体を震わせた。
「なんと無礼な男」
「何を言っている。最初に喧嘩を吹っかけてきたのはお前の方だろ。人の話もきかないで」
「黙れ!人が声をかけたのに振り向きもせず無礼な態度をとったむくいです」
「だからっていきなり顔面目掛けて剣を向けるとはどういうことだ!」
「かわす素振りがなかったらちゃんと寸止めしています」
「振りぬいただろ!」
二人のいい争いが勃発!そして
「いいでしょう!決着つけましょう」
「ふん。望むところだ」
お互い臨戦態勢に入った。この世界は血の気が多い!
エルフの男はレイピアを強く握るとレイピアの剣先を風が纏い始める。
「あなた程度の野党を倒すのにこれぐらいの風で一番です」
シュッとレイピアを振ると放浪人に向かって風が吹いた。ぶおっと風が放浪人に押し寄せる。
「ふん。そんなそよ風……」
瞬間エルフの男がとんでもない速さで突っ込んできた。
「速い!だがその程度攻撃!」
放浪人は手を上げてレイピアをガッツリ掴んだ!その瞬間風が一斉に散布する!
エルフの男は、少し驚いた。
「野党にしては随分とやりますね」
「この程度をたいしたことはない」
「ほう。では次の風はどう止めますか」
再びエルフの男のまわりに風が纏い始めた。
「今度は俺の番だ!」
放浪人はすかさずエルフの男に拳を突き出した。エルフの男も負けじとレイピアに力を入れさらに押し込もうと力を入れた。その時!
「そこまでだ!ジュゼス」
部屋の奥の扉から声が響いた。
圧に押され二人の動きが同時に止まる。振り向くとそこには金髪で長いヒゲが生やし王冠を被ったエルフの中年と髪を垂らさないよう頭上に束ね頭に宝石の装飾がついたジュエリをつけたエルフの女性が立っていた。
「クライアバル王!」
エルフの男は、二人にきずくとすぐさま放浪人の手からレイピアを抜き取り鞘にしまい二人の方を向いて膝を着き頭を下げた。
「なんだあれ…は」
ついでにとばかりにエルフの男は風を使いボケっとしている放浪人の頭を下げさせた。
「貴様!何をする!」
抵抗する放浪人を睨みつけエルフの男は
「王国外の人間でも王国にいる限り。頭が高いのは許しません!あの方々はクライアバル王国のクライヤバル王と妃様です」
と一喝した後すぐに
「お騒がせして申し訳ございません。クライバル国王」
クライアバル王国の国王と妃に頭を下げた。それに合わせて放浪人に風の圧がかかる。
「ぐっ!こんのぉ!」
放浪人は、風に逆らうようにグッと頭を上げるとエルフの男に掴みかかった。
「お前!いい加減にしろ。こんなことして一体なんのつもりだ!」
文句を言う放浪人にエルフの男はため息をつく
「偉大なるクライアバル王の前にそのような態度は許されません」
「知っている!俺が言いたいのはわざわざこんな無理やり。頭を下げさせてどういうことだということだ」
「あなた礼儀を知っているのですか」
「お前の方が失礼だな!それぐらいでき…」
と言いかけた所で気が付くとガチガチに武装した兵士が武器を構え放浪人とエルフの男を取り囲んでいた。
「ジュゼス様!無事でお怪我はありませんか」
ムッとした表情を浮かべる放浪人にジュゼスと呼ばれたエルフの男は再びため息をついた。
「だから言ったんです。貴方の前にいるのはクライアバル王だと、そのような態度をしていたら。こうなるから教えて差し上げたのです。皆さん。わたしは大丈夫です。クライアバル王の前です。武器を下げなさい」
ジュゼスがそう言うと兵士達は一斉に武器をおろした。
「ジュゼスよ。この者は?」
クライアバル王は放浪人を指さした。
「はい。宮殿内を無断でうろついていた侵入者です」
「違う!俺は客だ。あんた…いやあなたの娘さん、
クエセレン姫様の招待で城の医務室で手の治療を受けていた」
放浪人は包帯が巻かれた手を前に差し出し理由を説明する。
ジュゼスはクエセレンの名前に反応し驚きの表情。
「嘘をつくのはやめなさい。姫が貴様のような野獣にそんなことするわけが…」
「ジュゼス。口が過ぎますよ」
王様の隣に立っていた品の良い妃が注意する。
「すっすいません。王妃様。しかしこの者が嘘をついている可能性もあります
第一姫様が人間の男と会う機会など」
「ディアのついでに招待してもらった」
すると王様と王妃は驚く。
「あら。ディア様ですか」
「貴方は彼女とどのようなご関係で」
少し興味ありげな王妃と王様。
「まぁ成り行きで行動を共にしたというか」
返答に困る放浪人。すると廊下からこちらに近づく足音。
「おい。放浪人おまえ何やってんだよ!」
ディアだ。物凄い速さで放浪人のところに来ると頭を掴み下げさせた。
「すまない!わたしの連れが失礼なことを」
一緒に頭を下げるディア。
王様と王妃様はお互い顔を見合わせ優しく微笑んだ。
その後クエセレンが状況を説明し放浪人の誤解は無事とけた。
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