第160話 違和感
蓮見が膝から地面に崩れ落ちた音と蓮見のHPゲージがレッドゾーンに突入した事で【深紅の美】ギルドメンバーに大きな動揺が生まれる。
特にエリカに限っては表情を見れば一目瞭然。
七瀬と瑠香の表情も戸惑いを隠し切れてはいない。
「スキル『導きの盾』!」
蓮見を護るようにして七瀬が障壁を展開する。
ギルドメンバーの大きな隙。
だけど綾香とソフィは敢えて追撃をせず、こちらも陣形を立て直すと言わんばかりに慎重に警戒しながら仲間の元へと戻っていく。
そしてすれ違うようにして美紀が蓮見の元へと合流する。
正直に言ってかなり厳しい状況。だけど敵が警戒し、仲間が心配し不安そうに蓮見を見る。だけどその瞳は全員が何かを思っているように不安だけではなかった。
「なにあれ……?」
「わからない。だけどあれが紅の本気なのかもしれない」
「水色のオーラはとりあえず置いておくとして確か自動発動系統のスキルを沢山持っている神眼が生きているって事が一番の問題だな」
「そうね。でもやっぱり私の期待以上だ。あははは!!!」
突然笑い始める綾香。
そして。
「いててて……。面白れぇ! ここからが俺のパーティーTime! つまりは全力だ!」
と豪語しクスクスと笑い始める蓮見。
二人が楽しそうに笑い始めたと思った瞬間――。
両者が動いた。
「スキル『アクセル』!」
スキルで動きが速くなった綾香に蓮見が遅れずについて行く。
「スキル『水手裏剣』!」
蓮見との間合いを強引に潰し攻撃しようとする綾香の動きを先読みして七瀬がスキルを使いすぐに援護する。
そこに瑠香が突撃して綾香に回避行動を取らせて蓮見が矢を放つまでの時間を作る。
そして綾香を援護しようとしている部隊に向かってエリカが閃光弾を投げて相手の視界を潰す事でそれを封じる。
「スキル『パワーアタック』『烈風』!」
綾香は自身を中心として竜巻を起こし蓮見が放った矢の軌道を強引に変え、蓮見と瑠香の動きを制限する。
その間に小柄で身軽な身体と風を利用して蓮見に近づく綾香。
綾香はソフィが美紀に苦戦していると見て、お遊び抜きで本気で今度こそ蓮見の首を取る為に意識を集中させて一撃を決めにいった。
本気となった綾香の集中力は凄く、いつもの自分が見ている世界の時の流れと今自分が見ている世界の時の流れでは倍以上に違って遅く見えた。
「これで決める。スキル『連撃』!」
蓮見の元には行かせまいと瑠香が動こうとするが、これは視界が回復したこちらの魔法使いの魔法によって阻止される。
これで邪魔する者はもういない。
そう確信したその時だった。
――待って。
――この状況でなんで笑っているの?
綾香が違和感を感じた。
「……行けるか? いや行ける! スキル『迷いの霧』『虚像の発火』!」
蓮見の声が聞こえた。
スキル『連撃』が発動する直前で毒の霧が綾香の視界から蓮見を隠した。
双剣が空を切る感覚。
「スキル『烈風』!」
再度竜巻を起こり毒の霧が晴れるがそこに蓮見はいなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます