特別じゃない夜
幸せって何なのか ふと考える
きっと私は幸せじゃないの
すれ違う人々の足だけが見えた
雨粒のように弾けて瞳を濡らす
息をしない部屋に「ただいま」と言う
だって私は独りじゃないの
部屋の電気は付けずにカーテンを開けた
外の世界と交われないと知っていながら
指でなぞった跡から覗く世界
虫たちが群がる街灯の光が美しい
今日はいちばん静かな夜
私の心は暗い海を 音もなく 意味もなく 漂う
冷たく濡れた窓に掌を押し当てて
離した輪郭にいくつ幸せを愛せるだろう
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