speak

赤茄子

福笑い

君の目も耳も鼻も口も全部誰かが握っているんだ

許せない 誰かの手垢が付いて触りたくもないや

形だけその恥部を隠して 愛の言葉に顔を赤くして

「イヤ」だとか 「ダメ」だとか んなこと思ってもいないクセして


あっはっは 君の声、表情全部 見てらんない 聞いてらんないや

あっけらかん 明日の朝君は何食わぬ顔で僕の家の扉を開けて誠実な町に飛び出す


君の不細工な顔を拝むこと それは僕だけの特権

ほかの奴らにゃベタベタな美貌を見せてりゃいいのさ

新世界の幕が上がる 滲み出る血液すらも愛おしい

その先の苦悶と快楽が君の顔で福笑いしたみたいだ


君の汚い声 それは僕の腕の中だけで響くEDM

ほかの奴らにゃウグイスみたいな声でさ ピーチクパーチクさえずるんだよ

新世界の幕が上がる 滲み出る血液すらも愛おしい

その先の苦悶と快楽が君の顔で福笑いしたみたいだ


輪郭の内側を自由に泳ぐ君の部品がそれぞれの住処へ

静かな眠りにつくまでいつまでだって眺めてあげる

そのわりに血色の悪い君の頬を無理矢理にでも赤くして

そのくらいは勘弁してよ たかが遊びじゃない

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