第三十七章 決着夏休みイベント 神災VS---
第438話 最終決戦 最後の舞台に立つ者たち
レッド蓮見が暴れているのを見てエリカがふとっ思いつく。
「ねぇ、ねぇ、紅君。この砲弾入れてもいいかしら?」
「……えっ? あっ、はい、どうぞ」
いつも一人で大暴れしているだけにエリカの問いに少し調子が狂う。
「ありがとう」
「ちなみにそれ何ですか?」
「うん? ただの色付き火薬玉よ?」
「…………」
当然のような返しにレッド蓮見の表情から笑みが消えて行く。
エリカがやろうとしていることとは一体。
そんな疑問が蓮見の脳内で生まれる。
だが、そんな事を考えても答えはすぐにでない。
ただ表面に「危険」と書かれている事から手榴弾の時と同じくエリカ特性の何かだと言う事だけはわかる。
「やっぱり夏と言えば紅君が輝く日だと思うのよね」
「……これ死にませんよね?」
「……えぇ」
「なんですか、今の間は?」
「ふふっ」
それは戦意喪失となったプレイヤーたちの希望の光となるか現在進行形で神災戦隊絶滅危機の蓮見の希望の光となるかはたまた朱音を筆頭としたトッププレイヤー(神災殲滅戦隊)の希望の光となるのか、それとも別の誰かの希望の光となるのか――。
誰の光となるかはやってみなければならない。
ただしその光がきっかけとなって何かが起こることは間違いないように見える。
蓮見の超全力シリーズインフェルノワールドの効力が徐々に弱まりつつある。
本来であれば決め技で使われる超全力シリーズ。
それをその場の勢いだけで使ったのだ。
当然まともに受けた者は天へと帰ったものの、運よく生き残った者は日頃の行いがきっと良いのだろう。つまるところ極寒地獄はともかく灼熱地獄は燃える酸素を失い弱まり始め、それを機に圧力差を利用して生まれた竜巻もその威力を弱め始める。
蓮見を護る盾が弱まり始めた。
だけど弱まり始めたのはそれだけではなかった。
「……ぐはっ!?」
「……すまねぇ、レッドォォォォ!!!」
「うあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「にげろぉーーーー!」
ありとあらゆる方向から叫び声蓮見の耳元へ聞こえてくる。
その声は神災四天王の声である。
流石の神災竜と言えど一対一から一対三までの戦いでは勝てなかったらしい。
分身の最大の欠点は本体とは違いアイテムが使えないこと。
そうなると蓮見の真骨頂である神災の大半が使えなくなる。
仮に使えたとしてもやはり数に限りがあることから勝負を急ぐことになるのだが、相手の手の内を理解した者、それもトッププレイヤー級の実力者を前にそれを行うことは容易なことではない。朱音や美紀たちも神災を正面から受ければ無傷ではいられない。だからこそ、神災――俺様全力シリーズをまず第一に止めようと動いてくる。そこに蓮見の苦手な頭脳戦――駆け引きを加えられたら純粋なプレイヤー技術でも負ける蓮見に打つ手はない。よって神災四天王の運命は目に見えていると言える。
肉を切らせて骨を切る、ように朱音や美紀たちは必要最低限のダメージはやむなしと考え行動してきた。対して神災四天王はアイテムと他の神災竜からのサポートを受けられないことから一度ダメージを受けたら自力でHPを回復する手段を持たない。途中から神災モードになって形成逆転を測るも正真正銘の本気になったトッププレイヤー達の前では時間稼ぎ程度にしかならない。
これが純粋な実力差。
そう認めるしか最早あり得ない。
「はぁ、はぁ、はぁ、意外に強くなったわね、紅」
褒める美紀。
息を整えながら見つめる先にはアイツがいる。
「……凄い。久しぶりに痺れる戦いだったわ、ダーリン」
褒める朱音。
息を整えながら見つめる先にはアイツがいる。
「……うっひょー、これは疲れるねー。一撃でも受けていい攻撃かそうじゃないかを毎回判断しないといけないとは……」
どこか嬉しそうな綾香。
「……はぁ、はぁ、なんとかこれで平和は守られたのかな?」
「だといいわね」
「後は里美さんとお母さんに任せるとしようかな……流石に私疲れちゃった」
「そうね、私もクタクタよ……紅も随分と強くなったわね」
「だね」
「まさか私の爆炎を食べるとは……思いにもよらなかった」
瑠香と七瀬安堵のため息と苦笑い。
その視界の先にはとうぜんアイツがいる。
「……まさか、俺の聖剣が食べられるとは」
対して聖剣というルフランが重宝している武器をペロッと勢い余って丸呑みした神災竜に止めを刺したがルフランはメイン武器そのものを失い苦笑い。
とうぜんその視界の先にはアイツ。
「「「私達の戦いはここからってことね!!!」」」
気合いを入れ直して準備万全の三人。
美紀と朱音と綾香はニコッと微笑み最後の晩餐会へと向かう。
「「「今夜は竜をまるごと一体使った肉料理ってところかしらね」」」
三人の意見が一致。
神災竜こと神災四天王の一人を難なく倒した本気の三人は全身を巡るアドレナリンによっていつもより最高のパフォーマンスを可能にしていた。
そんな三人に蓮見が銃口を向ける。
「あれ? 俺様戦隊壊滅してんじゃん!? まぁいいや、ほな行くぜレッツパーティータイム!」
瞬間、蓮見の武装が三人に向かって火を噴いた。
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