4
私は家の中のリビングに連れて行かれ、布製の3人掛けソファに座らせられる。
女性は何やら、工具箱のような黒いプラスチック製の箱の中を漁っている。
そして、カメラのメモリより小さい、ICチップらしきものを見つけ出し、私の方へ足を運んだ。
明らかに……、人間とは思えない威圧感。
身体が大きいからだけではない、謎の要因。
そして、いきなり私の頭部を掴み、力を入れた。
「いっ………」
……爪を立てられているにも関わらず、不思議と、痛くない。
徐々に、傷がつくられる感覚が大きくなる。頭皮が特定の部分のみ裂け、次に頭蓋骨にヒビが入ったような、軽い音が鳴った。
–––––正に今、頭蓋骨を割っているんだ。この、怪力の持ち主は。
私の脳を見て、血を軽く浴びてるんだ。それでもなお、動揺しない事には頭が下がる。
オカルトチックなものは好きだけど、グロい系は好みじゃない。
……なんで? もしかして、私を喰べるとか……。
あり得る。
「……よし、終わり。傷もそのうち塞ぐでしょ」
……足掻こうとする前に、終わってしまった。
自分のノロマさを恨みたい一瞬だった。
廊下から、誰かが来る気配がした。
「お、記憶戻った? 兄さん」
は……? 兄さん…?
ちょっと、誰の事を言って……。
横目で見ると、ぱっと見、小4くらいのチビな女の子。
しかし、チビだと思った瞬間、鋭い視線と大量の殺気。
すぐさま視線を逸らした。
「あ、まさか
「
「ひゃあ、止めて……」
はっ。つい声を出してしまった……。
「やっぱり壊れてるじゃん…」
「一から思い出させるしかないみたいね……。よいしょ」
女性の周囲に、何かキラキラした金粉が飛んで、なんか……、若返った。
……若返った!?
なになに!? なにこの
魔法もアリなんて聞いてないよ!?
「おかーさん、なんで若返ってんの……」
「えー? 駄目?」
「いや別に駄目と言っている訳じゃ……、ん? 兄さん、なにそんな間抜けた
え、私、間抜けた顔してんの? うっわ、恥ずかし……。
……ん? “兄さん”?
ということは……、うっそ!
いやでも、男子特有の持ち物は無かったし……、もしかして、身体は女子でも本能は男子?
うーむ……、紛らわしい!
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