第2話  タイマン













3人とも活発的に動くことができないが、な


んとか端の方に寄ることができた。仲間の無


事を確認できたことは非常に良かったのだ


が、状況は最悪である。


「動けるようになるまで俺が粘るから、3人


もなんとか!動けるように頑張って」


3人にそう言って、戦闘に戻った。 








 




なん十分、何時間経ったかはわからないが、


徐々に敗北に向かって歩いていることは見て


とってわかる。


「ハァハァ。クロスたち!動けるようになっ


たか?」


「魔法で呪いを解除しても解除しても、なん


でかわからんけど新しい呪いがかかるんだ


よ!それにもう魔力が残ってないんだ。」


「まじで言ってるのか?バックからMPポー


ション出せばいいじゃないか?うわー!」


俺がよそ見をした瞬間に、サタンの不意打ち


を受けた。


「確かオーディスと名乗ったな。よそ見をす


るな。そんな余裕があるのか?。」


サタンの殺気が1段階UP。


「バックが開けれない呪いだって?!本当


か?どうしようーな.........」


「無視するとはなかなかいい度胸してるじゃ


ないか。ならいい。本気で行くからな。後悔


をするなよ。」


サタンの殺気が2段階UP。


「みんな魔力ゼロなの?俺がなんとかしたい


けど、解除魔法取得してないしなー。しかも


ポーション、ハメルが全部持ってるんだっ


た。」


「態度のデカさだけは認めてあげよう。では


行くぞ。神化。魔神恐々型サタン!」


十メートル以上の巨体の周りを漆黒のオーラ


がまとい、でかくなると思いきや、自分と同


じ大きさになり再び現れた。


「コンパクトになったなー。だいぶ。」


瞬き禁止とはこのことだろう。一瞬で足元を


奪われ、強烈なパンチを受ける。


奥の彼まで吹き飛ばされ、倒れ込む。


「なかなか痛いじゃねーか。これは俺もやら


ないとな。」


「お前の負けは決定済みだ。腹に穴があくま


で殴ってやる。では行くぞ!」


左足を後ろに下げ、今にも来そうだ。


「ちょーーと待って。お願いだから。ちょっ


と待って。サタンもさ、もっと手応えある方


がいいでしょ?ね?そのために少しだけ時間


くれない?」



今は敵対心がないことを両手を上げて示し


た。


「何をする」


「少しだけ自分を強化するだけだよ。無駄な


足掻きだとは思うけど(笑)」


鼻で笑い、どうぞと言うように背を向け歩き


始めた。


「そうか。3分だけ待ってやる。」




クロス「オーディス!何をするつもりだ?」


「ちょっと自分を強くするだけだよ。時間稼


ぎだよ。」 


ミーラ「まさか…。あれはしないよね?」


「え?そのつもりやけど。」


「その形態になったら寿命が縮むって言われ


たじゃない!」


「じゃあ何もせずにここで死ぬのか?まだ俺


ら若いのに。しかも約束しただろ?王様さん


とよ。」


そう。負けてのこのこ帰れるわけがない。つ


いつい感情的に言ってしまったが、後悔はし


ていない。ミーラが俺を心配するのも無理は


ないと正直思う。人間は死ぬまでにする呼吸


の数は大体一定だと聞いたことがある。今か


ら使う形態は普通の呼吸の100倍近く早く


呼吸することで短時間だけパワーが増幅し


て、一時的に疲れないからだにすることだ。


これを使ってるときは100倍死に近づいてる


とも言えるだろう。


できれば使いたくなかった。何もなければ使


うことはなかった。仲間の意味不明な現象が


この事態を生んだ。


サタンの協力者がいるに違いないが、見当た


らない。


「これでよし」



「おい!そろそろだぞ」


「今終わったところだ。」


「そうか。小細工は上手くいったか?」


「それがお前を倒すぐらいまでうまくいきそ


うな小細工ができたぞ」


魔王サタンと勇者オーディスによる神次元の


試合が火蓋を切った。一撃一撃が衝撃波を生


み、クレーターのようなくぼみができてしま


うほどの凄まじい攻防戦になった。


どちらも一歩も引かず、一進一退の戦いでど


ちらの体力も少なくなっていたのである。


「ゼェ、ゼェ、勇者さんよー。お前をそろそ


ろ疲れてきたんじゃないのか?降伏したほう


がいいぞ」


「ハァ、ハァ、そういうお前をなかなか手間


取ってるじゃん。小細工しただけの相手


に。」


今の挑発でまた来るかと思いきや、服につい


たゴミを落としながら


ここでサタンが交渉をしてきた。


「なぁ、俺はもっとかっこよく勝ちたいん


だ。そこで一つこれはどうだ?今のお前の体


力と俺の体力はほぼ同じだ。残り7%といっ


たとこだろう。泥試合をせずここで、遠距離


攻撃で勝負しようじゃないか。」


サタンの予想外の申し出に口を開けて聞いて


いたが言いたいことはよくわかった。サタン


は見栄えを気にしたのだ。そりゃ、何十年ぶ


りに、なかなかいい戦いをしているからだろ


うか。相手側の気持ちまで考える俺は馬鹿だ


と思う。


「分かった。いいだろう。だがちょい待っ


て。」


「ミーラたち!……ってどこ?」


勝つか負けるかわからんが、俺はやってやっ


た。サタンを苦しめた。どっちに転がっても


良いようにお礼だけ言っておきたかった。し


か先程までいた場所にはいない。


周囲を見渡すと、すぐにわかった。上にぶら


下げられている。ネットのようなものに閉じ


込められている。3人とも中に入っていて声


は聞こえないが、クロスとミーラがハメルを


睨んでいる。どういうこと?


「そろそろいいだろー?」


「あぁ」


「「はぁーーーーーはぁーーーーー↑」」


お互いに気を高め、気功波をためている。


「絶技!雷電魔弾道!!」


俺だって必殺技くらい持ってる。今しか使え


ない技だ。 


「神技。ラストジャッジメント!!」













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