第17話 白水(しろーず)ちゃんによる渡辺部長への訓示

【自己紹介とあらすじ】


私は、変身ヒロイン、キザキ・アカネ二十三歳!(稀崎明音)


正義の味方として、日常をクズみたいに生きるんだと決意した『わるもん』カップルを自宅に軟禁している女の子!飼い主の責任として、きちんと彼らに名前をつけてあげたわ!!

痴漢にあってもっと確りしなさいと、イノシシのようなJK!に説教をされ、腹立ち紛れに外灯を破壊!!

その後変身ヒーローたちの、月いちミーティングでインターンシップの学生がやってくるって話をされてやってきたインターンシップ の学生がイノシシ JK!

彼女はとことん規格外の対応でビビったわ!


で…だんだんVS渡辺部長との対決の飲み会の十七話…。みんな!更なるインターンシップ大暴れ酔いつぶれ続編よ!





お酒を飲んで笑い合ったら仲良しになります!部長の苛々も仲良しメンバーがいたらなくなりますよ!

そう言って笑う。


店員は微妙におどおどしてる。

出されたメニューにはオーダーストップは…?21:00?

腕時計の戦隊集合ランプが灯っているのが気に掛かる。


今日のこの居酒屋は貸し切り…。

私たちだけしかいない。


意外にシローズちゃんはビールを注ぐときラベルを上にして、グラスに接触せずに両手で注ぐというマナーや、グラスを合わせるときに目下のものはグラスを低くするという所作はできていた。


渡辺部長もその点は何も言えずに居心地悪そうにしていた。

もしかしたら、この人は自分の居心地の悪い状態を人に伝えることでしか人と繋がりが持てない人なのかもしれないと思うと、ちょっとかわいそうになってきた。


「白水さん、インターンシップ 1日目はどうでしたか?」とトレンチさんが聞く。

「どうもこうもです」と言いながら笑う。

「部長さんは、ストレスがすごいみたいなので、もっと心をおおらかに保たれた方が良いと思うのです。あの状態では、全然働いていて楽しく無いです!」と、続けて言い放つ。


「あのな…白水…」

「さん!つけてください!私はあなたの僕(しもべ)でも、子供でも、妹でも無いですから。他人には敬意を払うものです!」

「上長やぞ!」

「いばるために上長になったんですか?!」そう叫ぶ。

「他のお客さんに…」

「私達だけしかいません!そして、こういった話し方はいつも部長が社内でされていることです!社内と社外、どちらもパブリックスペースです!ご自宅ではありません!自分の都合のいいように公私を使い分けないでください!」


そう言うと、ニヤリと笑って…「公の概念が無い部長と、私のインターンシップ に…乾杯!!」とグラスを高々と掲げ言った。他の私たちも釣られて「か、かんぱい…」とバラバラの掛け声でグラスを掲げた。


「なかよしって、なんだと思います?」そう、シローズちゃんが部長に聞く。

「つまらんね、邪魔なものやろ?肉食系のガツガツ営業に行けるやつじゃ無いと意味がないやろ?」

「かぁあああ!ばっかじゃないの?!そんなだから、営業成績落ちてるんでしょ?!」

意味がわからない…。インターンシップ の学生に、部長が営業成績の話で説教されている。

「なべちゃんの考え方だったらさ!社内に派閥できるやん!自分たちは自分たちで成績上げればいいってなって、ユーザーの情報隠すやん?!協力体制が得られんのと違う?!」

実際そうだった…。


顧客リストは、各個人が握りしめて他人に公開せず単独行動が、この会社の営業としての在り方になっていた。

達成賞とか、営業No. 1を決める行事や、部門別の収益達成率の報告と…。

恐ろしいほどに皆が競い合う仕組みが創り上げられていた。


だから…。

営業成績は、今の段階で頭打ち。

身動きがとれていない。


「なかよしってねぇ…一体感なのよ!学園祭なのよ!お祭りなの!みんなで協力して成功させよう!っていう一個人の目標ではない集団の意思なの!!」


部長は、机の隅を見つめてイライラしていた。

ことごとく、自分の会話が否定され、ぐうの音も出ない。

「お前、学生やろが!少なくとも社会人やぞ!舐めんな」

そういう渡辺部長には、妙な負け犬のような悔しさが滲んでいた。


面白い…。私はこんな顔をしてたんだなぁ…イオンモールのフードコートで…。

あの時と同じ風景が、部長に置き換えられて展開されているのだ。

多少、部長が気の毒になってきた。


酒が過ぎて、みんなが酔いつぶれ始めたが、それはかなりの違和感があった。



まだ19:00なのに店内には誰もいない。

街で一軒だけポツリと火が灯ってるのが、この居酒屋のみ。


なんかおかしくない?

シローズちゃんは、たくさん飲んですぐ帰りましょう!とろれつの回らない言葉で言う。

部長もトレンチさんもうつらうつらしている。

いくらなんでも、酔い潰れるのは早すぎた。


霧が降りてきて、外が真っ白になった。

街中が、一部だけロックアウトされる前の、催眠ミストだ。

やばい、腕時計の緊急招集のサインを改めて確認して、飛び出した。


詳細はこう…。


街中が極秘裏に、一部だけロックアウトされた。


正義の味方カンパニーは、ゾンビ化したエリアをとりあえず、道路工事というダミーバリケードで路上封鎖。

さて、封鎖したエリアに帰宅する人たちは、帰宅させた後独自のテレビ映像・ネット環境・ラジオ環境の全てをグローバル環境から、エリアローカルのダミー環境へ切り替えた。


時間軸をズラしながら番組構成や、膨大なネット環境のダミーサイトが、一気に走り出した。


明日は職場は自粛で機能停止となるため、自宅待機でと連絡。

そのエリアから人を隔離した上で、ヒーロー戦隊の突入が行われていく。

今日のヒーロー戦隊は三チーム投下。

区の小さな町。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る