第298話 【深紅の美】VS【ラグナロク】 1
沢山の足音と一緒に聞こえてくる音がもう一つ。
その音とは蓮見にとっては聞き覚えのある音でもあった。
「私達が狙われる理由って……」
茂みの奥から薄っすらと見えてくる防具。
それは統一されており、その姿を目にした者達の多くは逆らう事を躊躇う存在でもあった。
「あれ……何人ぐらいいるんだろう……?」
「ザッと五十人はいそうね」
瑠香の質問に答える美紀。
すると、吸い込まれるようにして女四人の視線が蓮見に向けれる。
「心当たりは?」
「ん?」
急な質問に首を傾けながら、
「いや、ないけど?」
と答える蓮見。
蓮見には狙われる心当たりは全くない。
直後四人が大きなため息をついた。
「「「「……はぁ~」」」」
全員頭に手を当て一度「やれやれ」と小言を呟いてから気合いを入れ直す。
その間一人理解が追いついていない蓮見だけが一人取り残された。
「まぁ、いいわ。とにかく戦って勝つ。そして奥に進む。皆いいわね?」
美紀の一言に頷くメンバー達。
「えぇ、もちろん!」
「私達だってやればできるんだから!」
「ここからが本当の勝負です!」
気合い十分のエリカ、七瀬、瑠香に続き、
「良し、俺も頑張るか!」
とこちらも気合い十分の蓮見。
「行くわよ!」
美紀の声を合図に五人が立ち向かうは葉子の指示を受け、【神眼の神災】率いる【深紅の美】ギルドを捜索していた偵察隊。
五人の戦闘態勢を確認したラグナロク偵察隊もそれぞれが武器を手に取り立ち向かう。
この瞬間、上空には近くにいる仲間に合図を送る光が放たれることとなった。
「全員突撃ー!!! 葉子様が来られるまで全員で【神眼の神災】を足止めしろ!!!」
大柄な男が叫ぶと、「「「「「おぉーーーー!!!」」」」」とそれに呼応するようにして別の声が木霊した。
こうして早くも【深紅の美】ギルドはギルド最強とも呼ばれる【ラグナロク】ギルドと衝突する事になった。
先陣を行くのは美紀と瑠香の前衛ツートップ。
その実力は確かな者で二人共トッププレイヤーと世間的に呼ばれており他の追随を許さない実力を持っている。
「スキル『アクセル』!」
槍の連続攻撃をより速くするため、移動速度を上げる美紀。
それに付いてくるようにして瑠香。
「スキル『加速』!」
槍と同じく目にも止まらない速さでレイピアが空を切り裂く。
「落ち着け! 連携を取れば行けるはずだ!」
「はい! スキル『アクセル』!」
大柄な男の指示を受けたラグナロクメンバー達がアイコンタクトのみで連携を取り、美紀の槍を側面を弾くようにして持っている短剣で捌いていく。
「……チッ」
思わず舌打ちをする美紀。
やはり一筋縄ではいなかい、そう思った。
「スキル『パワーアタック』『連撃』!」
さらに、一呼吸おいて連続で、
「スキル『ライトニング』『連撃の舞』」
のMP調整をしながらの高打点攻撃の連続。
「しまった……!?」
「回復は任せろ! スキル『回復魔法(ヒール)!」
しかしラグナロクメンバーに与えたダメージは間髪入れずにすぐ回復される。
通常攻撃を続けながら周囲に視線を飛ばし、それぞれの配置を確認していく美紀。
すると、前衛部隊とは別に後衛部隊が前衛部隊のサポート(補助)をしている事に気付いた。
「うちのじゃじゃ馬よりしっかり周り見て援護職してる……」
つい、口から漏れた言葉。
「流石ギルド最強と呼ばれる【ラグナロク】。メンバーの教育もしっかりしてるわね」
率直な感想を口から漏らしながらも美紀の手は自由自在に動き、数で押されていても攻撃を中心に行い戦闘のペースを握っていた。
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