第8話 エピローグ

「潮風が気持ちいいね、お父さん」


「ああ、そうだな。今日は気分がとてもいいよ亜里沙」


「あなた、お茶淹れたわ。テラスの方に持って行きましょうか?」


「すまんな良美。頼むよ」


「はいどうぞ」


妻の良美がテーブルにそっとティーカップを置いた。


ほのかにカップから湯気が立ち上がる。


その湯気を見ながら、俺はあの日、亜里沙が消えていった光景を思い出していた。


「今日もいい一日でしたね、あなた」


「うん、本当に平和な日々だ」


車いすに座り弱り切った体に潮風がまとわりつく。


「亜里沙、研究の方は順調なのか?」


「ええ、まあまあってとこかしら。それより私たちが送り込んだロイドちゃんと役目を果たしてくれているのかしら」


「ああ、たぶん大丈夫だろう。今これだけ平和な日々を過ごせているのだから」


「それならいいんだけど、でも私も会ってみたかったなぁ。若い頃のお父さんとお母さんに」


「ふっ、今と何も変わらんよ」


「ホントかなぁ」


「ああ本当だ。それよりもロイド新法案が設立され、バイオロイドが人間と共存できる社会が生まれたことの方が重要性が高いよ」


「そうね。あの時亜里沙のロイドが私たちの前に現れなかったら、今のこの平和な世界はなかったかもしれないわね」


「そっかぁ、今この幸せな時間を過ごせるっていう事は、ちゃんとお父さんが送ったロイドは役目を果たしたという事なんだね」


「だから今お前が俺たちの前にいるんだよ。亜里沙」



ああ、だからもう……。亜里沙からはさよならは言わせない。



 int main(void) {Execution instruction

 Delete for ID


 WX00000000xxARISA For into resuscitation ID {xgh1xxxxxxxxxxxx}};

 return ;


 Delete Completion

 Delete Completion ……;……;……;

 int main(void)  For into resuscitation ID {WX00000000xxARISA};


 Resuscitation ID xgh1xxxxxxxxxxxx;

 Resuscitation ID xgh1xxxxxxxxxxxx……;……;

 

 Closing end;

 /*Iris, Cronos, Ouranos All server units*/


これで俺の人生のすべてが完結する。


さようなら……俺の心の中の亜里沙へ。

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時を超えやって来たアンドロイドは俺の初恋の人だった。 さかき原枝都は(さかきはらえつは) @etukonyan

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