梵鐘

深川夏眠

梵鐘(ぼんしょう)


 小遣い稼ぎに親戚の手伝いに行った。寺の留守を任され、掃除や電話の応対。夕食後に一眠りしたら夜中に目が冴えてしまったので、戯れに鐘楼へ出て撞木しゅもくを一突き。ゴーン……。

 ヒッと引きった女性の短い悲鳴。巨木の根方に放り出された一本歯の下駄と、櫛。


        【了】縦書き→Romancer『珍味佳肴』

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梵鐘 深川夏眠 @fukagawanatsumi

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