「姉さ「ママって呼んで?」「夕咲さ「パパでいいぞ?」

大貴

第1話  プロローグ

雪野智樹、高校一年生には両親との思い出があまりない。

 別に仲が悪いとかではないのだが、問題を一つ挙げるとしたら両親が姉である雪野はるかを溺愛してるということくらいだろう。

 生まれてから一度も授業参観に両親が来たことない。理由は説明しなくても、分かるとは思うが姉の方に行っているからである。


 そんな、両親なのだが姉が高校一年に上がったと同時期に親父の方が海外に転勤することになり、母さんもついていくことになった。

 2人とも、俺たちも(俺の場合はついでだが)一緒に連れて行こうとしたが、珍しく姉が残ると断ったのだ。

 両親が海外に行った後に聞いてみたのだが、幼馴染みの矢島夕咲と中学の時から付き合っていたらしく、離れるのが嫌だったらしい。

 夕咲さんに関しては、俺も幼い時から遊んでもらったりしており、とても優しい人なので姉さんと付き合っていると聞いて素直に嬉しかった。


 両親が海外に行ってからは、姉さんと一緒に料理を作ったり、夕咲さんが家に来て一緒に遊んだりしながら生活をしていったのだが、そんな平和な時間は一年後に崩れさってしまうとはこの時思いもしなかった・・・。


 それは、俺が高校に上がって間もない頃。姉の唐突な一言から始まった。


 「実はね、私子供が欲しいの!!」

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