第30話 事情を語る
国王の話はまるで物語を聞いているようだった。
魔王を倒す為に、勇者を召喚した。しかしその勇者は戦う事が大嫌いだった。
正し彼にはすごい武術の才能があったのだ。しかし彼はお菓子作りばかりをするようになった。
当時この国では美味しい食べ物がないので、民衆たちは毎日お酒ばかりだった。
しかし引きこもり勇者のお陰で、ドーナツやマカロンやポテチなるものを作ってくれた。
ポテチはジャガイモで作る事が出来、大量生産が可能となった。
マカロンは作り方はいまいちわからないが、大量に作る事が可能だった。
そして一番の目玉はドーナツであった。
ドーナツにはシンプルな輪っかの物もあれば、
複雑な物まである。
中にクリームと呼ばれる液体を入れたり、
小豆から作る餡子と言う餡も激うまであった。
引きこもり勇者は別な意味で人々を救った。
しかし魔王達は少しずつ勢力を増やしている。
着々と軍事力を上げている魔王達、
引きこもり勇者は戦う気はない、
なのでもし魔王軍が攻めて着たら、ミリーシャ王国は滅びるしかなかった。
魔王はとても厳重な奴で、これで止めが刺せると確信しなければ攻めてこない、
その事から【パーフェクト魔王】と呼ばれている。
パーフェクト魔王はここから馬で2日程進んだ山奥にいるとされ、
密偵からの監視状況では、まだ軍事力を増殖させるつもりのようだ。
既に100億はくだらないそうで、ミリーシャ王国軍は2万なのに、どこまで計画を練りまくるのかとミルフォード国王は突っ込みたいそうだ。
「なるほどなぁ」
「そうじゃ、これは非常に困った事で」
「たぶんだけど引きこもり勇者が戦うと言っても無理だと思うよ」
「なぜじゃ、勇者とは1兆も片手で倒すと」
「それ迷信だと思うけど」
「まぁそんな気はしていた。あのパーフェクト魔王はこちらを笑わせないでねじり潰すつもりじゃ、そんな時、ランク外冒険者が3名もいると聞いた」
「僕と冥王と玄武だね」
「どうかわしたちを助けてくれ」
彼らの名前は鑑定を使うまでもなく把握してるけど、
国王の名前がミルフォード国王、妃の名前をナナリア妃、皇太子の名前がジスフォード、
皇女がケイリア、第二皇女がネネリア。彼らは頭を下げている。
王族がランク外冒険者に頭を下げるのは異例中の異例で、
近くにいた老人がセバスデンで大将軍だ。ちなみに現在僕はどさくさに紛れて鑑定眼鏡を付けています。付けてなくても名前くらいは見えるが、
付けた方がより正確な情報を引き出せる。
なぜそのような事をするかというと。
僕は一度人間に騙されている。
ので人間を信用しない可哀そうな男になりました。
セバスデンの両隣には華麗なる花とばかりにジルとデイと呼ばれる美女騎士がいる。
あわわと慌てているおっさんがリンクルで政務官だ。
いつの間にこんなに人が集まっているのだ。
そしてここには引きこもり勇者はいないのだ。
「いいけど、条件がある」
「そ、それは何を? ま、まさかわしの体を」
「誰がおっさんの体が欲しいんだよ、僕は変態なのか?」
「ま、まさか」
「そっちはおばさんだろうが、引きこもり勇者と合わせてくれ、1対1でいいからさ、みんなにはここで待機してもらって」
「そういう事なら、おのれが案内しましょう」
そう申し出てくれたのはイケメンで鑑定した時に攻撃系のスキルを沢山覚えていたので、結構な強さだと思われる。ジスフォード皇太子が僕の前を歩く、
ジスフォード皇太子の後を付いて行く。
城の中は相変わらず迷路みたいであった。
「なるべくはぐれないようにしてください、ここで迷って死んでしまった人がいるくらいですから」
「それは恐ろしい城ですね」
「おのれもそう思います」
15分程歩くと、そこに到達した。
そこは塔の最上階であり、
部屋はまぁまぁ広い、
