第48話 巫女装束の少女からの挑戦状


 腰下まである長くて黒い髪に、スレンダーな肉体、だが服装は巫女装束と一見違和感しかない。

 もっと言えばプレイヤーですらない、外見は人間に似ているがよく見れば機械で出来ていた。右手には弓、腰には矢がある。


『私は機械少女の森を管轄する小百合さゆりと申します。退きなさい。これ以上この森の奥へと進むと言うのであれば貴方達を排除しなければなりません。私を倒せば私が今までプレイヤーを倒して手に入れたポイントを全て差し上げます。ただし負ければ二割頂きます。制限時間は二十分。勝敗がつかなかった場合は私に与えたダメージ量に応じたポイントを差し上げますがどうしますか?」

 少女は落ち着いた口調で呟いた。


 蓮見と美紀がお互いの顔を見て、どうするか悩んでいるとパネルが出現する。


『第二回特別任務 


 機械少女の挑戦を受託しますか? YES/NO


 ※現在獲得可能ポイント 24500ポイント   初期ポイント 10000ポイント』


 24500ポイントと言う事は少なくとも14500ポイント分のポイントをプレイヤーが負けて彼女に取られたという事になる。恐らく運営がイベントを盛り上げる為に用意した特別な場所の一つは『ココ』の事だろう。ただし普通のモンスターと違ってプレイヤーに勝負するかしないかの選択権を与えている。このことからかなり強めに設定されているのだと推測できる。


「なぁちょっといいか?」

「なに?」


 ついニヤケてしまう蓮見。

 最近強い相手と戦うたびに自分が強くなっていると実感できる事で蓮見はそこに喜びを覚えていたのだ。美紀を含め周りから見れば、強くなったと言うよりかはPS(プレイヤースキル)はそんなに変わっていないが変な戦い方にキレが増して来たと言うのが率直な感想だった……。

「やっぱり俺スキルより、アイツと最後戦ってみたい。見た感じ同じ弓使いだし……なんかこぉ~心の奥がワクワクするんだよな」


 里美の目もキラキラしており、何かを期待しているようだった。

「いいと思う。紅がそれでいいなら付き合う。正直に言うなら私も強い相手と戦えると思うとワクワクするから!」


「やっぱり里美は最高のパートナーだなぁ! なら行くぜ~!」

「うん! なんだって幼馴染よ。気が合って当然よ!!!」


 二人の指が同時にパネルの『YES』という文字を押す。

 すると、周囲に緑色の結界が出現する。

 どうやら外部からの支援と攻撃を遮るものらしい。それと。


「逃げ道を塞いだのか……」


「みたいね」


「燃えてきた!」

 三人が一斉に構える。すると空中に数字が出現しカウントダウンが始まる。

 小百合はLv.35で今までのボスのHPゲージと比べると二倍近くあった。

 正式名称は『小百合[プロトタイプ]』らしい。


 数字のカウントがゼロになり、いざ戦闘開始。


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