16
母親探しを探偵に依頼している間、私は死んだように暮らしていた。
表面は明るく取り繕っていた。彼女が泣いた時、おむつを変えなくてはいけない時、私は精一杯笑った。だが、ふと病室が静かになった時、私は全身の力を失って地に這いつくばり、これまでの行いを悔いていた。
どうしてここまで自分が許せないのか、私にも分からなかった。自分の中では、仕方がなかったと肩がついている。けれど、ふと周りを見渡すと、視線が恐怖でしかなかった。あれだけ彼女を愛して、希望を持たせた挙句、何にも気づけないまま症状の進行を速めただけの愚か者への視線が、怖くてたまらなかった。
人が笑うと、自分のことだと思うようになった。誰かが私に話しかけた時、内心では嘲笑っている気がした。
こうして私は視線恐怖症になった。自分自身を、許してはならない存在だと思い込むようになった。
こんな状態では、働けるはずもなかった。本来ならもう既に新居へ移動し、謹慎が解かれて看護師としての仕事を果たさなければならないのに、誰かが気を遣ってくれて、まだ私と彼女はあの病室で暮らしている。
暮らしている、と言っても、ほとんど病室に引きこもっているだけだった。視線恐怖症の対策として、ヘッドフォンをかけるというものがあるが、こういった変化から先輩などに心配をかけさせたくない。適当な理由をつけて、買い出し以外は病室から動かなかった。
だが、その買い出しですら私にとっては一大事だ。廊下を、外を歩くと、誰しもから注目を浴びている気がしてしまうのだ。誰も目すら向けていないと分かっていながらも顔は自然と俯き、そんな暗い私を見かねて誰かが話しかけてきた時なんかは、私の恐怖心はピークに達する。たったこれだけのことでここまで落ちぶれるなんて、人間っていうのは奥が深すぎる。嫌な話だ。
そんな生活を送って一週間が経過した、日の出きっていない早朝、探偵から連絡は入った。
一通の電話だった。その時私は、やっと寝ついた彼女の傍らで、ぼーっと地面だけを無心で見つめ続けていた。
探偵からの通達は、そんな私が即座に体を飛び起こすほどのビックニュースだった。
『母親が見つかりました』
心臓が高鳴り、すぐに「どこですか」と問いただす。だが答えは、想像の範囲外のものだった。
『まず、私はあなたの情報を元に、佐木市からどこへ引っ越ししたのか、その情報収集から始めました。ですが、一向に手がかりは掴めませんでした。そこで、ふと思いついたんです。本当に母親は引っ越しをしたのか? と』
「……って、まさか……」
『ええ、そのまさかです。初めから、母親は引っ越しなんてしていませんでした。名義を旧名義に変更しているだけです』
私は手の力が抜け、スマホをぽとりと落とした。
正直、その結末は最悪なものと言って良い。
なぜなら、私はひそかに考えを巡らせていた。なぜ彼女の母親は、自分の子供を手放したのか。
考えついた様々な可能性は、どれも「仕方がなかった」に直結していた。捨てたのだとしても、きっと世界のどこかで、生活か病気か、子供を保護出来ない理由の何かに苦しんでいるのだと。
だが、そんな予想はことごとく外れた。だって、探偵の情報が正しければ、彼女の母親は、すぐ近くにいながらも寄り添おうとしていないことになる。
私は事務室へ急いだ。先輩の姿はない。一階づつ見て回り、ついに足を屋上へと踏み入れた。
福瀬先輩――彼女の母親――は、手すりにもたれながら気持ち良さそうにタバコを吸っていた。私の姿を目にすると、微笑んでこちらへ大きく手を振る。そうやって笑う先輩が、許せなかった。
「先輩……!」
全身に力がみなぎり、地面を足裏で叩きつけるように歩く。先輩の隣に立つと、眼球に怒りをこもらせて睨んだ。
「あなたが……由紀奈ちゃんの母親だったんですね……!」
先輩は笑みを失うと、タバコを落として空を見上げた。
「どうして! どうして彼女に寄り添わないんですか!」
「出来るわけないじゃない」
「なぜ!?」
「前にも話したでしょう。アタシには、母親の資格なんてないのよ」
そういえば、この前、神妙な顔で思い出話をされたことがある。父親は離婚して、子供は施設に預けたとか。
「あの話は、全部嘘じゃないですか!」
「いえ、半分は真実よ。確かに子供は施設ではなく祖父母に預けた。父親は離婚ではなく事故死した。けれど、あの時話したアタシの苦しみは、真実よ」
「でも! もう精神疾患は治ってるんですよね!? ならどうして寄り添ってあげないんですか!」
「ええ、もう病気とはおさらばしたわ。でも、だからと言って、そんなこと出来ない。アタシに、母親の資格はないの」
「資格なんて……誰が決めた!?」
「アタシ自身よ。アタシも許せないし、あの子もアタシを許さないわ」
先輩は寂しそうな目で雲を見据えると、一呼吸分間を置いて話し始めた。
「……半年ほど前、この病院にあの子が運ばれて、もう一度やり直そう、なんて魔が差したことがあったわ。
顔を覚えられていないのはラッキーだった。あの子の中で両親の存在は死んだことにしていたけれど、気づかれないのなら、アタシというあの子の母親は、ゼロからやり直すことが出来る。けれど、情けない話、どう寄り添ってもこっぴどく嫌われたわ。……これが現実よ」
「彼女が前に、母親との時間を地獄と称した時がありました。でもそれは、精神疾患が理由……。なら、今のあなた次第で、あなたと彼女はやり直せるじゃないですか! どうして諦めるんですか!」
「決まってるじゃない。あの子はどうしてもアタシを許さないからよ。日記に書いてあったでしょう」
反論ならいくらでも思い浮かんだが、先輩の『日記』という単語に思考が止まった。そんな私を見て、先輩は眉をひそめて問いかけた。
「まさかあなた……自力で母親を突き止めたの?」
「どういう意味ですか……?」
先輩は深くため息を吐くと、タバコに火を付けながら説明した。
「彼女のベッド下の、一番手前の引き出し。そこに、日々を綴ったあの子の日記が入っているわ。見てきなさい」
私は急いで屋上を飛び出した。
結論から言って、そこには全てが書かれていた。彼女が日々、何を思って過ごしていたのか。彼女の中で、病気はどう進行していたのか。
先輩が、あそこまで母親の資格を否定していたその理由も、読んでいけば自ずと理解出来た。
一日目。
小桜未希という看護師がやってきたのはつい昨日のことです。彼女は私を変えてくれたし、私も変わろうと思いました。
なので、今日からこっそり日記を付けていきたいと思います。きっと、現実への執着心として、良い働きをしてくれるでしょう。
二日目。
未希さんはどうやら、業務上夜にしか顔を出せないようです。その間、私なりに現実への執着心を高めようと、福瀬さんがくれた漫画やゲームを引き出しから取り出して、やってみることにしました。でも、何だかあまり楽しくありませんでした。未希さんと一緒にいるのが一番です。出来れば、一日中、一緒にいたいほど。
そんな願いは叶いました。どうやら彼女は、この病室に住むようです。内心、嬉しくてたまりませんでしたが、やっぱり私には、笑顔も、この感情も、表に出すのは恥ずかしくてまだ無理です。いつか出来るようになれたら良いのですが。
星空を観に行きました。彼女に私の胸の内を打ち明けると、全て叶えるなんて無茶を言い出しました。でも、彼女はやるようです。無茶なのに。
誰かと結婚とか、期待しても良いんでしょうか。
三日目。
楽しいところに連れていってくれると言うので期待していたのですが、そこは遊園地でした。でも、初めは怖かったけど、未希さんと一緒だと、何だか自分をさらけ出せるようになりました。
あるいは、症状が悪化していて、無邪気さが増しただけかもしれません。こうやって外に出るのは久しぶりですから、症状がどこまで進行しているか、自分でも把握していませんでした。
