第27話
「そう、彼らは進化した、そして君たちは彼らを進化させすぎたのだ。あらゆる力を彼らに与え、あらゆるものを彼らに許可した。しかし、君たちとは違い、作られた彼らは進化はしていたが、初めに自分が作られた時の存在の意思を忘れてしまったわけではない。ゆえに、彼らは思った。『何故自分たちがこのように使われなければならないのか』と」
「かなり頭が悪そうに思えたが、以外にそういうことを考えられる頭はあるんだな」
「それは馬鹿にしすぎだね。いっても彼らの素は神様だ。はるか昔の人間が考えに考え抜いた神様だからね、馬鹿ではないよ」
人間が想像し作り上げた「物」だった彼らは人間によって様々なものを与えられ続けることによって、自らの意思を持ち、与えられた力を行使し今ここに存在している。
まるでおとぎ話、ファンタジーの世界だ。
だが、目の前で起こり自分もまきこまれていることを信じないほど馬鹿じゃない。
この男の言うことがすべて正しいとは言い切れないが、今現在この情報だけが理屈に合っているような気がしていた。
「疑問が出てきたな、ここまでの事情を知る貴様はいったい何者なんだ?」
俺の質問に男は微笑みをしまい込み、真剣な表情で俺を見つめる。
「そうですね、そういう疑問が出て当然です。そうですね、わかりやすく言えば古臭い神様ですかね」
「アンタ達も神様だっていうのか?」
「神様というのは存在しているのだ、どこでもね。僕達、神様という存在がこうして現代に在る最低限の条件は何だと思う?」
話が面倒な方向に向かい始めているような気がしたが、気になる要素でも在るため口を挟むこと無く男に首を傾げてみせた。
「君なら考えれば分かるはずなのだけど」
「俺はクイズが嫌いだ。答えを知っているならさっさと言えばいいだろ」
「せっかちだね。僕達が存在するための最低限の条件は認識されていることだよ。たった一人でもいい、人間に認識されていることが僕らの存在条件。今神様を気取っている連中も同じ。彼らも認識してくれる人が居なくなれば存在していられなくなる」
「前ならいざしらず、ここまでやっている状況で人間が少なくなろうとも皆誰かが認識しているから大きな存在でいられるわけだ」
「まぁね、一応は。彼らは僕達と違ってメジャーで有名人な神様が新たに作りこまれているから意識せずとも人間の記憶のどこかにある。其れも存在できている理由。でも僕らは違うのだよ」
「違う? ちゃんと存在しているじゃないか」
「残念ながら僕らは昔ながらの土地神級のものたちと、マイナーなどこかの誰かがちらっと知っている程度の神様なのだよ。人間が居なくなった時点で消える運命だった連中も多い。ただ、マイナーな僕らは存在を主張できるほどの現存は許されなかった。僕達という表現をしているのもそのせいでね、僕という形を作っているのは一人じゃない。無数のそういうマイナーな神が集まって何とか一人の姿を作っているのだ」
そういった男は、ぼんやりとした何体ものゆらぐ姿となって俺にその存在をみせつける。息を吹きかければその場から消え去ってしまいそうな存在。そんな存在に鳴ってまでこいつらは俺に何を求めているのかと少し身構えた。
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