第386話 【異次元の神災者】VSトッププレイヤー 激突


 三人固まっていては動きづらいと考えたレッド、ブルー、イエロー蓮見はそれぞれが援護できる距離を保ちながら大きな羽で空へと散開しながらも同じく空へと飛んできた者達に向かって突撃していく。一般的なプレイヤーは全員蓮見のように人間を止めるのではなく、飛行スキルもしくは背中に装着するブースター(形状・種類多数)を装着している。それは装備品の一つで新しく作られたツリーの装備一覧で装着したブースターの出力や加速力、後は飛行持続可能時間(燃料は別売り。車でいうガソリン)をある程度プレイヤーが各々にあった調整できるように設計されている。当然、蓮見には関係のない話しではあるが。


 全身砲弾となった蓮見を見てトッププレイヤー達も瞬時に散開し狙いやすい相手へと標的を決めて行く。


「さて、お手並み拝見といこうかぁ!」


 元気よく叫ぶレッド蓮見は鋭い爪を前へと伸ばし、美紀を倒しにかかる。

 こうなった以上、とにかくやるしかない。

 頭を使って勝てないなら、本能(欲望)でそれを補うしかない。

 鋭い爪が空を切り裂き、長い尻尾を振り回して朱音と七瀬へと向けるも躱されてしまう。


「甘いわよ、ダーリン」


「遅い、遅い、そんなんじゃ私は捕まらないよ!」


 どうやらレッド蓮見を狙うのは、美紀、七瀬、朱音、そしていつの間にか背後へと回っていた瑠香。深紅の美ギルドメンバーから狙われるリーダー。そのリーダーの補填役として朱音。お灸をすえるには十分すぎるメンバー。

 続いてブルー蓮見を狙うはギルド最強とされる【ラグナロク】のギルド長とその幹部葉子、そして大型ギルドの中でもかなり力を持つギルド【灰燼の焔】のギルド長と同じくその幹部――リュークとスイレン。

 最後にイエロー蓮見を狙うはある意味闘争心片想い一方通行の綾香と【ラグナロク】ギルドに劣るとも勝らない【雷撃の閃光】ギルドリーダーソフィ。

 レッドだけでない。

 強敵が相手なのはブルーもイエローも同じである。

 だけど神災戦隊はそんな強敵相手に全力で立ち向かう。


「捉えた! スキル『水龍』! 紅さんを捕まえて!」


「甘いぜ! スキル『アイアンテール』!」


 背後から飛んでくる瑠香と水龍に蓮見は尻尾を勢いよくぶん回す。

 瑠香には躱されたが水龍には直撃し、顔面ヒットによるテクニカルヒットで反撃。

 そのまま水龍は水となり消えて行く。

 だが瑠香のレイピアが届く範囲まで距離を詰められたと蓮見が認識する時にはもう遅く「スキル『乱れ突き』!」と、声と一緒にレイピアが蓮見の身体を貫いていく。


 ――グハッ。


 痛みに堪え、手を伸ばし捕まえようとするが、


「スキル『加速』!」


 攻撃が終わると同時にすぐ逃げられてしまう。


「……チッ」


 今度は下から聞こえてくる声。


「スキル『ダブルサンダーブレイク』『水手裏剣』からの『焔:炎帝の怒り』!」


 七瀬の声だと気付いた時には下から手が伸びてくるように雷がバチバチと音を鳴らし両サイドへと周り込み、五枚の水で出来た手裏剣が真っ直ぐに飛んでくる。なにより恐ろしいのは水手裏剣に護られるようにして飛んでくる燃え盛る炎。これではスキルによる迎撃は難しい。もしするなら水手裏剣をどうにかしないことには燃え盛る炎を消す事は出来なさそうだ。


「おいおい、マジかよ!?」


 だが、そんなことに驚いている場合ではない。

 この間にも向けられた攻撃は蓮見との距離を縮めていることから、早く何とかしなければマズいことになる。


「下ばっかりに目を向けてて大丈夫? スキル『巨大化』! からの『デスボルグ』!」


 まるで化物状態の大きさに合わせるようにして槍を巨大化させた美紀。

 その目はとても楽しそう。

 まるで、何かを期待した眼差しと共に向けられた黒味のある白いエフェクトを纏った巨大な槍は蓮見の心臓を貫くため一直線に頭上から降ってくる。

 嫌な予感がした蓮見が視線を周囲に飛ばす。

 ブルーとイエローは既に劣勢へと追い込まれており、助けを求めても意味がないだろう。そして、その時にチラッと見えた朱音は次の蓮見の動きを見てから動こうと構えていた。

 一の矢を何とかしても二の矢も何とかしなければならない。

 だけど二の矢を何とかする頃には次の攻撃準備を終えた一の矢が三の矢となり攻撃をしてくるかもしれない。


 そこで蓮見は――。

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