カラフルな世界とモノクロな心

柚希藍璃

ゼロ話

とても綺麗だ。

僕は昔から飴が好きだ、光に照らすと透き通るような色の飴玉や、

カラフルでポップな濃い色も、色とりどりの飴を眺めては幸せな気分に満たされていた。

……だが現実は飴ほど甘くはないらしい、

僕はコンビニで買った綺麗な飴玉を

口へ放り込み、やり途中の資料へと

目を向けた。

僕の夢は学者だ、とは言ってもまだなんの

研究もしていないし、まだ子供だ。

夢は誰かに語るものでは無い、

きっとみんなは僕を嘲笑うだろう。

……でももし僕が学者になったのならば、

みんなは手のひらを返すように態度を変えるだろうな。

そんなことを思いながら僕はその夢に向けて勉強に勤しんでいた。

……量子力学の本を手に取り

様々な考察をした、

だがどれも僕の求める結果には

たどり着かなかった、

……いや、たどり着けなかったのだ。

僕は疲れてしまい少しボーッとしていると

口の中にやんわりと広がる甘さに

くどさを感じ、珈琲を入れることにした。

【甘いのも悪くはないが、僕にはこれくらいがベストかもな】

そう吐き捨てたように言葉を漏らし、

透き通るような…飴玉を連想させるような

鮮やかな色の空を見上げ溜息を漏らした、

どうやら僕には苦いものの方が

慣れてしまっているらしい

甘いものは嫌いだ、

だが鮮やかな飴玉だけはどうも

嫌いになれない。

…甘さを知ればもう戻れないのに

僕は疲れた時、どうしても飴が食べたくなる

そのあとは決まって苦い珈琲を飲む

【甘い経験も苦い経験になるのなら最初からいらないんだよ】

そうだポツリと呟いたあと僕は再び勉強に手をつけた。

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カラフルな世界とモノクロな心 柚希藍璃 @hiyokomochiaiai

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