第19話 頬を染める美紀
――――
――――30分後。
「お待たせ~できたわよ」
「ありがとうございます」
「今度はちゃんとココにいたのね。偉いぞ紅君」
そう言って新しく出来た矢を渡すエリカ。
矢と一緒にポーション10個を受け取ると光の粒子になってすぐに消える。
驚く蓮見。
「えっ!?」
「大丈夫。紅君スキル『矢の自動生成』を持ってるでしょ。だから意識をスイッチにすることで自動的に矢の種類を変えれるようになってるの。ポーションはアイテムBOXにあるから必要な時に取り出して使えるわ」
「ちなみに今回は何属性の矢にしたの?」
「毒よ。それも今の私が扱える高クラスの毒。これなら精霊相手でも十分戦えるからね。ちなみに見た目は【深紅の矢】と同じで本人の意識で戦闘中でも自動切換えできるようにしているわ」
「それ大丈夫なの? そこまでしたら結構なお金必要でしょ? ざっと90万ゴールドくらい?」
「うん。でもここだけの話し、紅君が私の所で装備を作ってくれてから売り上げが急激に増えたの。と言っても殆どがオーダーメイド注文でお客さん自体は見ての通りあまりいないけど……」
「なんで私より影響力あるのよ。普通に考えて可笑しいでしょ!」
突然話しを振られた蓮見が戸惑う。
「えっ? 俺?」
「まぁまぁ落ち着いて里美。戦場で歌を歌ってkillヒットを連発するプレイヤー。かと思いきや山火事を起こしたり、戦場で踊ったり、宝くじを当てたりと嫌でも目に入るというか気になる子を皆が放置するわけないじゃない。ましてや私の店で装備を整えて更に強くなったとなれば何も不思議じゃないわ。だから足りない素材とお金は私が補って更には紅君に貸しを一つ作った。私頭いいでしょ?」
「そこまで来ると頭がいいと言うか計算高いと言った方が正しいと思うけど……」
「ありがとう。なら私は毒龍でも狩って今日使った素材の補填に行くわ。里美たちは精霊の泉に行くんでしょ?」
「えぇ。なら今度は2日後に行われる大型アップデートの後に会いましょう」
「わかったわ」
「あっ、エリカさん色々とありがとうございます」
立ち上がって丁寧にお辞儀する蓮見。
「全然いいわ。また面白い事してね。私楽しみにしてるから」
「……はぁ。先に言っておきますけど俺いつも真面目ですよ?」
お腹を抱えて楽しいそうに声を出して笑うエリカ。
笑い過ぎて目からうれし涙がこぼれ地面に落ちる。
「あはははは。なら紅君は天然なんだね。もう最高。見てて飽きないわ!!!」
三人がお店を出てOPENと書かれた看板がCLOSEに変わる。
そして蓮見と美紀は精霊の泉、エリカは毒の洞窟にそれぞれ向かって歩き始める。
「なぁ美……じゃなくて里美?」
つい油断しているとVRMMOに完全に慣れていない蓮見は本名を口にしてしまいそうになった。今回は何とか自分で気付いてプレイヤーネームで言い直せた。
これからずっと行動していくのであれば今までとは違いここにも気を付けていかなければならなくなる。
「奇跡的に美だけは合ってる里美だけど、どうしたの浮気相手の名前を言いかけた紅君?」
蓮見が慣れていない事をいい事にからかってくる美紀。
「そもそも相手がいねぇ。の前に彼女がいないのでその話しは勘弁してください」
クスクスと笑う美紀。
「冗談よ。それで?」
「いや里美の装備って白をベースにしててカッコイイなと思ったんだけど、その装備のステータスってどれくらいあるのかなって思って」
「あぁコレ。はい」
そう言ってステータス画面を開いて見せてくれた。
里美
Lv.33
Hp.79(+6)
MP67(+24)
【STR50(+46)】
【VIT35(+26)】
【DEX34(+19)】
【AGI41(+49)】
【INT36(+39)】
【MND29(+22)】
【CRI17(+16)】
装備 上位シリーズ:白雪(スロット3)
