ネバーランド

どうしてみんなそんなに前を向いて歩けるんだろう

ふるさとの友だちが知らない顔で笑いかける

首に締めたネクタイが鎖に見えてしまうのは僕が子どもだからなのか

来た道を振り返ってみたら遠くで自分が淡い光を発していた


何でもない顔をしながら君たちは僕の足場を崩していくんだ

僕は君たちのことを知らないけれど僕だけはあの頃のまんま

帰る場所は二度と同じ姿を見せてはくれない

切り裂くように自転車を走らせたあの交差点も今は綺麗に舗装されていた


僕はちょっとだけ逃げてみる その先に新しい何かに出会える

根拠のない予感だけが 丸まった背中をそっと押す

仲間たちはもう巣立っていった 孤独の雨とネバーランド

痛みを忘れて ただ信じた 笑って走る闇の森の中


逃げた先で何かを見つけられる そう信じれば無様な逃避行も悪くはないよね

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