第16話 1日目外伝 女子力?

 「おはようございます」

 朝早く女子たちは集まり、食事の用意を始めた。昨日女子たちは、

 「どうせ男たちは料理なんてできないよね」

という事で、みんなで早起きして作ることに決めたのだ。

 「大人数だから沢山つくらないとね!」

 とみんな張り切っていた。

 「女子力勝負だったら負けませんよ」

と沙耶は気合いを入れる。

 「みんな、独断専行しちゃダメ。とりあえずサンドイッチでも作りましょ」

と美里がその場をまとめた。



 石橋美里はキャリアウーマン。まだまだ若いが企画部のリーダー的存在で部下を多数抱え、若くしてすでに役職も持っていた。人をまとめるのは大得意で会社の上司からも一目置かれるほどであった。


 このゲームの参加はお金目的などではなく、たまった有給を消化する時に行く場所がない為、暇つぶし程度に思って参加した。



 「それにしてもすごい量の食材ね」

と沙耶は驚かずにはいられなかった。こんな大人数が、1ヶ月は困らないほどの食材がずらりと揃っていたのだから。

 女子たちはそれらを分担し、サンドイッチは完成した。

 「これ……食べきれる?」

 「ちょっと作りすぎちゃったかも」

 「…大丈夫よ、男たちが食べるでしょ」

 テーブルに並ぶ頃に、男たちは起きてきた。

 「七瀬さん遅いね」

 「先に頂きますか」

 「そうそう、そのうち起きてくるでしょ」

という流れで朝食は始まった。

 「わっうっまーいッ」

と荒木はバクバク食べる。

 「うむ、酒によく合う」

と平一は酒の肴にしていた。

 サンドイッチはみるみるうちに減っていき、とうとう残り少なくなってきた。

 「荒木さん、七瀬さんの分も残しておいてください」

 「そうよ、無くなったら可哀想でしょ?」

と織花と唯がいさめたが、

 「へっへー食ったもん勝ちだもんねー」

と聞く耳を持たなかった。

 「もう!じゃあこれは先に確保しておきます!」

と織花は荒木が食べるより早く集めだした。「じゃあ私も」と唯も加勢に入った。



 そして午後12時半。みんなからだいぶ遅れて魅夜はやってきた。

 頭には寝癖がついており、まだ寝ぼけ眼。

 「子供みたーい」

と沙耶は笑った。

 織花は少しソワソワしていた。後ろに隠しているサンドイッチ、どうやって渡しに行こうかと。

 しかしそんな事とは知らない魅夜はまたしてもカップラーメンを取り出した。それを見て織花はもう行くしかなかった。

 まだ残ってますから、と魅夜に差し出すととても喜んでいるようだった。

 「それ、残ってたんじゃなくて残しておいてくれたのよ」

と美里が言った。


 集め終わった後美里が、

 「それどっちが渡すの?」

と聞いてきた。かなり意地悪な質問で、別に2人で渡しに行けば良いのにその質問の仕方のせいで、何故かどっちかしか渡せない雰囲気にった。

 目が合う2人。これが勝負の始まりの合図だった。


 じゃん、けん、ぽん!!あっち向いてホイ!!じゃん、けん、ぽん!!あっち向いてホイ!!


 突然始まったあっち向いてホイ。誰もが、

 (なぜ普通にじゃんけんじゃダメなんだろう)

と思ったがせっかくの勝負に水を指す訳にも行かず、結局そのまま見守る事にした。

 こうして勝利した織花が渡すことになったのだが、2人の因縁は、ここから始まった。

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