第31話 国の本当の姿、それは奴隷制度

 俺様達は勇者山中の案内で、地下街への道を歩いている。

 ここまで到達するのに、厳重にカギを掛けられた扉を5個ほど破壊した。

 それを破壊する事に成功したのは勇者山中のお陰であった。


「やはりおめーは只者ではないな」

「いたって普通の唯の勇者だよ」

「いやオレはそうは思わないぞ、君からすごいオーラを感じる」

「それはわしもじゃ」


 冥王と玄武が勇者山中を褒めちぎる中、 

 7名の美少女達が文句を垂れている。


「何ですのよまったく地下街の奴隷達を解放したら温泉なるものに入りたいのですわ」

「はわわあわ、とてもじゃないけどここにいたら髪の毛がぱさぱさに」


 傲慢のルシュフと嫉妬のレイディーが文句を言っているが、

 俺様は困りはてて、


「出来れば温泉に入ろうな」


「やったのですわ」

「やたやた」


 2人が喜ぶ中、 

 僕の背中にいるベリーが声を出す。


「むにゃ、国王の手の者がやってくるよ、それも5名で、当たり前だけど勇者の顔はばれてるよ」


「勇者よ僕達の後ろに隠れろ」


「いや、無理だ。こんな所に美女が7人もいたら、問答無用で奴隷にしてくる」


「ちょ、なら」


「もうめんどいのですわ、こういう時は力仕事と相場は決まっておりますわよ、御姉さまとしてお手本をお見せしましょう」


 曲がり角から5名の男性達が出てくると、

 

 ゴーナ姉さんはグーパンチで国王の手の者をノックアウトする。

 壁にバウンドしてめり込んでいる姿はあまりにも恐ろしく。


「え、ふざ……」


 文句を全て言う前に、

 ゴーナ姉さんの華麗なる格闘術によって、

 1人また1人と文句を言う前にダウンしている。


 5人とも壁にバウンドして最終的には壁に串刺しになっている訳だが。


「ご、ゴーナ姉さん怖い」


 嫉妬のレイディーが怖がり。


「ゴーナ姉さんの怖さはこんなものじゃない」


 色欲のサキュラも恐ろしそうに見ている。


「問題があったら。このようにして解決しましょう」


【は、はい】


 その場全員が頷き、

 俺様達は軽く談笑しながら、

 ベルフェニックスの力なのか知らないが、

 怠惰のベルには周りの気配を察知する力があるようで、


 それは非常に助かる力だと思った。


 歩き続けながら、1時間くらいが経過した。


 勇者山中もあまり道には詳しくないとの事で、

 勇者山中がこの前ここに来た時の足跡を辿っているとの事、

 彼には足跡が見えるらしく、


 自分の足跡は皆の足跡と確実に違う物なので、

 すぐに識別する事が出来る。


 ようやく辿りついた場所、

 ここはどこかの高山地帯の地下なのだろう、

 巨大な空間に巨大な鉱山がそびえていた。


「この鉱山は土の中に鉱山があったんだよ」

「つまり穴を掘ってこの鉱山を採掘していたら、山の地下街が出来て、それで天井を何かの魔法で蓋をしたと」

「その通り、そうでもしないと魔王軍にバレるそうで」


「なるほど、奴隷達は太陽を見ていないのかい?」


「最近奴隷になった奴等は太陽を知っている、けどこの鉱山が出来た時からいた人たちの子供達には太陽は知らない、彼らはずっと太陽を知らずに生きている。彼らに僕は太陽を見せてあげたい」


 俺様はその意見にすごく涙を流した。

 こいつは1人の人間として立派に近い。

 そして彼からは裏切りの気配を感じない、

 彼はまっすぐすぎる。仲間に裏切られた俺様にはとても輝かしい物であった。


 俺様は腕を組んで、まだ言い足りないのか色々と呟いている勇者山中に耳を傾けながら、


 辺りを窺う、

 巨大な広間、それは地下街と言うだけあり、沢山の人々が強制的に働かされている。

 鉱山に向かう奴隷とか食事を作る奴隷とか、地下で作れる作物を作る奴隷、衣服を洗濯する奴隷、掃除をする奴隷、沢山の奴隷達がタダで働かされている。


 

 それを監視するミリーシャ王国の兵士達が厳しい視線で彼等を見ている。

 彼らはびくびくしながら、兵士達に呼び止められない事を願って、

 重たい荷物を運ばされて、倒れると鞭が無情にも容赦なく、まだ10歳くらいの少女を捉えていた。


 次の瞬間、 

 俺様の体は正直でそこに跳躍して見せていた。


 しかし、俺様より早く動いた奴がいる、

 そいつは鞭を右手だけで掴み、


 兵士を鋭い視線で睨みつけたのだ。


「ゆ、勇者!?」


 俺様達の感覚は正直だった。

 勇者山中は只者ではなく、引きこもりなんかじゃない、

 最強の勇者だったのだ。


「下種がこの子はまだ10歳だぞ」


 勇者山中が罵ると。


「お、お前は勇者、なぜここにいる」


 兵士は鞭を強く握り絞めている。

 それを問答無用とばかりに鞭ごと空高く放り投げる。

 兵士は鉱山の方角に吹き飛んで行き、

 あちらから悲鳴が上る。


「鉱山奴隷の人に迷惑をかけたかもしれない」

「そこまでは考えなくていいさ、どうやら囲まれたようだ。皆パーティーを始めよう」


 冥王ブランディ―と玄武タートルマウンテンが四方へと散った。

 彼等は僕の意図を組んでくれて、奴隷達を解放する手はずだ。


 七つの大罪のメンバーは兵士達にあっという間に囲まれてしまった。

 兵士達はぐへへとか山賊かよと突っ込みたくなるくらいエロイ視線で彼女達を見ていた。


 だが七つの大罪のメンバー達は誰一人怯えなかった。

 逆ににやにや笑っている。

 

 それに対してぐへへと笑っていた兵士がなんか違くねと気づいたようだ。


 それを俺様は見ていたが、

 七つの大罪達が暴れた瞬間、 

 その場の全員が唖然と口を開く、

 20名くらい居た兵士達が一瞬にして遥か空に吹き飛んだのだから。



「てめーら誰一人も殺すな、ぼこぼこにしろ」


「きゃはっは、とっても楽しいな殺さないで敵を吹き飛ばす、通ですなぁ」


 色欲のサキュラが色気のある衣服をちらつかせてそう呟いた。

 兵士達はどうやら彼女の短すぎるスカートを見て、

 彼女の太ももの上にある女性のゾーンを見ている。

 どうやらパンチラを見る為に必死らしい。


「これだから男とは、性欲に飢えているのね、でもリュウケンなら許すんだからね」


 ツンデレの憤怒のサリィーが槍を構えてパンチラ覗きに必至な兵士数名をぶっ倒す。

 槍で串刺しにして殺害してしまわないように気を付けながらのサリィーの動きであった。


 七つの大罪が沢山の兵士に囲まれる度に空に吹き飛ぶ兵士達を見ながら、

 俺様と勇者を取り囲んだ。兵士数名を見ている俺様と勇者。


「勇者勝負しねーか」

「あまり気が進まないですが」


「どっちが多く倒したかで、仲間になるかを決める」

「いいでしょう、僕が勝利したら友達になってください」


「なら勝負」

「おう」


 俺様と勇者がその地面を蹴った音だった。

 次の瞬間、集まりまくっている兵士達が次から次へと吹き飛んで行った。 

 勇者と俺様の姿を見た者はきっといないだろう、

 高速で暴走しているのだから。

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