夜は観覧車に乗りました。家族と一緒に乗った記憶があったのですが、思い出すことは残念ながら出来ませんでした。ですが、何だか嫌な予感がしました。あの時私は、十分に楽しむことが出来ていなかった気がします。良く思い出せないので、何とも言えません。
四日目。
ととりんのことを思い出したので、高野市へ向かいました。ですが、いまいち何も思い出せなくて、観光をしただけになりました。でも、私にはその時間が至福でした。誰かと一緒に何かを見たり、感じたりするのって、何年ぶりなんですかね。思い出せないくらいにそれは忘れていて、その分だけ、あの時間は楽しかったです。
病院に戻ったら、未希さんが子供たちに連れていかれそうになりました。前までの私なら、絶対、私も混ざるという選択肢は捨てていましたが、何だか、彼女を取る子供たちに嫉妬した部分もあったんだと思います。私も混ざろうと決意しました。
子供たちとは、トランプやらジェンガやら、色んなことをして遊びました。ルールが全然分からず、まだ向こうもぎこちない感じで、楽しかったし新鮮だったけど、何だか申し訳なかったです。
けど、不思議なものです。こんなにも簡単に、私が重度の人見知りを克服するなんて。
認めたくありませんが、症状は着実に進行しているんだと、そう感じました。
五日目。
公園でみんなと遊んだ時間は、とても楽しかったです。でも、歳の差が歴然としている子もいて、一概に心の底から楽しめたわけではありませんでした。こういった壁も壊して、いつかは未希さんみたいに、日常でみんなを笑わせて、心から楽しめる日が来るでしょうか。
それに、やっぱり病気は進行していそうです。思考が短絡的になり過ぎていて、怖いくらいです。
今の私には、人見知りの症状が以前よりも抑えられています。それは、子供の無邪気さが、前の私の暗い部分を取っ払おうとしているからだと思います。
これだけしか進んでいないとなると、まだ初期症状なのだと思いますが、怖くて仕方がありません。
今日の本題はここからです。水田君のお母さんからの情報で、福瀬さんの家に辿り着いたわけですが、何だか嫌な予感がしてなりませんでした。
それは当たっていました。部屋の間取りや、家具の配置などを見ていると、鮮明に蘇ってくるのです。お母さんの正体が福瀬さんだってことや、家族で過ごした、地獄のような時間も。
確か二人は、何かに追われていました。お父さんの宗教団体でしょうか。分からないですが、食事も少なく、泣いたらお父さんにビンタか何かされた気がします。
私はこんなところへ帰ろうとしていたのでしょうか。そんなことを思うと、意識が混乱してきて、気がついたら病室で夜を迎えていました。
未希さんは私の様子を見て変だと感じて、心配になっていました。ですが、あのお人好しの彼女にお母さんのことを告げたら、何かをしでかすのは間違いないです。
私は未希さんに、ずっと笑顔でいてほしいです。私の希望である笑みを、失ってほしくありません。だから、内緒にしようと決めました。
夜、無人の商店街を放浪しながら、未希さんは告白しました。昔、何があったのか。
もう辛い想いをしてほしくないです。だからこそ、やっぱりお母さんのことは言えません。
症状の進行ことも、本当なら言うべきなんでしょう。でも、それで笑顔を失うのなら、私の運命も変わるわけではありませんし、やっぱり秘密にしようと思いました。
六日目。
昨日の分です。
早朝から街を歩きました。正直言って、感傷には浸れませんでした。
脳がもう既にそのような感性を失いつつあるのかもしれません。ただ、彼女といる時間だけは、かけがえのないものでした。
お母さん探しを探偵に依頼すると言い出した時は、お母さんの正体を知られるのが怖くて泣いてしまいました。露骨に断れば怪しまれるし、とりあえず探偵にはトラウマがあって、お母さんの居場所は思い出せないという体でいきました。
