拍手 068 百六十五話 「罠にかかったのは……」の辺り
運が良かったのか悪かったのか、ちょっと本隊と離れていた間に、仲間が全員姿を消した。
「どういう事だ? こりゃあ……」
街の外に置いていたねぐらは、跡形もなくなくなっている。もちろん、捕まえていたエルフもだ。
まだ若い、器量のいいのが二人。しかも女だ。男も売れるが、やはり女の方が高値がつく。しかも顧客のうち、何人かは若い女が好きときてる。
金離れのいい顧客だ、きっといい値をつけてくれるだろう。そう思っていたというのに。
「仲間のエルフが奪い返しに来やがったのか? いや、それも別口が狩りに行ってるはずだ……」
エルフの使う魔導を無効化する代物を持って行ってる。まず、負けるはずがなかった。
あの道具は実にいい。西の方から入ってきたものだが、エルフに使えば一発で連中をおとなしくさせられる。
出来る事なら、もう少し小さく、首輪状態になっていればいいのだが。そうすれば、面倒な印を使わなくてすむ。
さらったエルフには、逆らわないように「印」を刻むのだ。これが専門の奴らに頼まなければならず、費用がなかなかに高い。
その分、「値段」に上乗せするので、こちらの懐が痛む事はないのだが。
結局、あの後いくら探しても、仲間は見つからなかった。捕獲したエルフもだ。仕方なしにモグドントの地下に潜っていたある日、手下から妙な話が入る。
「以前捕まえ損なったエルフを、街中でみかけた」というものだ。見間違いかと思ったが、エルフは大体顔がいい。そうそう見違える程の美人がいるとも思えなかった。
手下の案内で街に出ると、本当にいやがった。頭からすっぽりとかぶり物をしているが、あの顔は間違いない。
しかも、おあつらえ向きに裏路地に入りやがった。これなら、挟み撃ちにしやすい。
運がいい。そう思っていたというのに。
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