拍手 113 二百十「悪魔再び」の辺り
移動倉庫から取り出したのは、黒いマントに奇妙な仮面。
「あ、それ」
パスティカの驚いたような声に、ティザーベルはふっふっふと笑い声を漏らす。
「魔法使い、または悪魔ベルでーす」
この大陸に飛ばされたばかりの頃、フローネル達を助けた際に使ったものだ。女である事、見た目からこの辺りの出身でない事がバレるのが嫌で使ったのだが、その後も街中でエルフ救出の際に使った事がある。
「向こうの街から噂が回ってるとありがたいけど」
「無理じゃない?」
「ダメかあ……」
確かに、こちらには情報伝達の手段が少ない。リアルタイムが無理なのはもちろん、普通の噂話でも伝わるのに一月くらいかかるのが普通だとか。
「マレジアが持ってる通信機が普及してればなあ」
「あれも魔法を使ったものだもの。無理でしょ」
「だよねー」
ここらで幅を聞かせている宗教クリール教では、魔法を神に背くものとして禁じている。しかも、教会主導で魔女狩りに近い事までしているのだ。
名目は魔女狩りでなく魔法狩りというそうだが、やっている事は同じだ。いや、教会内では「聖魔法具」と名を変えて魔法を使っているのだから、さらにあくどい。
「ともかく、ベルを使ってシーリザニアの国民を七番都市に移動させるから」
「悪魔なら神の僕に逆らって当然って訳ね」
「それに、魔法も使って当然でしょ?」
そう笑うと、再びベルをシーリザニア国内に派遣した。
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