趣味だから拘る

 小説投稿サイトでは当たり前となった〝ルビ〟。これ昔は夢の機能だったんですよね。特にラノベ系の作者には。

 呪文や技名とか、日本語表記にルビ振るなんて、もう厨二心くすぐりまくりです。

 あるいは作品独自の造語にそれらしい言葉を当てはめてみたり。

 要は「読者にこう読ませたい」というのをルビで表現できるんですよね。

 あるいは「この表現はこう意訳してくれ」みたいなの。


 カクヨムで読んでてふと思ったのは「ラノベ系でも意外とルビ少ないんだな」でした。

 web小説は、暇つぶしに読むこと前提だから、小難しい表現はまぁ好まれないのは分かります。だから、もともとルビを多用するような文章を書く人はいないんだろうな、って。

 漢字の羅列にルビが振ってあっても、漢字率が高く見えて敬遠する人も多そうですし。


 ただ、けっこう小難しい造語を書いてるのに最初だけしかルビを振ってない作品を見ると、ちょっと不親切だよなぁとは思います。

 だって、ルビを振ってあるところは読めても、ややこしい読ませ方だと数行先では忘れてしまいますもんね。よほど気に入って読み込んでくれたのでなければ、読者は造語の設定なんてすぐ忘れますから。

 けど、作者はルビのように読ませたいから(それにロマンを感じているから)書いてるはずです。

 私の作品は造語ってそんなに多くはないですが、やはり拘って読ませたい場合は全てにルビを振ります。

 拙作で言うなら『月歌来舞』の〝月に捕らわれし者ルナティック〟と〝月を喰らいし者エクリプス〟。

 これはもう、厨二なロマンを感じているので、意地でもそう読ませたい。だから、全部にルビを振っています(もしフリ忘れを見つけたら、教えてください)


 「そういう細かい拘りって、面倒くさくないの?」ってヒト、います。

 確かに手間は増えます。でもね、面倒くさいとは思ったことないです。

 だって趣味で書いてるんですよ? 趣味なら拘りたくなりません?


 ちなみに、ルビで言えばすごい作家さんがいます。

 秋津あきつとおるという方で、ルビの使い方とその言語センスが凄い。

 例えばデビュー作の『魔獣戦士ルナ・ヴァルガー』というちょっとエッチなファンタジー。

 「異世界こことはちがう異時間いつか異空間どこか」とか「風前の灯火まじでやばい」とか、こういうのを小説の中でバンバンやっちゃうわけです。その文章量たるや、下手すると一冊で二冊分になるんじゃなかろうかと。

 当時、そのセンスというかルビの使い方に衝撃を受けたものでした。

 これ、編集さんとか校閲の方とか、大変だったんじゃなかろうかと思います。

 けど、こういった作者の拘りはすごいですよね。


 web小説で似たようなことやっちゃうと、拒絶反応示す人多そうだけど。

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