拍手 075 百七十二話 「王都アデート」の辺り

 神様、教も一日お見守りくださり、ありがとうございます。全て神様のおかげです。私達の全ては、神様に委ねられています。


 神様、今日は恵みの雨でした。これで畑も潤います。これも全て神様のおかげです。私達は毎日感謝の祈りを捧げます。


 神様、どうしてあんな異形の者達がこの世にいるのでしょう? ああ、わかりました。あの異形の者達は、私達神の信徒に奉仕する存在なのですね。


 神様、最近異形の者達の数が減りました。これでは労働の手が足りません。辛い労働を私達神の信徒に代わってやるのが、あの異形達なのですよね?


 神様、今日で二十日間も雨が降り止みません。これでは畑の作物がダメになってしまいます。お願いです。お日様を出してください。


 神様、建設現場の手が足りません。異形の者は力が強く、私達では運べないような大きな石も楽に運べるんです。異形の者を私達の元にお遣わしください。


 神様、とうとう川が氾濫しました。家も水につかってしまいました。私の家族が死にました。隣の家の家族も死にました。どうしてですか? 神様。


 神様、助けてください。金貸しが、金を返せないなら体で返せと言ってきます。私だって好きでお金を借りた訳じゃないのに。あの薄汚い連中を、どうにかしてください。


 神様、何故私をお救いくださらないのですか? こんなにあなた様に尽くしていますのに。こんなに祈っていますのに。


 神様、神様、神様、神様、神様……


 こんなところで、死ぬのは、嫌……

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