第382話 神災戦隊最大の敵集結!
蛙の子は蛙とよく言うが神災の分身は神災なのかもしれない。
だが神災を阻止しようと勇気ある者達がこの世界にはいる。
例えばそれはどんなに恐ろしい神災を目の前にしても目をキラキラさせて神災者を倒そうとする少女。例えばそれは最強の名を持ちながらもまだ強くなりたいと思っている少年。例えばそれは娘の心配から始めたゲームでも圧倒的な実力で敵を倒す人妻。例えばそれはお母さんをも恋敵として見る姉妹だったりとこの世界は希望に溢れている。
ただしそれでも神災者を本当の意味で止めれた者は――未だ存在しない。
それは神災者が進化する速度が速すぎて誰も対応できていないから。
果たして今回はどうなるのか――。
近づいてくる強敵の存在にまだ気付かない神災者――蓮見はある事を思い付く。
「ちょっと提案なんだが、俺達三人で別々の城に行きそこにいるプレイヤーを倒すというのはどうだろう?」
「一ヶ所に固まってたら逆に狙われる」
「なにより工場は俺達では攻略が難しい。ならば、と工場に比べれば攻略が簡単な城。それなら倒される心配も少ない。と言うわけだな?」
「あぁ、どうだろうか。二人共?」
レッド蓮見の提案にブルーとイエローが相談を始める。
その様子を静かに見守るレッド蓮見。
「いいと思う」
「俺も賛成だ」
「良し! なら決まりだな。後はどの方角に散るかだな」
「あまり近すぎてもあれだけど遠すぎてもいざという時困るだろうしここはレッドの判断に任せる」
「俺もレッドにそこの判断は任せる。どうするレッド?」
ブルーとイエロー蓮見の質問に蓮見が再び空っぽの頭を使い考える。
例えば北と南と西のように全ての方角に散開すれば同時に負けるという可能性は比較的に低くなるだろう。だけどそれは完全に孤立を意味する。道中もし実力者や強い敵と対峙するような場面に陥れば一人では対応できる手が限られてくる。それはレッド蓮見以上にアイテムの補助が一切ないブルーとイエローの首を絞めることと同意義。ならば近くにいればと思うかもしれないがそれはそれでイエロー蓮見が言う通り同時に狙われ同時に負けてしまう可能性があると言うわけだ。幾らお互いに助け合うことができても上位二パーセントに入っている以上、同じ目的意識の者が徒党を組み襲ってくる可能性も否定できない。だからこそレッド蓮見は悩んだ。どっちを選んだ方が良いのか、それを判断するのが難しい。
「もし俺が敵ならどっちの方が厄介だろうか……ん~」
仮にブルーとイエロー蓮見ならば倒されてもマイナスにはならない。
ただ神災戦隊の構成員が一人になるだけで直接的にはマイナスにはならない。
だけど問題はその後にやってくる。
恐らくブルーとイエロー蓮見を倒した敵は倒したのに倒した事にならないことから本体である蓮見をどのみち狙いにくるだろう。そう考えると最後は敵が合流するかもしれない。
「こう考えると……俺だいぶ……死亡フラグしかないような……」
少ない情報からようやく自身が置かれている状況を理解し始めた蓮見は考える事を止めて、直感に全てを任せることにする。
ここで下手に考えても嫌な予感しかしないのであれば、そこから目を逸らして気付いていない振りをして最後の最後まで悔いが残らないように戦った方が賢明だと判断したからだ。
「ならブルーとイエローは俺と同じ方向に行く。ただし死んだときに俺に力を与えられるギリギリの場所で戦うこと。それから俺が天地創造(正式名称:天地創造の一撃)をしたいと思った時は全力でフォローを頼むかもしれない。とりあえずそんな感じでいいか?」
「別にいいけど……天地創造の一撃? って」
「特別イベントステージ破壊でもするの?」
レッド蓮見から詳細を聞いてないブルーとイエロー蓮見は首を傾けた。
分身ですら知らない、予想がつかない、一撃は一体どんなものなのか今のうちに情報共有をしておいた方がいいだろう。
でないと、上手く協力を得られなかったり、下手したらレッドがブルーとイエローを巻き込んでしまうかもしれないと最悪の展開に発展するかもしれないからだ。
そんなことでレッド蓮見は俺様超全力シリーズ(大本命)天地創造の一撃について説明を始めた。
「まず天地創造の一撃とは――――である。だけど今は燃料不足で使えないが、条件さえ整えば――――が揃い超新星爆発を超える速度で全てが大爆発するってわけだ!」
「「おぉぉぉぉぉぉぉ!!!! すげぇーーーー!!!」」
「ってわけで城を丸ごと利用する為にも俺も城に行こうと考えた。そんな感じだけど、理解出来た?」
「「あぁ!」」
コクりと頷いたブルーとイエローを見てレッドが頷く。
「なら行くか」
「おう、そうだ――ッ!?」
「どうした? ぶr――ッ!?」
「「マズイ! 里美とお母さんがこっちに向かって物凄い勢いで近づいてくるぞ!」」
その言葉に蓮見が「えっ!?」と言葉を漏らしながら二人が見て居る方向に視線を向ければ確かに獲物を見つけたような目をした美紀と朱音が黒い大地を駆けていた。気持ち南方面からの美紀と気持ち西方面からの朱音の来襲。三人の直感がこの後の未来を悟る。
「まずい……あの二人は特に敵に回したらダメなじんぶっ――えっ!?」
さらに南東方面から事あるごとに命を狙ってくる綾香とソフィ、北東方面からはリュークとスイレン、さらには北西からは七瀬と瑠香が「お母さんに手を出した罪、ここで償わせてあげるわ♪」となにかよからぬことを言いながら近づいてくるではないか。
「な、なんで!? いつもいつも俺ばっかり同時に狙われるんだよ!? と、とにかく逃げるぞお前達!」
先ほどまで多くの命を狩っていた三体の化物が大きな羽を羽ばたかせて一斉に空へ上がり全力で北にあるスカイがいた城へと向かって飛び立った。
自分が起こした行動が自らの首を絞め、自らの寿命すら縮めていることに未だに気付かない蓮見はとにかく全力で逃げる。
それを見て様々な方向から最後の戦いをしようとしていた者達が一斉に方向を変え逃げる化物を追走。
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