執筆環境いまむかし

 今の時代、どんな方法で執筆している人が多いんでしょうか?

 PC? スマホ? タブレット? ポメラ?

 私は主にPCで執筆しています。それもノートPC。もう十年以上前からデスクトップを使わなくなりました。PCでゲームもしなくなったし、スペック的にノートPCで事足りるんですね。

 個人的には物理キーボードがないと書きにくいです。フリック入力なんてよく使えるなと感心します。


 PCが今みたいに普及するより昔は、ワープロ(ソフトやアプリではなく)が文章を書く為の主役でした。

 NECの文豪。SHARPの書院。富士通のOASYS。東芝のRupo。

 有名処で言えばこの四つでしょうか? どれも定番のワードプロセッサ(ワープロ)です。

 そして私もご多分にもれずワープロを持っていました。上に挙げた四つのなか……ではなく違うメーカーのものを。

 私が当時持っていたのは日立の「with me」でした。

 なんでこのワープロにしたのかというとその形状。当時のワープロはどれもディスプレイとプリンタ一体型で、結構な大きさがありました。持ち運び大変だったんですよね。

 小さいのもありましたが、そういったワープロはディスプレイも小さい。

 でもwith meはプリンタは分離型(別売りではなくちゃんと付属)でした。そしてクラムシェル型。

 簡単に言うと今で言うノートPCのような形とサイズ(厚さはあった)だったんです。

 当時としては画期的。書き上げるまでは印刷なんてしませんから、本体だけを持ち運べばいいわけです。

 形状に惚れて買いました。そして初めて公募に出した作品も、このwith meで書き上げました。


 当時は投稿作品をデータで受付……なんてなかった時代ですからね。紙に印刷して郵送で原稿を送るわけです。

 with meのプリンタは熱転写プリンターで、印刷にインクリボンというものを使っていました。

 形状はカセットテープ(って言っても今の若い人たちは知らないんでしょうね)に似て、インクのついたテープを加熱して印字用紙に転写します。だからテープの長さだけ印刷ができます。

 驚くべきはそのスピード。すごく遅いんです(笑)

 私が書いた原稿は四百字詰め原稿用紙換算で三百枚ちょっと。A4の紙に二〇x二〇で印刷しました。今みたいに書式の指定の無かった時代です。はっきり言って読みにくかったでしょうね(苦笑)

 そしてインクリボンは四つから五つくらい使ったように記憶しています。印刷はなんと一晩かかっていました。


 数年後、執筆環境がWindowsのデスクトップPCに変わり、印刷もインクジェットのプリンタになりました。それで公募用の原稿を印刷したのですが、その印刷速度のなんと早いこと。

 その頃になると印刷書式は二〇x二〇ではなく、読みやすさを意識したものにしていました。

 ですから四百字詰め原稿用紙換算で三百枚の作品でも印刷枚数は三百枚はいきません。確か二百ちょっとくらいかな。

 それでも三十分もしないで印刷が終わるんです。もうホントビックリしました。

 当時は文字数ではなく四百字詰め原稿用紙換算での規定。なのでそれをクリアしていれば応募原稿の枚数や書式に決まりはありませんでした(応募原稿枚数と四百字詰め原稿用紙換算の明記は必要)


 一晩かかった印刷も、パンチで穴を開けて紐を通したことも、重い原稿を封筒に入れて緊張しながら郵便窓口へ持っていったことも、今ではいい思い出です。

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あいる びー ばっ……く? 宮杜 有天 @kutou10

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