ベッドには1人の少年が窓をじっと見ている。
「1対1で頼む」
「会話が終わり次第、外で待っておりますので、玉座に案内いたします」
彼を鑑定眼鏡で鑑定すると、
すごい事に僕のレベル12000でさえスキルとかステータスを鑑定する事は出来なかった。
ある意味すごいと感じつつも、名前だけは分かった。
見たこともない文字で表示されている事から、彼が異世界からやって着たのだという事が明白でもあった。
山中正という文字がどういう意味なのか。
「ヤマナカタダシだよろしく、そんなに鑑定しまくらなくても自己紹介するよ」
「それは済まない、僕は」
「リュウケンだろう、レベルが12000で化け物達の仲間がいる」
「どこで鑑定した? ヤマナカ殿はこちらを見ていないが」
「この窓から見た。僕は遥かな距離でも鑑定出来るんだ」
「それは凄い事です」
「僕はすごく暇が大好き、何もしない事がとても生きている気がするんだ。現世でも引きこもりだったしね、だけど僕は元々」
「もともと?」
「いや、聞かないでくれ」
「君は恐らく僕と同じくらい強いのだろう」
「そうだね、僕は引きこもり勇者と呼ばれているけど、それなりだよ、レベルは10000を超える事はしないけど、君の鑑定をガードするくらいは出来る」
「強さとは適材適所というが、お主の力は見えない、だけど弱いとは思えない」
「僕はモンスターだからと言って殺していい世界を信じないしモンスターは生きるべきだ。人間こそ滅びるべきだ」
「なぜそう思う」
「僕の世界では沢山の動物が絶滅していっている。人は人の事を押しのける。助け合いの精神はあるけど、結局は自分が大事、今僕の世界は人間達の手で自滅しようとしている」
「だから君のような世界がこの世界でも成り立つから?」
「そうさ、この世界はきっと文明が発達すると僕の世界と同じ事になる」
「なぜそうだと決めつける?」
「貴族だ。この国には奴隷がいる。沢山の奴隷が隠れている。皆から見たら素晴らしい王国で、素晴らしい国王だと思う、だけど奴隷が地下街に隠れている。地下でひどい事をさせられている。僕は御菓子で人々を助ける」
「なら君は御菓子で人を助ければいいだろう、僕はその奴隷を全て解放してくる。そして君は御菓子を提供すればいいのだ」
「どういう事だ? 君たちは魔王を滅ぼす為に」
「ふ、僕達はランク外冒険者だ。魔王を倒すのは勇者の仕事であり僕達は勇者じゃない」
「ならなんなんだ?」
「化け物集団それが僕達さ」
僕はにかりと笑って、その少年に背を向けようとする。
すると彼はこちらを見ていた。
彼の瞳はまっすぐな瞳をしていた。
とても綺麗な瞳だった。
黒色で、髪の毛も真っ黒で、
肌は白くて、あまり外に出歩かないタイプだ。
「力を貸す。奴隷を解放するなら、あの子を」
「ふ、勇者の力とくと見せてくれ」
扉を開けると、こちらの話は聞こえなったようでジスフォード皇太子がいた。
そして彼は僕の後ろを見て驚愕している。
「僕も玉座に連れて行け」
「勇者様、ついに立ち上がるのですね」
「そうだ。君たちにとって本当に得かは知らない」
「どういう意味かは知らないが引きこもりから出てくれるだけで嬉しい」
そしてジスフォード皇太子の案内の元、
僕達は玉座に戻り、
冥王と玄武が珍しそうに僕の隣を歩く勇者を見ている。
七つの大罪のメンバーは僕にしか興味がなくて、
ずっと僕をじっと見ている。
「では魔王を倒しに行きます」
「どうか、どうか、よろしく頼むぞ、勇者もよろしく頼む」
まさか僕達が地下街を襲撃して奴隷たちを解放させる為に動くなんて、
この場の誰1人、勇者以外知る由もないだろう、
僕は心の中で俺様モードになって、げらげら笑ってやった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます