第17話 1日目外伝2 第1発見者

 大塚舞は他の女性陣と夕食の準備をしていた。

 料理は得意な方ではなかったが、別に不得意という訳でもない。だが相沢沙耶が1番手際が良かったこともあり、食材に関してあまり手を出すことはなかった。

 そういう事もあり、なかば必然的に舞が男性陣を呼びに行く事になったのだ。



 舞はいわゆる”お嬢様育ち”で、有名な女子高、女子大で過ごしていた。両親の敷いたレールをなんの疑問もなく歩いていたが、いつしか”自分”という物が無いことに気づいた。

 それからは早かった。

 (私も普通の子がしている事をしてみたい。学校後の寄り道、カラオケしてみたい)

 舞は初めて心から楽しいと感じていた。

 そして話題になっていた人狼ゲーム。世間知らずがたたり、差出人不明の招待状を不信を抱くことなく受け入れた。

 だがしかし――。


 「鈴木さん。食事の用意ができましたよー」

 だが返事がない。

 (まだ寝てるのかな?他の人も呼びに行かないと。…先に他の人から呼びに行こうかな)

と考えはしたものの、他をまわってまた来るという手間はかけたくなかったので、

 「鈴木さん?入りますよ?」

と声をかけ、ドアノブにそっと手を伸ばした。


 ギギィ


 ゆっくりとドアを開けて中をのぞく。奥には栄作が床に横になっているような姿が確認出来た。

 (もう、あんな所に寝て。酔いつぶれちゃったのかな?あれ、でもそんなにお酒飲んでたかな?)

 「もう鈴木さん、そんな所に寝――」

と途中で足を止めた。

 舞の目の色がみるみる変わり、顔は青くなっていった。

 その後どうなったのか、舞がしょうきを取り戻した時には応接室にいた。

 「大丈夫、大丈夫だよ」

と順也が優しく慰めてくれたので、なんとか正気を保っていられた。

 (…こんなのどうかしてる、きっと夢よ)

と思ってみても、現実は変わってはくれなかった。

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