ですが、ホテルで彼女がお母さんを探すと言い始めて、あの時間が地獄だと、うっかり口を滑らせてしまいました。
彼女には心配をかけさせたと思います。いつもの彼女に戻ってほしいと、強く願いました。
七日目。
将来を見据えて、恋や結婚を視野に入れているみたいでした。成り行きで松田君と、彼が通う学校に行くことになりました。楽しみですが、少し不安な気持ちもあります。
八日目。
松田君と会うのは明後日みたいです。今日はいつも通り、未希さんと寒蘭の街へ遊びに行きました。帰ってからは、子供たちとも遊びました。もうぎこちなさとかはないのですが、子供たちの空間に溶け込めている自分は、既に幼児なのだと思います。少し気を抜けば、大人しさや冷静さを忘れてしまいそうになるほどに、症状は進行していました。
ですが、不思議ですね。彼女の目を盗んで、体重計で体重を測定したのですが、数値は以前と誤差程度のものでした。体全体に、記憶にも違和感は見つかりません。前回の手術は上手くいかなかったということでしょうか。人格や知性だけ遡行しているように感じます。遡行の速度はかなり緩めですが。
九日目。
昨日と同じような一日を過ごしました。ですが、夕方くらいから、明日のことを考えて胃を痛くしていました。本当に大丈夫なのか、とても不安です。
十日目。
十一日目。
昨日のことは思い出したくありません。とにかく、未希さんが生きていて良かったです。
逃避行しようと提案されました。取り返しのつかないことをしようとしていて、何度も忠告をしましたが、彼女は本気でした。
嬉しかったです。喜ばしいことです。でもやっぱり、悪いのかなとも思います。
時々考えていました。未希さんがいなくなったら、自殺しようと。良い夢を見せてもらったから、その夢が絶望に穢れる前に、良い夢のまま死んでやろうと。
でも、未希さんが一緒にいてくれるのなら、その必要もありませんね。
十二日目。
花火大会に行きました。花火はおばあちゃんたちと何度も観てきましたが、あれだけ綺麗に思えたのは未希さんのおかげです。
未希さん、あなたは多分、また私に良い男を見つけて、結婚してほしいと考えているでしょう。でも、残念ながら、あなたのおかげで、その良い男のボーダーラインは爆上がりです。
果たして、この世にあなたを越える人がいるでしょうか。
私は同性を好きにはなれませんが、結婚するなら、あなたのような人が良いです。
あなたが男だったら良かったのに。
十三日目。
疲れているのか、未希さんがお昼になるまで起きませんでした。やっぱり、私のせいでしょうか。だったら、その疲れを吹き飛ばせるほど、私が笑わないと。未希さんを笑顔にしてあげないと、って強く思いました。
それから海に行きました。みんなと遊んでいると、ことごとく実感します。私はもはや、もう一か月も持たないのかもしれません。
だって、めちゃくちゃ無邪気なんです、私。知恵までは遡っていないようなので、何とか冷静さを保つことは出来ますが、思考能力の欠如に気づかれると、いよいよ危ないと思います。
依然として体や記憶に違和感は見つかりません。橘先生は、手術の効果の適用期間は一か月と説明しましたが、この有様では、その言葉も信用なりませんね。
十四日目。
一日中、公園でみんなと鬼ごっこ、かくれんぼ、サッカー、キャッチボールをして遊んでいました。
もしかしたら未希さんは、症状の進行に気づいているのでしょうか。そう疑わざるを得ないくらいに、私の脳は幼児化を続けています。
未希さんの涙だけは、何が何でも見たくありません。だから私は、彼女とあまり難しい話をしないようにしたいと思います。
十五日目。
昨日と同じく、公園で一日中遊びました。それでもって、疲れたふりをして朝まで寝ました。
気づかれるのは時間の問題ですし、私としても、二人きりでまた話がしたいです。でも、やっぱり気づかれるのが怖くて、現実から逃げてしまいました。
