第一話 異世界エナジュール!

ここは異世界エナジュールという我々の世界と近くしかし全く異なる世界!

ここでは我々の住む世界の常識と若干かけ離れている。


似ている部分というか似ている物はある

それはゲームや漫画、小説などに描かれる世界と言えば分かりやすいだろう

俗にいうファンタジー。

魔法、魔術もあれば謎技術もある。もちろん剣士、格闘家も

そして数は限られているがエルフなどの人種、王国、モンスター、魔獣!ダンジョン、レジェンド!ああ!


我々から見ると夢のような世界に感じるであろう。


しかし!そこに住む人は住む人なりに苦労はある!

人間、種族の争いは我々の世界と大差ない

盗賊、魔獣の襲撃。危険がいっぱい!

異世界だからといってグットライフがあるわけではないのだ!

むしろそんな危険な生物やよくわからん文化があるのにスローライフなんて無理に決まっている!原始人みたいにいきてはいない皆生き残りをかけ

常に知恵を振り絞り考え新たに独自の文化や宗教をもって生きているのだ!

才能のある者、限りある努力できる者、ここぞという時に力を発揮する者

一部の運がいい者は相応しい立場に立ち

それ以外の者はそれにふさわしい立場にいる。甘えは死なのだ!


んだよ!現実と変わりねえじゃねえか!という気持ちもあるだろう!


それでもやはりこの世界には夢がある!冒険がある!ロマンがある!

何故か!それは我々は常にそれを求めているからだ!


現実の世界で蝕まれた心。夢を見なくなった心

だから我々の奥底の本能はこれを求めている!


今!この世界に長く厳しい修行を終えた主人公がこの地に立とうとしている!

さあいざ行け夢と希望を抱いて異世界へ!

いつかたどり着ける者たちへ!


*************


ファルセダレイノ大陸に深夜ごろ光輝く流れ星が少し前に墜落した。

それはあまりにも小さな物だったので悲しいことに目撃者はいない

一部の方々は一応情報を捕えたらしいが被害は特になかったので気にすることもないと判断落ちた後は人の通りも壊滅的な場所で誰も見られることなくひっそりと砂浜をえぐった。


そんなこんなでこの世界の朝を伝える太陽が東から昇り始めた。


どこかの砂漠

サンサンと容赦なく照り付ける太陽。

日差しさえぎる影もなく、さらさらな熱を吸収した砂が海のように広がっており

少し見渡せば砂が生き物を食しているかのように肉がついていたであろう骨が無残に転がっていた。

まさに自然が生命を殺すとはこれのことだろうか見ているだけで全身から力が抜けほどの暑さ砂を巻き上げた風が凶器のように目や顔を傷つける。


そんな砂漠の真ん中に先ほどから砂漠に覆われ倒れている男の姿。

男が立ち上がりマントや頭、服についた砂を落としながら

乾燥した口を開きかすれた声でつぶやいた。


「み、水」


今にもその場に倒れて死にそうなこの男がこの物語の主人公だ。

降り立ったばっかりの世界、しかも砂漠で

世紀末救世主のような発言をしながら

水を求めフラフラとおぼつかない足取りで乾いた大地を歩く。


1歩、また1歩と砂漠の砂を歩くたびに水分が奪われる状態


喉は乾ききり脱水症状に近い!

まるで火で熱された熱い鉄板の上を歩かされている感覚。

そして太陽の光と熱帯びる地面に挟まれる極悪サンドイッチ。


どうやら主人公を鍛え上げた神様が行為か事故か

ここに転移させてしまったみたいだ。


もっと町の近く、最低でも水があるところ

に転移させろよと文句を言いたくなるだろう。


因みにこの世界でこういった砂漠の場所は一部だけで

ちゃんとしたインフラ整備の整った街や日を防げる森はもちろんある。

彼が生きてたどり着いたら説明できる気がする。


修行時代から滅茶苦茶なことを彼に要求してきていた神…

なのでミスというよりあえてここに転移したのではと男は疑ってならない。

もっとも疑ったところで助けてくれそうにないので

諦めて一歩また一歩と足を引きずりながら進む


いくら体を鍛えても自然には勝てない。

肉体がある以上腹は減るし喉は乾き生きられない。水を求めさまよいながら彼は


「神は、なぜ俺に苦行を強いるのか」


神に対して愚痴をこぼし意識朦朧と砂漠の道をねり歩く。

砂漠のどこかにあるだろうオアシスか町を求めながら。

諦めず小さな希望を抱いて!


しかし…そんな希望虚しく数分後。

限界だ。体がだるい、と

男は力尽き前のめりに倒れこんだ。

倒れた彼を砂がこの瞬間を待っていたように容赦なく体を覆いつくそうとする。


(死ぬ死ぬ死ぬ!水!水!人は砂漠で生きていくことはできない!)


彼の額から噴き出してきた汗が地面に吸い取られる

落ちた水滴はジュウとすぐ蒸発。

彼は水分を欲しながら生命を終えようとしていた

まさに転移先で人生クリアーRTA(生きるとはいってない)!


ここまでか。なんというかあっけない人生だった


砂漠の自然環境。暴力!すごみに絶望しきった男は目を閉じ動きを止めた。

その時!


「アウェー」


甲高い鳴き声とともにどこから飛んできたのか

オレンジ色の鳥が彼の頭に止まった。


彼を襲う鳥の爪の痛みに意識が戻る!再起動!


神は俺を見捨ててはいなかった!、と


彼は頭上の鳥を取って食おうと悟られないよう気配を消した。


そして


「そこだ!」


男は全力で鳥をつかみにかかるも…残念!

すれすれで回避された。

そして鳥は地味に届かない高さまで上空へ。


「降りてこい俺の食糧」


男の罵倒が空に響く。

そう言って降りる鳥はいないだろう

鳥はぐるぐると挑発するように頭上を優雅に飛びまわっている。


「俺にけんか売っているのか!フン!いいだろその喧嘩買ってやる!

地獄のような修行に耐えた俺の力をみせてやる」


闘志を燃やす男に対して鳥は


「アーウェイ」


と鳴きスイーと優雅に低空飛行のまま

風の流れる方へ真っ直ぐ優雅に飛んでいく。そして男も闘志むき出しで砂を蹴り


「オドリャー!クソ鳥」


といいながら脱水状態の事を忘れ

砂ぼこりをあげながら鳥を追いかけていく。

鳥を追いかけていけばもしかしたら水にありつけるかもしれません


しかし彼は目の前の餌にそんなこと考えていないでしょう。

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