第16話 不本意なる風説の流布
【自己紹介とあらすじ】
私は、変身ヒロイン、キザキ・アカネ二十三歳!(稀崎明音)
正義の味方として、日常をクズみたいに生きるんだと決意した『わるもん』カップルを自宅に軟禁している女の子!飼い主の責任として、きちんと彼らに名前をつけてあげたわ!!
痴漢にあってもっと確りしなさいと、イノシシのようなJK!に説教をされ、腹立ち紛れに外灯を破壊!!
その後変身ヒーローたちの、月いちミーティングでインターンシップの学生がやってくるって話をされてやってきたインターンシップ の学生がイノシシ JK!
彼女はとことん規格外の対応でビビったわ!
で…だんだん正義の味方とか関係なくなりかけてる十六話…。みんな!大暴れ日常インターンシップ続編よ!
部長とトレンチさんが話をしている。
かなり深刻な話だ。表情でわかる。
部長は「マジで?そうなん?へぇええ!」と感動したように笑顔で言っている。
「どうも世間離れしとるよね?って思っとったんよねぇ…そうなんか…。」にやにや含み笑いで渡辺部長は頭の中で計算しているようだった。
トレンチさんは、私の方を見て第一段階はクリアと言うふうに、腰のあたりでこっそりと人差し指と親指で丸を作ったまま、口をひき結んで頷く。
給湯室で会ったとき、トレンチさんは「デマを流したわ、風説の流布…」と、不本意そうに、悔しそうに言った。
部長に、白水さんは社長繋がりの、とある財閥の御息女であると言う噂があります…と。
部長は「俺は、それでも言う時は言うけんな!」
と、微笑みながら宣言したが、明らかに呼び名は白水さんとなったし、自ら率先して会社のマナーを教え始めた。
財閥と繋がりたいらしい。
「会社は規律が大事やけんな!」と言いながら、お辞儀の角度は三十度で…とか話している。
シローズちゃんは、それを聞いて「部長!分度器ください!学校で使うようなやつ!」と言う。「大体でいいけん!」とめんどくさそうに部長が言うと「この会社は、ロボット人間を作りたいんでしょ?!大体などという基準はありません!ロボット人間を作ってプログラム通り動く価値判断が出来ない人間を作るのなら、分度器を持ってきてください!」と噛み付いていた。
トレンチさんは、今はいないし部長がこめかみに血管を浮き立たせているのを見たのだけれど、あまりの恐ろしさに声をかけられる人はいなかった。
「キザキっ!お前、分度器買って…」その言葉を遮り、シローズちゃんは「ナベちゃんがやらせたいことに、他人を巻き込まないで!キザキ先輩はお仕事があるんです!」と、言った。
なべちゃんって!距離縮めすぎの嫌いがあるー!と心の中で叫びながら、気もそぞろで仕事に手が付かない…。
渡辺部長は「わかった、じゃ分度器が届いてからまたやろう。」と言ってアスクルのウェブページを開いていた。(逃げる気満々)
部長!ちょっと待ってください!と言いながら携帯を取り出し、お辞儀角度アプリを探してダウンロードしながら「やりかけたことは最後までやる!」と言いながら、それを部長に渡していた。
「最近の若い奴はなんでもデジタルで…」という言葉をも遮って「便利なものを使わないから退化が避けられなくなるんです!」
と、部長の後退した額を指さした。
なんだ?この光景…。
部長がインターンシップ生に怒られている…。
部長は、この会社の生え抜きなので、他社の価値基準を知らない。
特に体育会系のウケがいい感じの営業のエースで、学生バイトからのし上がってきた凄腕営業マン。
一人でバブルの時には一日で売り上げを壱億あげたという伝説もあるくらい。
彼は、聞きかじりのビジネス用語を得意げに使って他人を煙に巻くようにして、勢いだけでやってきた人だった。
一般的に凄腕の営業は得てして本能的な感性が必要とされるため天才的な会話のスキルで徐々に相手のテンションを上げつつ、自社商品への誘導を行うプロなのだ。
しかし、凄腕営業マンだからと言って、その人材が上司として有能かと言うと、それは未知数…。
本能で商品を売る営業マンは、売れない部下の悩みや苦悩がわからない。だから、部下に対して売れない理由がわからずに、気合や根性を前面に出しすぎて押しが強くなる。
「気合い根性は、才能の上に成り立っていることがわからないんだ。だから許してやってほしいよ」
そう、トレンチさんが言っていた。
トレンチさんは、部長の保護者みたいなものかな?と、思っていた。
でも、トレンチさんは、この、アインシュタイン食品において、誰にも細やかな気遣いをする人だったので、この人でこの会社の平和は保たれていると言っても過言ではなかった…。
助けられた人も数多い。
シローズちゃんも、いきなりのトレンチさんとの会話で、いたく感銘をうけたようで、彼女の言うことは、しっかりと聞くようになった。
今もそう。
外出中のトレンチさんが郵便局から戻って「おつかれさまでーす、戻りましたー」という声を聞いた途端、シローズちゃんはいきなり「部長!お時間よろしいですか!!」と大声で言った。
部長は「はぁ?!」と、大声で聞き返す。
シローズちゃんは「いえ、最初に言うのを忘れていましたんで!」と、敬礼しながら言った。
この子は、本当にフォーマット的な儀礼的なモノに弱い…弱すぎる…。いや、わざとやってるのかな…?馬鹿なのかもしれない…いや、海外生活が長かったのか…?とそう思ったりもした…。
とにかく
部長の中では、白水真代は甘やかされたお嬢様なので、アインシュタイン食品の部長さんから仕込んでもらったと言われて、感謝されるというシナリオを思い描いているんだろう…。
そして、今日は飲み会だ…。
白水真代ちゃんの歓迎会。
「おい!稀崎!今日の飲み会で、きっちりお酌の仕方とか教えとけよ!」と部長から仰せつかった。
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