第18話
何故神共はこんな方法で人間を選抜しているのか。
選抜しているような行為を取りながらも最終的な人数も選ばれる人間の条件も示していないのは何故。
姉貴の言うように俺達が創りだした存在であるならば連中の真の目的は一体何だ。
今現在、人間は世界にどれほど残っているのか。
この先、どうなるのか。
と、これらを考えれば考える程、俺の浮遊物は増えていくが、これらは二つの選択肢で決められるほど単純な答えではない。
「そんなに無数に浮遊させている人間なんてあんたぐらいよね」
姉貴はそう言ったが、俺は俺以外に同じように無数の選択肢を浮遊させている奴を知っている。おそらく姉貴は会ってないのだ、あの男に。色白で細身のひょろりと背の高い優男のような風貌でありながら、その瞳の鋭さには俺も背筋が寒くなったほど。姉貴に言われるまでそういう奴がいた事をすっかり忘れてしまっていた。
「確か、花岡高校に住んでいると言っていたっけ」
改めて思い出してみれば、高校に住んでいるという言い方は少しおかしいと気付く。
進学校である花岡高校は俺の出身高校でもあって、よく知っている学校だ。あそこは設備も最新で警備システムも取り入れているから、高校自体に警備員や宿直などを置いているなど聞いたこともない。その花岡高校に住んでいるなど怪しんでくださいと行っているようなものだ。人が居なくなってから高校に住み始めたというところなのだろうか?
身なりはしっかりしていて、石鹸の匂いがするほどに清潔感にあふれていた。だからホームレスという感じはしなかった。まぁ、高校に住み始めて身綺麗になったという可能性もあるだろうが。
あの男はおそらく俺や姉貴と同類。まだ生きているだろうが、この状況が続けば自ら消える方を選ぶタイプのように思う。
「あの男に会う? 会わない?」
選択肢が俺の心の中をありありと写しだした。
姉貴という存在と少しでも関わりを持ってしまったからだろうか、気にもしていないはずだったあの男のことが気になり始めている。二度目に会った時、俺と同じようでありながらその雰囲気と瞳はまるで違い、どちらかと言えば姉貴に似ていると思った。しかし、実際の姉貴に対したことで、姉貴ともまた違うと思っていた。
気にはなる。
しかし、自分からその場所に行くのはなんだかあの男の思惑通りになるような気がして、あまり良い気分ではない。冷蔵庫からペットボトルを取り出し、そのまま口をつけて喉を潤す。キャップを閉めて手に持ったまま自分の部屋に行き、ベッドサイドのテーブルの上において寝転がった。
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