投稿その14

 さっき家に帰ってきたら、ずーっと待っていた荷物が届いてた!

 急いでダンボールを開けると、中に入っていたのは、通販で買った「ジェラトーニ」と「ステラ・ルー」のぬいぐるみ。

 ヤバい、めっちゃ可愛いいいい~!!どうしよ~!!


 しばらく写真を撮りまくったんだけど……正直迷うよね。

 こんなカワイイ子たちを、私の“匂わせ”に使っていいものかと……


 でもごめん、私の恋が実るためには、いくらかわいくても君たちの協力が必要なんだ!

 二人とも、私に力を貸して!!

「うん~!」「いいよ~!」

 あ、今、二人の声が聞こえた!(私の声マネだけどね!)

 ありがとう!ジェラ!ステラ!(そんな略し方する?)


 この先、この恋が実ったら、お礼に君たちのどっちかは真純くんちの子として暮らしてもらおう。

 ……いや、ダメだ!そんなことできない!!離れ離れにしちゃったら可愛そうだよ!

 だったらいっそのこと、真純くんの家にも、もう1組届けようか……

 それともダッフィーとシェリーメイをあげるとか?

 でもそれには、私の経済力が……

 どう考えてもお小遣いだけじゃ足りないから、バイトしよっかな~。


 悩みに悩んだ末、トーニとルー(こんな略し方しない!)には、今回、出動してもらうことにした。

 二人仲良く棚に並べて写真撮影!インスタに「シーに行った匂わせ」を投稿!


「わたしたちみたい!なかよし(ハート)#ディズニーシー#おみやげ」

 ……これはですね、ディズニーシーでのデートを匂わせつつ、二人の仲の進展を感じさせる、高度な仕掛けなんですよ~。


 【匂わせポイントその14】「私たちディズニーシーにも一緒に行く仲」匂わせ!


 私の勝手な思い込みなんだけど、付き合いたてのカップルって、まず「ランド」に行ってから、次に「シー」に行くっていう段階を踏む気がするんだよね。

 つまり、もう「シー」に行ってるってことは相当深い仲まで行ってるってこと。それを匂わせている一枚なんですよ。

 この写真を見たら、真純くんもきっと「ジェラトーニの「ジェラ」と「ディズニーシー」の「シー」で「ジェラシー」だよ!」なんて上手いこと言っちゃうかもしれないね!


 翌朝、真純くんに聞いてみたらこんな感じだった。

「インスタ見た?」

「見たよ!あの「ぬいぐるみ」かわいいね!」

「ありがとう!」

「でもあのぬいぐるみ、何だっけ……どっかで見たことあるんだよなぁ~」

「えっ!?」

「あ、思い出した!トムとジェリーだ!」

「ちがーう!!」

 思わずツッコんでしまった。私、そういうキャラじゃないのに!

「真純くん、よーく見て、これ「猫」と「うさぎ」だよ。トムとジェリーは「猫」と「ネズミ」でしょ」

「あっ、そうか!ごめんごめん」

 うぅ……もしかして、一般的な男子高校生はジェラトーニもステラ・ルーも知らないのか~!?

「あのね真純くん、この二人はね「ジェラトーニ」と「ステラ・ルー」って言うんだよ」

「そうなんだ!ちょっと忘れないようにメモしてもいいかな」

 そう言って真純くんが取り出したのは……ミニオンズのノートと鉛筆。

 しまった!真純くんUSJ派だったか!


 ジェラトーニ度0%!匂わせ失敗!


 【反省点】男子高校生の認知度を知っておこう!


 ちなみに私は、ディズニーも、USJも、どっちも大好きで~す!!(何の言い訳?)

 でも真純くんと一緒にデートをするなら大阪か~。これは本格的にバイトを始めないとだね。

 はっ、待てよ!?ディズニーリゾートのバイトをして、貯めたお金でUSJに行けば、私の趣味も、真純くんの趣味も、どっちも満たされるじゃないか!

 私って天才かも。さっそくバイトに応募するぞ~!まずは舞浜まで乗換案内で検索だ!(実は行き方を知らない)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る