第18話 会敵・秘密の夜

【自己紹介とあらすじ】

私は、変身ヒロイン、キザキ・アカネ二十三歳!(稀崎明音)

正義の味方として、日常をクズみたいに生きるんだと決意した『わるもん』カップルを自宅に軟禁している女の子!飼い主の責任として、きちんと彼らに名前をつけてあげたわ!!


痴漢にあってもっと確りしなさいと、イノシシのようなJK!に説教をされ、腹立ち紛れに外灯を破壊!!

その後変身ヒーローたちの、月いちミーティングでインターンシップの学生がやってくるって話をされてやってきたインターンシップ の学生がイノシシ JK!

彼女はとことん規格外の対応でビビったわ!


そして、インターンシップの歓迎飲み会のなか、戦隊ヒーローのお仕事が始まったわ!

いよいよ始まる戦隊ヒーローらしい回の十八話…。みんな!『わるもん』と会敵よ!





道路工事というダミーバリケードで封鎖。


さて、封鎖したエリアに帰宅する人たちは、帰宅させた後、独自のテレビ映像・ネット環境・ラジオ環境の全てをグローバル環境から、エリアローカルのダミー環境へ切り替えた。

番組構成や、膨大なネット環境のダミーサイトが、一気に走り出した。

明日は職場は自粛で機能停止となるため、自宅待機でと連絡。


そのエリアから人を隔離した上で、ヒーロー戦隊の突入が行われていく。


霧の向こうから獣の影が見えた。

残党狩りは初めてだけど。


まさか単身で相手をするとは思わなかった。


みんなやけに酔いが早いと思っていたけど、タイムシフトがこの町内にかかっているとは…。どうりで街中がしんとしてるはずだと。


はぐれた残党のわるもんは、月夜に動き出すのだけれど…。


一度戦い始めたら、一週間、戦いっぱなしと言うこともあるらしい。

相手はケモノに近い奴らなので、ペース配分など考えないらしい。


死ぬまで戦い続けるのだ。


そんなことを思ったのだけど、彼らは何故はぐれてもなお、ここでうろうろしてるのだろう。


私の変身ペルトはOLさん仕様だ。

細身のタイトスカートにも似合うベルトになっている。セットポジションを取ろうとしたときに、黒い影がわるもんの獣を掻っ攫っていった。


唐突に、目の前からフィルムのコマが飛び去ったような唐突さで消えてしまった。


ぐるんと頭を巡らせて、天を仰ぐと天空に抱き合った影。


人型と獣の…。


会敵!

追います!


と言うと、グリーンが滑り込みながら発信器を打ち出し、命中させたようだった。

マーカー着きました。


町内から出すな、ダミーシステムの範囲を拡げるのは面倒だ。

南側の森の中に逃げ込みそうです。


森かぁ。


逃げ込まれたら厄介だぞ。

大丈夫!赤いのと黄色いのが先回りしてるから、一旦、上水道の中に…。


わかりました!私も潜ります!


何十キロもあるマンホールの蓋を抱え上げ、体を滑り込ませる。


普通に上水道は闘技場なのだ。

地上は、一般庶民の財産保護の為に、地下に追い込むことがセオリーとなっている。


一度追い込めば

通路閉鎖により思うところに、凄い勢いで逃げ回る彼らを追い込んでいかことができる。

意外に地味な仕事かも…。


程なく、小さな通路で身動きができなくなったわるもんのオーナーと、獣が捕まった。


二人とも抱き合って震えている。

震えながら、牙を剥いていた。


この世界の中で、互いだけが信じられるもの同士だと言わんばかりに。

ようやく会えた二人なのに。


人型のわるもんは、人間に溶け込むことが出来る。


そうやって生きながら、パートナーと共に蜂起する時を窺っているのだ。


五年前に、蜂起したわるもんは、見事に時期を逸して鎮圧され、獣とオーナーが散り散りになった。


獣わるもんは、オーナーを恋しがって時折、このように彷徨い歩く。


そして、それを餌にして、オーナーである人型わるもんもろとも捉えるのが我々の役目なのだ。


うっすらとかかっている霧は、頒布された催眠剤だし、ダミーシステムは、ネットもテレビもラジオも、全国で流れているものとは時間軸がずれている。


時計でさえ、クロック周波数をいじって空白の時間をつくりだす。


街全体が、独自に切り離された時間軸を持っていて、町自体で起こっている事件は認識されないようになっているのだ。


やけに静かな夜や、深く眠りについてしまう夜は、地下でそんなことが起こっている…。


捕まったわるもんオーナーと、獣はどうなるんだろう?それは、私たちの関知するところではない…。

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