頭【白雪の髪留め】
体【白雪の鎧:状態異常【小】(毒、麻痺、睡眠、火傷軽減)】
右手【白雪の槍:HP自動回復【小】(20秒でHP1回復)】
左手【白雪の小刀:MP自動回復【小】(20秒でMP1回復)】
足【白雪の脚】
脚【白雪の靴】
装備品【白雪の指輪】
【白雪のネックレス】
【白雪のお守り】
スキル
『巨大化』『ライトニング』『二段ジャンプ』『加速』『連撃』『破滅のボルグ』
スキル『巨大化』
効果:槍を任意の大きさに倍加できる。その間MP消費して槍を空中浮遊、操作できる。
獲得条件:槍を使い空中にいるモンスター30体、地上にいるモンスター30体討伐。
スキル『ライトニング』
効果: 周囲の敵に電撃を浴びせる。20%の確率で相手を感電させる。
獲得条件:雷鳥を15体倒した状態で【雷電鳥のダンジョン】をクリア。
スキル『二段ジャンプ』 自動発動。
効果:空中を足場としてもう一度ジャンプできる。
獲得条件:鳥モンスターを合計300匹撃破後【忍びの里ダンジョン】をクリア。
スキル『加速』
効果:一定時間移動速度が1.5倍。
獲得条件:ギルドクエスト【忍びの里から逃げ出した者を追え】を5回クリア。
スキル『連撃』
効果:7連続攻撃
獲得条件:一度のソロ戦闘で槍を装備した状態で7連撃を三回連続で決めるかつその間ノーダメージ。攻撃と攻撃の間は3秒以内。
スキル『破滅のボルグ』
効果:槍専用スキル。MPゲージ五割消費して、狙った相手を貫く。命中率100%回避不可能。威力はSTRに依存。
獲得条件:HP30%以下でギルドクエスト【破壊のボルグ】を受注しクリア。
その後HP100%の状態でギルドクエスト【破壊のボルグ】を受注し、
ノーダメージでクリア。(途中でダメージを受けた場合は初めから)
「すげぇー。殆ど均等に割り振られてる」
「普通はこんなものよ。私の白雪シリーズはかなりレアなんだけど攻撃力が少し低いの。だけどその分他のパラメータに振り分けらる初期ポイントが高いのが特徴よ」
装備品と空きスロットが2つ余っている蓮見と違って美紀はしっかりと装備を完璧に整えていた。これだけでも強い理由が良くわかった。
しかしここで疑問が生まれる。
「ちなみに槍使いなのに小刀も使えるの?」
「うん。このゲームそうゆう決まりないから。でも最初選んだ武器に比べると1割攻撃力が減るよくわからないデメリットがあるのよ。多分自由性は持たせるけど基本は最初選んだ装備を使えって事だと思うわ。例えば槍が振り回せない洞窟とかだと私の場合武器がなくなるでしょ? だからそういった運営の対策でもあると思うわ」
「ふむ。よくわからんがとりあえず理解した!!」
「それは理解してないけど見栄張って理解したフリをしてるでOK?」
「流石よくわかってらっしゃる!」
「これでも小さいときはずっと紅の近くにいたからね」
美紀の言う通り小学生の時は毎日学校でも家でも一緒にいた。
お互いの親同士が仲良かったこともありよく二人でお留守番をして遊んだりと今では考えられないぐらいに朝から晩まで一緒にいた。
「この前の約束覚えているかしら?」
「約束?」
蓮見の手を握り、顔を赤く染める美紀。
「うん。デート。目的地につくまでの間だけ手を繋いで歩いてあげる。リアルで女の子に縁がない蓮見の為にね」
「いや、別にそんなに気を…………いやありがとう」
途中内心嬉しいながらも誰かに見られたら恥ずかしくて断ろうとも思ったが
平常心を保っている蓮見の表情とは裏腹に内心は心臓がバクバクして破裂しそうになるくらい大きな鼓動をあげていた。高校生になって女の子と手を繋ぐ、蓮見にとっては初めての出来事で難易度はかなり高めだった。
その為、目的地に着くまで終始緊張していた。
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