拍手 149 二百四十六「決戦」の辺り
ティザーベルがカタリナの攻撃を受けて治療をしている期間、三人はそれぞれ自分の武器の強化を図っていた。
「私の剣は折れたからな……」
これまでずっと愛用していた折れた剣を手に、フローネルが自嘲する。里では、武器を壊すのは己の未熟さだと教えられていたのだとか。
ヤードは剣を折りはしなかったが、今ひとつ使い勝手がよろしくないらしい。本人曰く「なじまない」という。
どうなじませるのかは、ヤード本人にしかわからないので、武器強化を担当する支援型も困っているようだ。
「持ち手を変えればいいのかしら……」
「いや、そうではなくて、全体の問題だ」
「バランス……均衡が悪いって事?」
「そうではなくて、全体がしっくりこない」
「そんな感覚的な事言われても、伝わらないわよ! もっと具体的に説明して!」
結局、支援型の方が切れた。
「毒?」
「ああ。用意出来ねえか?」
レモの問いに、パスティカは首を傾げる。
「出来るけど。どんな毒がいいの?」
「球に込めて、最終的には煙として吸い込ませる事が出来ればいい」
「気化させればいいわけか……煙は、『欺し』にすればどう?」
「欺し?」
「そう。白い煙を出すけど、それは見た目だけ。毒そのものは煙を出す前に出ていて、敵にそうと気づかせずに吸い込ませておくっての」
「……出来んのかい?」
「あんたが攻撃の機会を間違えなければね!」
疑われたのが気に入らないのか、支援型の態度が刺々しくなった。それを何とかなだめ、使用する毒を選んでもらう。
「即効性という訳ではないけど、これならこちらが張る結界で防御出来るし、その後も中和が楽だから」
地下都市でなければ作れない毒だという。地上のものでは作り出せないというから、一体何を原料にしているのやら。
「噴き出す毒に指向性はないから、結界を破られる事があったら使っちゃダメよ?」
「へいへい」
「ちゃんと『はい』って言いなさい! それに、『はい』は一回で!」
手のひらに乗るような小さな支援型に、どこぞの母親のような事を言われてげんなりする。とはいえ、これで自分の武器は整った。後はティザーベルの復帰を待って再戦を果たすのみだ。
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