このまま赤ちゃんに戻るまで芝居を続けるというのなら、もういっそ、時計の針を進めた方が良いでしょうか。
悲しみは、突然やってくるのと、事前に知らされているのでは、どちらがより辛いでしょう。
答えは前者です。悲しみを知りながら私に笑顔を作り続ける彼女なんて、死んでも見たくありません。
十六日目。
少し、仮説のようなものを立ててみました。
身体呼応症候群は、発症者の思い込みを無意識下で身体が応えてしまうというもの。
なら、私の『未希さんとこのままずっと一緒にいる自分』という想像もまた、身体は応えてくれるはず。
つまり、このおかしな遡行の仕方は、『人生のやり直し』と『現状の維持』という二つの願いが複雑に絡み合った応え方、という可能性があります。
とはいえ、もう無理でしょうね。昨日、前者の願いの催促もしてしまいましたし、いずれ体も赤ちゃんへ変貌を遂げてしまうと思います。
いや、どうでしょう。脳だけは〇歳まで遡行しても、体は元のままかもしれません。
十七日目。
朝起きた時、ここがどこなのか、自分や未希さんが誰なのか、その全てを忘れ去っていました。辛うじて日記を読むことで何とか思い出すことが出来ましたが、多分、もう長くはないです。明日か明後日で最後でしょう。
赤ちゃんに戻ったら、恐らく今日みたいに記憶は全て失われます。突然消えてしまうのか、人が乳児や幼児の記憶を覚えていないように、物心がついた頃に忘れてしまうのか。ですが、生命を失うわけではないので、その記憶は眠り続けることになります。なら、記憶が戻る可能性はゼロではないのです。私はそれに懸けて、ここに胸の内を綴ります。いつかまた、一から成長した私がこれを呼んで、思い出してもらうために。
次以降に記されていたのは、未来の自分へ宛てたメッセージのようなもので、遺書のようでもあった。
最後の文章を読み終えた時、私は初めて自分が大泣きしていることを自覚した。
胸の内を書き綴ったその告白は、最後をこう締めくくっていた。
色々あったけど、お母さんは、今は恨んでいません。だって、私を産んでくれたことには変わりありませんから。
お母さん、今、私は幸せです。未希さんと一緒にいられるのは、あなたのおかげです。
産んでくれて、ありがとう。
そして、未希さん。私を救ってくれて、ありがとう。
今こうして幸せになれているのは、あなたのおかげです。感謝しても感謝しきれません。これからもずっと、ずっと私の傍にいてくれたら嬉しいです。
今までありがとうございました。
全く、先輩は最後まで日記を読んでいないじゃないか。
心の中で呟いたつもりだったが、気がつけば声に出ていたらしい。背後で立ち尽くしていた先輩は私の手から日記を取り上げ、序盤の方からページをめくっていった。
「……読めるわけ、ないじゃない……。地獄なんて言われたら……逃げたくなるわよ……」
彼女は、先輩のことを許していた。それどころか、感謝すらしていた。
日記を読んだ限り、彼女は私に症状の進行を秘密にしていた。全ては私を悲しませないために。
何だか、今まで悩んで、苦しんでいた自分が憎らしくなってきた。当然だろう。その行為こそが、一番彼女を悲しませていたのだ。
心を支配していた鬱が抜け、未来の灯りが見えてきた。
彼女の『現状の維持』という思い込みが症状を和らげたのだとすれば、この不治の病を治す治療法は、『相反する事象を身体呼応症候群として、元の症状にぶつける』というもの。
プラシーボ効果を応用した治療というのはこの原理なのだろう。だが、井沢先生はその効力を、一年程度としていた。
つまり、彼女の私に対する愛が一番の治療だったのだ。
夜が明けてきた。太陽の日差しは少しずつ世界を照らしていった。
それは、まるで私たちの心境を表しているかのようだった。
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