第7話 伝説の魔女ソルシエール
かつてこの異世界エナジュール全土を震撼させる出来事が起きた。
当時この世界の魔術や魔法全てを管理していた国の一つ遥か北の国ジャルスが何と一夜にして壊滅してしまった。
原因を調べるため各世界の国から優秀な兵を引っ張りかつてあったジャルスに訪れるとかつての街の住人は怪我もなく小さな集落を作っていた。
兵士達が訪ねると皆一同に大きな城を指さした。
そこには黒いマント、大きな帽子と赤髪の少女が数メートルの大きな塀から下から見降ろしていた。
兵士達が一斉に武器を構えると逃げるどころか堂々と前に出て大きな声を張り上げた。
「わたしは天才魔女!ソルシエール!この世界の魔法とか魔術のスキルとやらは
今から私がコンプリートしちゃうよーー!この国はそのための拠点さ。誰もここには入れないけどねーあッヒャヒャヒャー」
そう高らかに宣言したあと大きな霧がソルシエールと名乗った少女は姿を消した。
当時魔法や魔術を覚えられる魔法使い、魔女はこの世に存在せず
そもそも国に認められない限りは魔法や魔術を学んだり、使ってはいけないルールがあった。兵士達は城に入ろうとするも城の門は開かずそれどころかだんだん城が兵士達の視界から消えていきそしていつしかその痕跡すら消えた。
兵士達は慌てて各国に戻り主導者に報告するとソルシエールは瞬く間に世界から指名手配され
権力者は騎士や兵士、他にも世界屈指と指示される魔法使い、魔女など腕利きが導入され捕えようと奮闘し始めた。
だがソルシエールはそんなことお構いなく各国が保有する魔術書や魔導書、魔具
の存在を知っているかのように各国に出没した。そしてそれを華麗に奪うと
挑発的にわざわざその場で覚えた魔法や魔術を披露して見せ痕跡をのこしていった。
盗難被害の報告が出て顔も姿も特徴があるにも関わらずソルシエールの居場所が全くつかめずにいた。
それ
目にしない時以外はこの世界からいなくなってる!と噂されるようになった。
最後に出た情報は、入手困難と言われ続けたドラゴンが蔓延る城の魔術書を盗んだ後
ソルシエールの終息はぱったり途絶えた。
そして少したちソルシエールの恐怖から救われたと世界が発表した。
だがソルシエールの影響で今まで興味がなかった人間が魔法や魔術に
興味を持ち始め、みなソルシエールのような魔法使いを目指し始めた!
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「ということなのよ!そうこの目の前にいる!ソルシエール様は私たち魔女に
とってすごい存在なのです!」
興奮したサーナの熱弁。
「いやそれほどでもあるねー確かにそうだけどねー最近の子はいい子だねー」
ソルシエールは鼻高々に笑っていた。
「それにしても……」
彼女をみて不思議そうな表情を浮かべた。昔の話のように聞いていたソルシエール。
しかし目の前にいるのは自分と同じ歳くらいの姿。
「ん?なんで自分と同じくらいの見た目をしてるの?って?それはわたしぐらいになると
色々な手段で肉体を保てるのさ」
そういうと机の上にある酒を一気に飲み干した。
「あんた気に入ったよ名前は?」
「はっはい!サーナといいます。最近は寒雷の魔女と言わるようになりました」
サーナとソルシエールの二人は和気あいあいと盛り上がりをみせている。
一方。その片隅で放浪人とミストレスは…
「放浪人さん飲み物のおかわりはいるかしら」
「ああ。もらう」
「よかったらお菓子もあるからどうぞ」
「スナックの駄菓子か……モグ。ん。これこれ子供の頃よく食べたぼやけた味!懐かしい感じ」
興味なさそうにのんびりしていた。
二つの異様な空気。
その時突如『ダーマダーマダマダーマ』と不快の音楽が店内に鳴り響いた。
音に気付いたソルシエールは急いで自分がさっき座っていたテーブル席に向かい
音が鳴る物を掴み耳に当てた。それは丁度手のひらサイズの長方形の電子機器。
あれは……と放浪人はソルシエールが手に持っている物を見ながら思い出す。神の下で修行をしていた時よく神が連絡するのに同じような通信機器を使っていたなと、
そう思いながらチラリとサーナを見ると不思議そうにソルシエールの手に持っている物を眺めていた。
「あーあんたか…なに今盛り上がってるんだけどーえっなに?……うんうん…マジいくいく」
数秒その場で会話すると嬉しそうな顔をして手にしていた機器の通話を切り
そしてテーブルの上に置いてある黒い手袋を身に着け荷物を片手に持ちながらカウンターに戻ってきた。
「あのソルシエール様その不思議な物は何でしょうか?何やら会話をしていたようですが」
サーナはソルシエールが手にしている電子機器について訪ねると
「ジャーバンドと同じだよ」と流し気味に説明を終えその物を黒いローブの中にしまった。
「つうことで面白そうな案件が入ったのでもう行くわ」
二へラと笑いながら手を振るソルシエールにサーナは悲しそうな顔をする。
「そんな!わたしもっとソルシエール様の話聞いてあなたみたいな魔法使いになりたいんです」
そんな彼女の肩にソルシエールは優しく手をおいた。
「サーナ。あたしを目標にしても無駄だよ。あんたはわたしじゃないんだしだから
あんたの運命が定めた能力を見つけなよ。そうすればあり得ないけどわたし以上になれるかもね」
ソルシエールの言葉にすこし納得したのかサーナは肩を落とした。
そして今度は放浪人の方に目を向けた。
「ちょうどいい。放浪人。これ上げる」
そういい。つけていたバンドを外し投げ渡す。
受け取った放浪人はバンドを珍しそうに眺め
「ありがたくもらっておく」と礼の言葉を投げた。
「気にしなくていいよーどうせもうほとんど使うことなんてないんだし、それにあんたにとっちゃーこれがめっちゃ便利だからねー」
そう言い終えるとソルシエールはちらりとシショウをみた。
「あんたには挨拶は無用ね」
眉をあげながらつぶやく彼女の目線から逃げるようにシショウはそっぽ向く。
「まっこの世界色々あるかもしれないけど元気にやりなよーイケメン君」
気さくな感じにソルシエールは手を振りながら玄関まで歩いて行き店のドアを開けた。
「気を付けてね。ソルシエール」
ミストレス心配そうに言うと
「んじゃ。また違う場所でね。ミストレス」
店を出ていった。ちりんと玄関の鈴がなりドアが閉まった。
少しの静粛。
「さて」とミストレスが手をたたき奥の席のコップをかたずけ始めた。
放浪人は隣にいるサーナに目をやるとゆっくりと席に座り飲み物を飲みながら
「わたしの運命か…」とつぶやくのであった。
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